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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第三章-邪なる虚影編-
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~獣の魔の手~





夜が明け、お昼になる前にイコルマ法国から、白銀の鎧を纏った騎士と七人のドワーフの騎士達がレクエム村に到着した。白銀の騎士、それこそがイコルマ法国の最強の騎士と謳われるガレッタである。


「数日ぶりですね。ガレッタさん。」

「あの時はどうも。彼等が不在の数日間、この村の警護は我々がいたします。へリスは雑務に専念していてください。サンクチュアリ帝国もいよいよ本腰を入れて侵攻してくるという話もありますし。」

「それなんですが、一つこの村で厄介な事件が起こっていまして。昨日、この屋敷で給仕をしているシンクロナイザーのリルが何者かによって惨殺されました。しかも、両脚が引き千切られており、村の外れに捨てられていました。そして、今朝、同じくシンクロナイザーのミナも…。今度は両腕を引き千切られており、村の屋根に…。」


へリスは遺体のある家の屋根にガレッタを連れて行った。遺体はジェシカ達によって運ばれる途中で、その後丁重に墓地に埋葬された。


「キメラですか?」

「おそらくは。昨日のリルの件は村の外れだったので、村の外にいるのではと考えておりましたが、今朝ミナがこの様な状態で屋根で発見されると、キメラ、もしくはモンスターが村の中にいる可能性が高いと思われます。」

「ここ最近で、この村に入った者は?」

「近くはサンクチュアリ帝国の侵攻で難民が多く、毎日難民がこの村に避難して来ています。ですので、さすがにその中に人に化ける事が出来るモンスターが紛れ込んでいては分からない状態になっています。」

「そうですか。なら、私の部下を街の各地に配置して、巡回させます。一人ずつやられているという事は、相手は一体だけという可能性が高いので、見つけ次第私が排除します。」


ガレッタは、ドワーフの部下達に命令し、ドワーフ達は村の中を巡回して回った。



その頃、塚山は昼食を食べていた。


「今日は鳥の手羽先か。昨日も肉だったから、中年の私の胃には堪えるな。何か魚を食べたいとは思うんだけど、この世界の事を論文にまとめるという作業はスタミナを使うから、どうしても肉を欲してしまうんだ。」

「私は構いませんよ。魚よりも肉の方が好きですし、先生の用意する物なら何でも食べますよ。私、どうしてもここの世界の人達って信用出来なくて。でも、ここに住まわせてもらってるから多少なりとも信頼できる人なんだなっては思うんですけどね。」


塚山とアコは料理を食べながら会話をしていた。部屋には既にいくつもの紙の山が出来ており、そのいくつかは雪崩になってそこら中に紙が散らばっていた。


「少し片付けないといけないな。」

「そうですね。それに昨夜は先生も激しかったので、ベッドの羽毛が飛び散っていますし、今日は論文は中断して、部屋の掃除をしましょ。」


塚山とアコは久々に部屋の窓や扉を開けて、室内の空気を換気し、掃除に取り掛かった。その時、部屋の前を通りかかった狸のシンクロナイザーのヒミカが掃除をしている二人を目にした。


「お客人に掃除をしてもらうなんて、申し訳ございません。お部屋の掃除は私がしておきますので、お二人はゆっくりと寛いでいてください。」

「そうかい?申し訳ないね。紙は捨てないでくれるかな?それと昨日は色々あって、ベッドの布団を壊してしまったんだ。」

「そうなんですね。後で新しい物に取り替えておきますね。」


塚山とアコと入れ違いで部屋に入り、ヒミカは部屋の掃除に取り掛かった。部屋にはほのかに生臭い臭いが鼻に刺さり、昨夜この部屋で何があったのかを想像してしまい、ヒミカは赤面しつつ、ベッドの布団とシーツを取り替えた。

ベッドのシーツには少し血でできた染みがあったり、ベッドの所々に傷があり、シーツも激しく動いていたのか、かなり乱れていた。紙は捨てるなと指示があったので、整頓して机に並べ、掃除を済ませた後、使用済みの布団やシーツを持って部屋を後にし、村の洗濯場に向かった。

布団は使い物にならないくらい破れていたので、そのまま廃棄したが、シーツは洗えば使えるので、洗濯しようと思ったのだ。運んでいる最中もシーツに染み込んだ生臭い臭いが鼻を刺し、クラっとしてしまうが、洗濯場に着くと、シーツに顔を埋めて大きく深呼吸した。


「あのお二人、昨夜はどういった事をしていたのかしら?布団が激しく破かれていましたし、どんな感じだったのかしら。」


何度か深く深呼吸をし、シーツについた羽毛を一つ一つ取り除いていく。


「あら?この羽毛…。」


ヒミカは、シーツについた羽毛を見ながらある事に気が付いて、羽毛と取り除いた後、その羽毛をじっと見ていた。


「やっぱりそう。この羽毛…。」







翌日、また何者かによる襲撃の犠牲者が出た。


今度は村を出た所にある用水路で無残にも胴体を引き千切られ持ち去られたヒミカの成れの果てが浮かんでいたのだ。


ヒミカの双子の姉であるトウカは無惨にも肉片に変貌してしまった妹を見て怒りをむき出しにして、犯人にその矛先を向けていた。


「何で…、どうしてヒミカがこんな目に遭わなくてはならないの!私はヒミカを殺した奴を許さない。必ず同じ目に遭わせてやる!」

「やめておく事を勧める。この相手、かなりの強者だと思う。こうも無惨に胴体を引き千切る奴となると、如何に貴方がシンクロナイザーで他の亜人種よりも力があるとはいえ、勝ち目はないでしょう。」

「双子の妹がこんな目に遭って、黙って見ていろとでも言うの?」

「その通りだ。対処は我々でする。貴方達の主人も貴方達を戦闘用に側に置いている訳ではないでしょう。この件は我々に任せて自分の仕事をしてください。」


ガレッタは冷たくもトウカに手出しをさせない様に指示をして、部下のドワーフ達に捜索の指示を出した。

しかし、ガレッタは不思議に思った。いくらメイドとはいえ、祐斗から送られてきた資料を見るとシンクロナイザーであり、昌宗を苦戦させる程の実力の彼女達が意図も簡単に三人も被害にあっているのは、かなりの手練である事、そして一人目の被害者のリルは両脚、二人目の被害者のミナは翼を、三人目の被害者のヒミカは胴体が食い千切られて持ち去られている。この事はいったい何を意味するのだろうか。いくら戦闘には突出した戦果をあげ、イコルマ法国皇女のイリーザ直轄の騎士とはいえ、犯人を見つける事は難しかった。犯行はキメラかそれに準ずるモンスターである事は間違いない。しかし、人に化けたモンスターを探し当てるにはこの村は広すぎるのだ。


ガレッタは頭がキレる訳では無い。しかし、トウカの怒りは分かるつもりでいた。

それだけにトウカを捜査に参加させては犠牲者を増やすだけと、誰が見ても歴然なので彼女を含め、他のメイド達も捜査に参加させずに自分と自分の騎士達だけでの解決を選んだ。

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