昼間の水辺は安全だっていったの誰だよ
角豚に追われていた時には消えていた虫の音や鳥の鳴き声が戻ってきていることが僕の心を軽くする。
とはいえ油断は禁物だ。できるだけ物音をたてないよう足跡などの痕跡などが残らないようできるだけ注意しながら東を目指す。
ときどき藪を通り抜けたり泥道を通ったりしているけどなぜか破けも汚れもしないスーツに革靴。もしかするとこれも転生特典なのかも知れないけど、町や村にたどり着いた時が怖い。身ぐるみはがされるだけならまだしも命の保証なんてどこにもない。どうにかごまかす方法を考えるか着替えを手に入れないといけないな。
そんなことを考えていたら到着しましたよ水場に。がむしゃらに駆け出したいほどのどが渇いているけどここはガマン。野生の動物でも水辺では争わないってテレビで見たことあるけどそれが真実かはわからないし事実だったとしてもこの異世界でもその常識が通用するとは限らないからだ。
道すがら拾っておいた棒と石数個を握りしめそっと水場を覗いてみた。
あ、ちなみにスマホは胸ポケットの中、仕事かばんは3WAYタイプなのでリュックスタイルで背負っています。
川には誰もいず平和そのもの。
と言えればよかったんだけど、残念なことにさっきの角豚が何匹も泥の中をフガフガ転がっていた。
近くに数種類水鳥がいるから角豚自体は肉食ではないかもしれないけど、さっき間近で唸り声を聞いた身としては無防備に近づけない。
昼間の水辺は安全だっていったの誰だよ。
せめて角豚たちが少しでも減ってくれればと祈ること数分。まったく移動しようとしない角豚たち。
しかたがない。
いったん水場から離れ、川の下流と思われる方向に再びスマホをそーい!
戻ってきたスマホを開き、どれどれ?特に危険そうな道もないし川下に移動して水分補給をすることにしよう。
カラカラに乾いた喉の不平をなだめながら再び移動開始。
ピローン!
のはっ。なになに?
急に鳴ったスマホにビビる僕。
辺りを気にしながらスマホを見るとスキルアイコンにNEWのマークが。
開いてみると
道具組立 Lv.1
方向感知 Lv.2
危険察知 Lv.1
逃げ足 Lv.3
隠身 Lv.1
睡眠耐性 Lv.2
魔力耐性 Lv.1 NEW
集中力 Lv.3
瞑想 Lv.2
なんだか知らないけどラッキー。なんにもしてないのに新スキルゲットだぜ!
って魔力耐性なに?この辺の魔力が高いってこと?それとも地球にはない魔力にスキルが反応したってこと?どっちもありそうだけど?まあいいか。そんなこと考えて周りへの警戒を疎かにして大ケガなんてしたくないもんね。
トップ画面にアイコン増えてる気もしたけどそれも今はスルー。
考察は安全地帯に入るまで後回し後回しっと。
とりあえず優先事項は
1.水確保
2.食料確保
3.寝床確保
ってところかな。
水はこれからゲット予定だから大丈夫、ホントは煮沸したいけど無理だから我慢。管理者にもらった無病息災能力もあるし大丈夫でしょ。
食料は仕事かばんに入れてあるカロリーバーで数食分はOK。
一番不安なのは寝床だな。近くに親切な木こりさん家があればうれしいけど、木を切る音がしない以上それは無理。となると下流に向かって町探し。見つからなければ洞窟か木の上かってところだな。
そういえば管理者にもらった能力はスキルとは違うのかな?
スキル画面には表示されなかったよね。
ポチポチポチポチ。
操作してわかったこと。
種族・職業・称号・スキルは隠すことができる。
自分より権限?が高い人には隠せない。
管理者にもらった能力はスキルだけど基本設定では自分自身でも見えない。表示ONにはできるが他者は神権所持者でなければ見えない。
ということなので、忘れないように管理者にもらったスキルも表示ONにすることにしました。
だって忘れそうだから。
これだけ危険危険言っときながら結局スマホから手を離せないケイであった。