血のバレンタイン
冬は乾燥して困る。
僕の名前は百合崎カナト。こんな格好しているが実は男である。いわゆる男の娘だ。
見た目はセーラー服にツインテールのウィッグをつけていて身長は低い。
ここの学園の生徒達は同性愛者しかいない。
特別学校みたいなものである。
見た目では完璧に女の子なので、時々本物の女の子と勘違いされて女の子に告白されることも多々ある。
そんなこんなで僕の同級生もゲイであるが、女装した僕には興味が無いらしく、僕は学園内で孤立していた。
正直、学校に通うのが辛い。
「はぁ~…」
長いため息をつく。お弁当を食べる時間は屋上に来て一人で食べている。
2月の外は寒い…身も心も凍りそうだ。
「もうすぐバレンタインか…」
僕はカサカサにかわいた唇の皮を剥いた。
「いたっ」
勢いよく剥いたため、血が思ったより吹き出てしまった。口の中がサビ臭い。
「大丈夫?」
はっとなる。まったく気配を感じなかった。
同じクラスの美々沢カレンさん(女の子)が僕の目の前に立っていた。
カレンさんは女の子の中でも人気があって、見た目は男の子も顔負けのイケメンだ。
颯爽とした風貌に長身で、学ラン姿がとても似合う。
「は、はい、大丈夫です…ちょっと血なまぐさいけど…」
「よかったらこれ、使う?」
リップクリームを渡された。花柄で女の子らしい。意外な一面もあるんだ…。
「ありがとうございます」
僕は受け取った。
隣にカレンさんが座り込む。
「ここで毎日弁当食べてるの?」
「そうなんです…僕、見た目が女の子だけど男の子に見られなくて。誰にも理解されないんですよ」
僕は気づけば泣いていた。
多分悔しかったのだろう。
自分が何故女で生まれてこなかったか。
「へぇ…くだらない」
カレンさんはそう言って僕を蹴飛ばした。
「!?ぐはっ…な、何するんですか!」
カレンはニコニコしている。
蹴飛ばされた衝動で口の中が切れた。
また血なまぐさくなる。
「正直に言ってお前みたいななよなよしたやつ見てるとイジワルしたくなるんだよね」
カレンは僕の髪の毛を掴み、壁に叩きつけた。
その際キスされた。
口の中に舌をまさぐられる。
「美味しい…」
「んぐ…うぅ…!」
気持ち悪い…!誰か助けて…!
「ずっと好きだったんだ、君のこと」
突然の告白に頭が真っ白になる。
「え?」
今度はお腹に蹴りを入れられる。
強い力だ。吐き気が襲ってくる。
ビシャッと血を吐いた。
「や、やめて…」
「君が好き」
またキスをされる。暴力をうける。
その交互を繰り返し、いつの間にか僕は気を失った。
「さて…」カレンは百合崎カナトをお姫様抱っこした。
「これで型を取ろう」
大好きな君をチョコと血で彩るんだ。
それをキャンバスにして、最高の作品を作り上げる。
翌日
2月14日
先生が出席を取る。
「百合崎くんは休みか」
カレンはニコニコしている
女の子たちはそんなかれんを見つめてうっとりしている
カレンの机のカバンには何か膨らみがあった。
ちょっと歪な…まるで例えるなら人の頭のサイズくらいの…
~終劇~