-mysterious identity(第三手)-
ハンターは無言で祐斗に襲い掛かり、祐斗はハンドガンでハンターの脚を狙い銃弾を放っていく。命中間違いなしの直撃コース。しかし、その銃弾はハンターをすり抜けて壁に銃弾が埋まった。
「何っ!?」
「私は闇そのもの、物理攻撃で倒せるとお思いか?」
「あ、お前喋れるんだ。」
祐斗は弾を入れ替え、魔法を込めた弾に入れ替える。その間にハンターは祐斗の目の前まで接近しており、祐斗の身体を掴もうとその腕を祐斗に向かって突き出してきた。
「これならどうだ?ゼロ距離に、俺を掴む為に透過も出来ないだろ?これでチェックだ。」
祐斗はハンターの腕に数発の銃弾を打ち込み、今度は見事にダメージを与える事に成功した。怯んだ隙に一蹴り浴びせ、再びハンターとの距離を開ける。
すると、急に周りの景色が歪み出し、溶ける様に景色が白い霧に包まれていった。
霧が晴れると、先程までいた街の出入口の門の前ではなく、邪王の鏡があり、ハンターが少年を縛り上げていた教会の地下であった。
「え?教会の地下?」
「どういう事だ…?」
祐斗もハンターも状況が把握出来ずにお互いを警戒しつつ、辺りを見渡す。少年の姿が見えず、少年に預けていた邪王の鏡ももちろん視界の範囲には見えなかった。
「おい、話が違うのではないか?光天王を仕留めるまで幻術は解かない事になってただろ?」
ハンターは大声で誰に話しているか分からなかったが、どうやら今までの事は誰かの幻術の中の出来事だったらしい。祐斗は再びハンドガンに銃弾を装填し、ハンターに向かって発射する。
今度は通常の弾丸でもちゃんと命中し、ダメージを与える事が出来た。どうやら透過作用も幻術による効能で、幻術がなくなった今なら通常弾でも通用するのだと祐斗は反撃を開始した。祐斗はハンターの周りに次元の裂け目、ワームホールをいくつも出現させ、そこから銃弾の雨をハンターに浴びせる。ハンターの鎧は次々と砕け散り地面に落ちていく。もう祐斗の勝利は確実であった。
「俺は無駄な殺戮はしない。教えてもらおうか?お前の共犯者に飼い主の事を。その鎧の紋章、サンクチュアリ帝国の騎士だろ?」
「良くぞ見破った。私はサンクチュアリ帝国、超帝の七騎士が一人、闇騎士。」
「つまり飼い主は超帝王って事か。なら共犯者の事を吐いてもらおうか?もしくは共犯者の方が投降してくれるなら命の保証はしようじゃないか。」
『投降?そんな事する訳ないじゃないか。』
祐斗はその言葉のする方へ容赦なく銃弾を撃ち込む。しかし手応えはなく、そこには先程まで行動を共にしていた少年の姿があった。
「少年、無事だったのか?」
「お兄さんには邪王の鏡を運んでくれた恩があるからね。ここで仕留めるのはしないであげるよ。」
「何?じゃあ少年、お前が超帝王なのか?」
「違うよ。そんな人外の集団と一緒にしないでくれるかな?僕は邪王の鏡が欲しかったからカイに話したら、こいつを貸してくれたんだよ。」
「裏切るのか!」
「裏切る?裏切るって仲間同士で使う言葉でしょ?元々なかまじゃないよね?僕達。それにカイとは友達だけど、カイの部下の、そのまた部下の存在で僕の仲間だなんてよく言えたね。幻術の中でお兄さんを殺すって言ってたのに、それすらも出来ないし、カイの部下もこんな部下いらないと思うよ。カイからは許可もらってるし、邪王の鏡の力を確認する為の実験になってもらうね。」
「私の事は何と言われても構わないですが、我が主君への無礼、許さん!」
闇騎士少年に向かって拳を振り下ろす。その瞬間、空かさず邪王の鏡を前に掲げ、闇騎士の姿を鏡に映した。
鏡から腕が伸び、闇騎士の拳を受け止める。そしてその腕の主が邪王の鏡からゆっくりと姿を現した。その姿は闇騎士に似てはいるが、禍々しいオーラに包まれた騎士の姿だった。
たしか邪王の鏡には、映した者の闇を具現化させる力を持つという。つまり、闇騎士の闇が具現化した存在が今闇騎士の攻撃を防いだのだ。
「よぉ、闇騎士。邪王の鏡から出た俺は邪騎士という事になるな。悪いが七騎士は八人いると困るんだよ。だからここで消えろ。」
邪騎士は、闇騎士を掴んだ手から次元の裂け目を出現させて、闇騎士を飲み込んでいく。
「な、何ぃ…。」
「おっと、光天王サマの魔力も一部吸収しちまったみたいで、次元の裂け目まで使える様になってるな。これは良い。」
「おのれぇぇぇっ!」
闇騎士は、邪騎士の出現させた次元の裂け目に飲み込まれていった。そこには跡形もなく、彼がそこにいたという証明すら出来ない状態となっていた。




