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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第三章-邪なる虚影編-
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~刃こぼれする生命~










黒魔王は将吾に視線を向けて、「待たせたな。ようやくお前の番だ。」と耳元に囁きかける。将吾は自分が同じ様に殺される事に恐怖し、身体が震え出す。しかし、腹部に突き刺さった槍による痛みが勝り、血で汚れた石の槍を引き抜き、地面へと投げ捨てる。


頭を潰された雅史の遺体と焼け焦げて炭になってしまった憲明の遺体を見つめ、将吾はその場に膝を着く。


「刀を持ってるという事は、黒覇王は武士なのか?無事なら首を落としてやろう。せめてもの情けだ。一太刀で切り落としてやろう。」


黒魔王が石の刀を出現させ、将吾の首へと刃を振り下ろす。しかし将吾は反射的に自分も刀を出現させて斬撃を弾く。その間に昌宗は啓太とメイ、祐斗と合流をし、将吾を救い出して撤退する為に体勢を立て直そうとしていた。

祐斗はほぼ瀕死の状態。昌宗も邪王神の力を目の当たりにして戦意喪失状態。マトモに動けるのは啓太とメイの二人だけ。この状況でどうすれば将吾を助けて撤退できるか、啓太は悩んでいた。


「啓太達が乗ってきた馬に啓太とメイ、祐斗を乗せて先に行ってくれ。俺は将吾を助けて何とか逃げるから。」

「昌宗、お前足震えてる。」

「ならどうしろって言うんだ。」

「…お、俺が啓太とメイを連れてテレポートの魔法で先に撤退する。昌宗、お前は馬を使って将吾を連れて逃げろ。戦わずに逃げるんだ。」

「祐斗、無茶するな。全身に銃弾を受けて重症なんだぞ。」

「雅史と憲明がやられてしまって、一人でも多く生きて帰らなきゃいけない。そんな時に俺だけ怪我したから黙って見てる訳にはいかないだろ。まだ魔力にも余裕がある。意識が飛ぶ前に急いで撤退だ。良いな?」

「「…わかった。」」


祐斗の指示で昌宗は馬に乗り、啓太とメイは祐斗に応急処置ではあるが治療を施す。

その間も将吾は黒魔王の攻撃を武器を出現させて受け止める。あまりにも強力な攻撃故に一撃で武器が壊れてしまい、何度も武器を出現させながら受け止める。その間にも邪龍王、魔天王、煉獄王も将吾に攻撃を加えるが、必死に回避したり、受け止めたりを繰り返して倒されないように耐えつつ、何かを狙っている様にも見えた。


「おい、お前何を狙っているのかニャ?」

「そんな余裕なんてない!正直なところ、殺されない様にしてるだけで精一杯だから!」

「まぁ良いニャ!四対一だから直にお前もあの二人みたいにあの世に送ってやるニャ!」

「憲明に似てる顔でニャーニャー、ニャーニャー五月蝿いな!」

「お前も仲間を失う恐怖を十分味わっただろ?そろそろ楽にしてやる。いい加減落ちろ!」

「俺の前で不愉快な踊りはもう仕舞いにしろ!」

「そろそろ胴体とおさらばする時間だぞ!」


一つ間違えれば、一撃であの世行きになるこの状況。ジリジリと距離も詰められ、回避もし切れなくなり、少しずつダメージが蓄積されていく。


「将吾っ!」

「昌宗っ!来るな!殺されるぞ!」


昌宗が馬に乗って将吾へと向かっていく。邪王神もそれに気付き、標的を昌宗に切り替え、昌宗に襲いかかる。

将吾はすかさずその間に割り込み、昌宗を啓太達のいる場所へと弾き飛ばす。昌宗が啓太達の所に落ちる瞬間に、祐斗がテレポートを発動させて、その場から転送される。同時に将吾は黒魔王の斬撃、邪龍王のハンマーの一撃、煉獄王の拳をその身に受け、その場に倒れ込んでしまった。


「さらばだ黒覇王。」


黒魔王はワームホールを開き、将吾を馬ごとワームホールへと落とし、雅史と憲明の遺体もワームホールへと落とす。


「にゃあ、魔天王。」

「何だ?」

「今のワームホールはどこに繋がってるのかにゃ?」

「さぁな。どこかも知れない無の空間だろうさ。運が良ければこの世界のどこかに繋がってるだろうな。」


啓太達はテレポートして、レクエム村とラプソの街の間にある道に移動していた。


「急いで戻れば将吾を助けられるだろ!祐斗!」

「祐斗、僕と昌宗をさっきの場所に戻してくれ!まだ将吾は生きてる!まだ間に合うよ!」


啓太と昌宗は祐斗の肩を揺するが、祐斗は意識を失っており、返事がなかった。


「今ので力を使い切ったのよ!私達だけでもレクエム村に戻って体制を立て直さないと助けられる命も助けられないのよ!ショーゴの事は諦めるしかないのよ…。」


メイが啓太と昌宗に静止をかける。自分達を逃がす為に犠牲になった将吾、雅史、憲明の事を思うと心がズキズキと痛む。メイは急いで祐斗の身体から魔天王の放った銃弾を取り除いていく。全身に何十発と撃ち込まれた弾は、幸いな事に急所は外れていた。

