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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第三章-邪なる虚影編-
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~不屈の笑みと死の炎舞~






雅史と憲明が病院へ戻ると、入口には院長のゼラトが立っていた。


「白い球を手に入れた様だね。さすが十王神の力を継承した二人だ。」

「でも、あと一つが見つからないんだ。」


「なぁ、俺達十王神の力を持ってるなんて言ったか?」

「言っていたじゃないか。この病院に訪れた時にね。」

「悪いが言ってないぞ。何で俺達が十王神の力を持ってるって知ってる?」


ゼラトは沈黙を続け、その後から怪しげな笑みを浮かべながら雅史と憲明に言葉を放った。


「……持っていたの間違いでは?」

「そこまで知ってやがるのか。」

「邪王神に殺られたんだろ?どうやって命を取り留めたか知らないが、お前達の臓器は高く売れるのでな。摘出させてもらおう。すぐに手術の準備だ!」


「それで、はいどうぞなんて言うと思ってるのか?」


雅史と憲明はすぐに戦闘態勢をとり、向かってくる看護師達を倒していく。


「あら~?ダメよ。そんなに暴れちゃ!」


そこに現れたのはガタイの良い看護師のロックだった。


「まったく、困った患者だな。私直々に臓器摘出手術を行おうか。」

「どうする?」

「といっても、さすがにこの数じゃ分が悪い。俺があのガチムチな看護師を惹き付けるから、あの院長と達の相手頼めるか?」


憲明が雅史にそう言うと、雅史は「わかった」と答える。

憲明はその言葉と同時にロックに向かっていく。


「おい、相手してやるから場所変えるぞ!」

「やっとアタシの気持ちを分かってくれたのね。いいわ、付き合ってアゲル。」


憲明は悪寒を走らせながら、場所を病院の中へと移す。


「じゃあ残りは俺が担当って事だな。」

「あなた一人で我々を倒せるとお思いですか?」

「もちろんだ。」


雅史は、根拠は無いが勝てる気がしていた。

十王神の力もなく、そして相手は院長のゼラトに看護師が数人。どこにも勝ち目など無い様に思えるが、雅史の心は清々しく恐怖感もなかった。


「……ならその自信を壊してあげよう。やってしまえ!」


看護師が雅史を取り囲み、一斉に襲い掛かる。雅史は一番近い相手の胸ぐらを掴み、そのまま看護師を片手で持ち上げると遠心力を使って一斉に襲い掛かろうとした他の看護師達を薙ぎ払った。


「何てバカ力だ。あれだけの数を一掃するとは。」

「次はあんたの番だ。」

「いくら力が強くても、所詮は人間の持てる力の範囲はたかが知れてる。それでは私には勝てないよ。」

「それでも勝って仲間の元へ戻る。勝ったらもう一つの白い球の在処を教えてもらうからな。」

「もう一つの在処ね。」


ゼラトは怪しげに笑みを浮かべ、高笑いをする。


「院長なら知ってるんだろ?一つだけしか球の在処を知らないなんて事ないんだろ?」

「それも勝ってから聞くんだな!」


ゼラトは、両腕を大きく開いて、雅史に襲い掛かる。

動きが大振りなお陰で、雅史は難なく攻撃をかわし、すれ違いざまに拳の一撃を放つ。しかし生身の人間の力には限界があり、ダメージを与える程に至らずに、ゼラトは怯みもせずに雅史を捕まえる。


「どうやらホントに十王神の力を失っているみたいだな。抜け殻になっているとはいえ、十王神の力を宿した身体は食べれば、私の力も上がるだろう。」


ゼラトの身体は、雅史を捕まえてから豹変し、体格もかなり大型になり、その姿はまさにデーモンとでもいうくらいに変貌した。


「それがホントの姿か?」

「この姿はまだ不完全なものだ。完全体になるにはまだまだ力が必要なんでな。言葉通り糧になってもらうぞ。」


雅史がいくら振り解こうにも、ゼラトの強靭な腕から抜け出せずにいた。雅史の心の中で「もうダメかもしれない。」という事を思い始めてしまっていた。それでも何かまだやれる事は無いかと必死に考えるが、締め付けられながらでは思考が定まらない。


