双子と笑い猫
“なんで学校に行かないの?”
聞き飽きた、そんな言葉。
どうせ分かってて聞いてるんでしょ、私達についていろいろ聞いた上でわざわざ私達に聞いて、笑うんでしょ?気持ち悪いなんて罵るんでしょ?
そんなの分かってる。私達が普通から外れていることくらい-
「お姉ちゃん…」
「どうしたの?顔色が悪いけど。」
「…学校でみんな、何してるんだろうなって。」
「さあ、解らないけど。なんで?」
「…今度こそ、みんな認めてくれるかなって。」
「無理だと思う。だって今までも無理だったのに、今度もきっと無理。」
「でも、学校に行かないと。」
「単位はくれるって聞いたから大丈夫。」
「…お姉ちゃん」
…インターホンの音が響いた。誰だろう、お客さんなんていたかな。
私達はドアを開けた。
*
「…クラスの人らしい感じだったね。」
「だろうと思ったけど。」
「…やっぱり行かないと駄目だよ。」
「なんで」
「だって、……あの人達は認めてくれると思うから。」
どうしてあなたは行こうとするの。傷つくだけなのに、なんで。
「…そんな願望なんてすぐに崩れるのに。」
「…………わかったよ、お姉ちゃん。」
あの子は拗ねて2階に上がってしまった。
…どうして双子でこんなに違うんだろう。外側を似せても、私と違って傷つきたがるのはなんでかな。わからない、一生わかりっこない。
…。
『君たち“キョウダイ”で仲良くしてね。』
彼は確かにそう言った、目障りな笑顔で。
あの人は知ってるような口ぶりでああ言ったけど、知ってるんだろうか。
…。
……。
………気色悪いやつ。