メイの言葉に啓太は頭を冷やし、冷静に現状を分析する。


「今、黒覇王、機龍王、光天王、炎獄王の力をコピーされてそこから生まれた邪王神。あと残るは僕の終焉王の力だけが敵にコピーされていない。」

「もしコピーされてたらそれこそヤバいだろ。」

「その前にあの鏡を何とかしないと…。それに将吾、雅史、憲明がいなくて、祐斗もこんな状態じゃ、もし攻め込まれたら勝ち目がなくなる…。」

「もういっその事、終焉魔法で一掃しちまえよ。」

「そういう訳にもいかないんだ。たしかにそれが出来れば楽だけど、発動までのリキャストタイムもだし、晋司とマンティコアとの戦いで回復まで時間がかかるんだ。」

「じゃあ今襲われたら…。」

「…もう、僕達に勝ち目はない。その為にも今はレクエム村に戻って体制を立て直さないといけないんだ。」


昌宗は自分の折れた槍を見つめた。自分にもっと力があれば、この状況をひっくり返せただろうし、むしろこんな事にもならなかったはずだと。


「昌宗、自分をあまり責めるなよ。僕だって力があれば皆を助け出せたのにって思ってしまうんだから。」


祐斗の応急処置が終わるのをじっと待ち、レクエム村へ戻る道を確認する。馬もなく、祐斗の意識が戻ってない今の現状でレクエム村まではどう頑張っても一晩はかかってしまう。その間にシュラや邪王神達と出くわさないというのは限りなく低い。その状況でどうやってレクエム村に辿り着けるか必死に考えた。


しかし良い案が浮かぶ前に最悪の事態は訪れた。


「こんな所まで逃げてたのか。さすが光天王だね。」

「シュラ!」

「あ、僕の名前覚えてくれたんだ!嬉しいなぁ。僕の目的の終焉王の力を撮り逃したらここまでやった意味がなくなるからね。終焉王の力もコピーさせてもらうよ。」


あの邪王の鏡は、遠くからでも映った人物をコピーする力がある。逃げ切れるものじゃない。絶体絶命のピンチとはこの事だと思った。


「おい、将吾はどうした?」

「え?邪王神達にあとの事は任せたからよく分からないよ。それにコピーした後の相手なんて興味ないからね。それよりも終焉王の力、コピーさせてもらうよ!」


シュラが邪王の鏡を取り出して、啓太に向けようとする。昌宗は咄嗟に啓太と鏡の間に割り込み、自分が鏡に映るように啓太を自分の身体の後ろへと隠した。


「終焉王の力はコピーさせてたまるか!俺は十王神でもないただの人間だからな!コピーされたって強い奴なんか出てこないだろ!」

「邪魔するなよ!」


鏡は昌宗を映し、鏡面から腕が出てくる。穴から這い出でる様に昌宗に似た男が鏡からゆっくりと出てきたのだった。


「……失敗だ。どうしてくれるんだよ!使用回数が決まってるから当分の間は使えないじゃないか!」

「良い事を聞いたぜ。これで啓太の終焉王の力を奪われずに済むな。」


シュラは昌宗を殴り飛ばし、昌宗は地面に倒れ込むが、それでもしてやったりとへへへと笑っている。

昌宗の力をコピーした男は、昌宗をじっと見つめ、二本持っていた槍の一本を昌宗の真横に放り投げる。


「…貴様を素体として生まれた我は堕勇王とでもしておこうか。貴様の力を試してやろう。槍を持て、この我が直々に相手をしてやろう。」



堕勇王は昌宗の前に仁王立ちで立ちはだかり、昌宗は既に戦意喪失している状態。自分の目の前で将吾、雅史、祐斗、憲明が傷付き、自分の槍も折られてしまい、戦意どころか怖くて手が震えてしまっていた。


「その槍を貸してやる。一太刀でも我に浴びせられたら、その命見逃してやろう。彼の者にも手出しさせぬ様にしてやろう。無論、我は貴様と戦いだけだから、我が勝ってもツレの者には手は出さん。それでどうだ?戦わぬか?」


堕勇王は昌宗に取引を仕掛けた。たしかにこの取引に応じれば少なくとも啓太とメイ、祐斗は助かる。好条件ではあるが、今の昌宗にはとてもじゃないが戦えるだけの闘志がない。啓太も昌宗も悩んだ。

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