こんな時、機龍王の力があれば…と雅史は思った。誰かを救える力、その力を手に入れたのに、失ってしまうなんて…。もう一度力が戻るなら、次は負けないと強く願う。


「諦めないのか?」

「諦めるなんて事は、最初から考えてないさ。勝てないかもしれなくてもな、最後まで俺は自分の力を信じてるんだ。やれるだけの事はやるのが(おとこ)だ!」


雅史は、強がる様に勝利を諦めない笑みをゼラトに向ける。

ゼラトはそれが不思議で仕方なかった。この状況、どう見ても雅史に勝ち目なんてない。あとはただ死ぬのを待つだけのこの状況のどこにその笑みを出せる余裕があるのかと。もしかしたら何か秘策でもあるのかと思ってしまう程に。


「なら、その漢気に称して一撃で葬ってやるか。」


ゼラトは拳を振り上げ、雅史に向かって振り下ろした。




その頃、場所を変え、病院の中に入った憲明達は、看護師のロックから逃げ回る様に病院内を走り回っていた。


「アタシの愛を受け止めるんじゃなかったの!」

「知るかっ!俺はお前みたいなガチムチなオカマ野郎なんて金を積まれたってゴメンだ!」


憲明は病室に逃げ込んでは何かを探しながらロックから逃げている様だった。


「アナタ、元々は炎獄王だったんでしょ?熱い炎をアタシと一緒に滾らせましょー!」

「助けてー!」


走りながら後ろを振り向くと、必死に自分を捕まえようとする看護師の服を纏ったゴリマッチョなロック。その光景はあまりにも悪夢としかいえず、夢なら早く覚めて欲しいと強く願う。しかし、これは紛れもない現実。憲明は自分の持てる限界の速さで病院内を逃げ回る。

次第に逃げ場も減っていき、遅かれ早かれ捕まってしまうのは目に見えていた。


「ってか、アイツあんな体格してるのに、何であんなにも速ぇんだよ!」

「愛はスタミナよぉっ!想いを寄せる人に振り向いてもらう為には忍耐が必要なの、それにはスタミナがいるわ!」

「忍耐じゃなくて、強制的に振り向かせるの間違いだろ!」


憲明は逃げ回る途中で拾っていた包帯の片方を柱に結び、ロックをグルグル巻きにする。何周も何周も回って、ミイラでも作るかというくらいにロックを包帯でグルグル巻きにした。


「あら?緊縛かしら?」

「そんな趣味はないぞ!」

「こんな包帯じゃアタシの愛は抑えられないわよ!それにこの包帯、濡れてるみたいね。アナタの体液かしら?」

「気持ち悪いわ!逃げてる間に消毒液に包帯を浸しておいたのさ!」


憲明は懐からポケットからライターを取り出し、包帯に火を着けた。火は包帯を伝い、ロックの身体を焼く。


「消毒液はアルコールだろ?よく燃えるだろ!」


しかし、ロックはそのまま憲明を両腕で抱き締め、包帯はみるみるうちに焼き落ちて、その中から肌が焼け焦げたロックが満足気な笑みを浮かべながら憲明を見つめていた。


「消毒液なんて発火性は高くてもすぐに気化しちゃうから、少し我慢すればへっちゃらよ!こんなイタズラするなんて、アンタ結構可愛い所あるわね。」


ロックは抱き締める力を少しずつ強め、メリメリと憲明の肋骨が悲鳴をあげる。


「やっぱフランベじゃ無理か。」

「アタシの愛はそこら辺の炎よりも熱く燃え滾ってるんだから、こんな火遊び程度じゃ全然物足りないわよ。」


憲明は、これが最後かと諦めを抱いていた。死ぬ事自体は怖くはないが、友の事を思うと、ここで死ぬ訳にはいかないと心の奥にある闘志はまだ燃えている。

必死にロックの顔面を殴り、足をもがき、締め付けから逃れようと暴れる。


「あら?死の舞踊?良いじゃない、じゃあゆっくり絞め殺してあげるわね。」


どんなに醜くても、この場を生き残ろうと憲明は必死にもがき続ける。どんなに顔面を殴り続けても、一向にダメージを受けている様には見えないが、それでも何度も何度も殴り続け、時には頭突きをし、死に物狂いにもがき暴れる。


「そろそろその踊りも飽きちゃったわ。そろそろお終いにしてあげるわね。アナタも疲れたでしょ?アタシの胸で眠りなさい。」


ロックは憲明を締め付ける腕の力を強めていく。

憲明は、自分が殺される事を自覚し、動きを止めたが、それでもここで死ぬ訳にはいかないと心の中で叫び続けた。



「嫌だっ!」

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