~Sleeping Snow(第一項)~
啓太とメイはラプソの街の前までたどり着いた。啓太は警戒しながら街の外周を一回りし、街の中へと入って行った。
ラプソの街は今のレクエム村に匹敵する程の規模で、人口もそこそこ多く。リザードマンと共存してる街であり、かなり繁栄している街であるのだが、聞いていた話とは少し違い、賑わってはいるが、どこか寂しげな雰囲気を醸し出していた。
「何か、思ってた街と違うね。」
「うん、栄えてはいるけど、何か静かだよね。」
「どうする?情報集めに街を見て回る?」
「まずは宿を探そうか。荷物を置いて身軽な方が良いと思うし。」
二人はまず宿を探した。宿は街の中心部にあたる泉の横にあり、すんなりと部屋を取る事が出来た。
啓太とメイは荷物を置き、街に情報収集に出かけた。
「こうやって二人だけって久々だね。」
「ショーゴと会ってから、マサシ、ユート、ノリアキ、マサムネと賑やかにもなって、街から街へって旅もレクエム村って帰る場所も出来たから、凄く懐かしく感じちゃう。」
「将吾達とは仲良くやれてる?」
「もちろん。だってケイタの大切な仲間だもん。良い人達ばかりで私の事まで仲間の様に扱ってくれてとても嬉しいよ。」
「仲間の様にってメイも僕達の仲間だよ。」
「うん、でも私は忌むべき者だから、ホントは傍にいたくないんじゃないかな?」
「それはないよ。みんないたくないなら関わらないと思うし、メイの話を聞いて力になりたいって思う奴等ばかりだよ。」
「ふふ、ありがと。」
メイは啓太の左腕をギュッと掴み、満面の笑みを啓太に向ける。何かデートっぽいなって思い、啓太は少し恥ずかしくなりつつも、メイと歩幅を合わせる。
こんな時間もあっても悪くないなと思い、異世界からやって来た事、サンクチュアリ帝国に反旗を翻している事を忘れてしまいそうだった。
「ねぇケイタ。」
「ん?」
「もしね、もし、平和に暮らしてたら私と啓太ってこうやって一緒に買い物に街に出たり、一緒の屋根の下で過ごせてたのかな?」
「かもしれないね。」
「ごめんね。」
「何でメイが謝るの?悪いのはサンクチュアリ帝国じゃん。」
「そうだね。あはは、ごめんね。」
啓太は、メイの言葉に少し違和感を覚えたが、どこにもメイに落ち度はない。もしサンクチュアリ帝国が攻めて来ておらず、メイも追われる身でなければ、どこかの街で二人で暮らしていたかもしれない。
でも、啓太は将吾達の事が気になって、たぶん度に出てたと思う。結果的に将吾達と合流して、元の世界に戻る為に旅を続けてたと思うと、二人で暮らしていた可能性は低かったかもしれない。
「ねぇ啓太、少し任務の事忘れて街を見て回らない?情報集めも大事だけど、少しは息抜きも大事だよ。」
「そうだね。ちょっと遊ぼっか。」
「ちゃんとエスコートしてね。私の騎士様!」
二人は、任務を一時の間忘れ、街の中を見て回った。
思っていたよりは活気がないとはいえ、街としては栄えており、泉もキラキラと水が反射し、水浴びにはもってこいな雰囲気があった。
脱衣場でそれぞれ水着に着替え、啓太は先に泉の畔でメイが来るのを待っていた。
そういえば、海やプールにもここ数年行っておらず、久々だなぁと啓太は足を泉に浸けてバシャバシャとばたつかせている。
「ごめんね、待たせちゃって。」
メイの声がして、振り向くとそこには革の水着に腰に白のパレオを巻いた姿のメイが恥ずかしげに立っていた。
「どこか変じゃないかな?こういうの着た事ないからよく分からなくて…。」
啓太は、鼻の下が伸びそうなのを必死に堪えつつ、メイの水着姿に見蕩れてしまっていた。
もし、自分がリア充という存在だったら、夏には彼女と海に行って拝んでいたんだろうなと脳内想像が駆け巡る。そして、メイって結構胸あったんだなと再確認していた。幾度か戦いの中で見てしまった事はあったが、緊迫していない状況で見るのは初めてだった。こんな時、男としてはこの姿への感想を言うのが礼儀だ。啓太は必死に言葉の選択肢を引っ張り出す。ゲームだったらここでセーブ間違いなしだと思いながら選択肢を見繕う。
[凄く似合ってるよ]
[可愛いよ]
[名前を付けて画像を保存]
そこで啓太は自分でも思いもよらなかった言葉を口にしていた。
「好きです…。」
「え?」
自分が何を言ったのか、数秒分からなかった。メイは急な出来事に赤面しつつ動揺を隠せないでいる。
「い、いい今僕、何て言った?」
「ぇ?えぇぇっと、よよよよよく聞こえなかったから分からなかったよ。何て言ったのののの?」
二人揃って声が震えて裏返る。必死に冷静を保とうとするが、動揺で手が震える。
「そ、そそそうか、聞こえてなかったんならいいや。気にしないでね。」
二人は深く深呼吸をする。まさかいきなり告白してしまうなんて心臓に悪いわとお互いに思い、気持ちを落ち着かせる。




