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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第二章-復讐の合成獣編-
30/60

-mysterious identity(第一手)-






ーーーー時は戻り、

啓太達が各々にキメラの迎撃と捜索に出発した後、祐斗は自室の鏡に向かって話しかけていた。


「彼等は出発しましたか?」

「えぇ、啓太達なら先程出発しましたよ。」

「各地で起こっている不可解な事件。キメラが関わっていそうな話だったので向かってもらいましたが、どうですか?彼等は。使いものになりますか?」

「お言葉ですが、十王神の力を手に入れてるんですよ。それに啓太達は決める時は決めてくれる奴等ですよ。」

「ユート、貴方が言うのなら信じましょう。ですが、私は心配です。いつ十王神の力に溺れてこちらに牙を向けて来るか。」

「大丈夫ですよ。」

「それに、こちらの動きがサンクチュアリ帝国に漏れているみたいなのですよ。あちらも十王神を出してきているみたいで、黒覇は既にサンクチュアリ帝国側の十王神と交戦したみたいですし、他の王も何らかの形で接触しているみたいですよ。」

「こちらの情報が漏れていると?」

「まだ分かりませんが、スパイが潜り込んでいると思って動いた方が良いかもしれません。黒覇の相手に黒龍が来たり、ユートの持つカードで唯一、十王神でないモノの実力を測ろうとしていたり、宝玉と不死、超帝も動いているみたいで、どうも怪しいんですよ。」


レクエム村の四方向でほぼ同時に不可解な事件が起こり、啓太達に向かってもらったが、もしかするとサンクチュアリ帝国が啓太達の実力を測る為に仕掛けた罠なのではないかと、祐斗も薄々感じていた。しかし、誰がどこに向かうかまでは祐斗が決めた事であり、偶然と思えばそれで片付くかもしれないが、どこか違和感を感じていた。


「どこで情報が漏れるか分からないですし、この会話も、もしかするとサンクチュアリ帝国に伝わってしまうかもしれません。まだ私と祐斗が裏で繋がっている事は知られたくはないのですよ。」

「しかし、ただの冒険者ギルドがデカい組織になってるってなると、バックに大物がいるというのは想像は出来るだろ。あなたと繋がっている事が知られるのも時間の問題だと思いますよ?」

「でも、まだその時じゃない。」


「話したい内容は、我が国の領土内で不思議なアイテムが見つかって、そのアイテムを回収して欲しいんですよ。」

「どんなアイテムなんです?」

「それが映した者の闇を具現化させる鏡らしいのです。その鏡が悪しき者の手に渡れば、国一つ崩壊させてしまう程の力になってしまいます。」

「例えばサンクチュアリ帝国に渡る様な事があればイコルマ法国が滅んでしまうと?」

「その通りです。今動けるのはユートとヘリスだけですし、どうか行ってはくれませんか?」

「分かりました。あなたの頼みなら聞くしかありませんから。その代わり報酬は頼みますよ。それで場所は?」

「場所はアンプロ街から更に東のトラマ街。頼みましたよ。」


会話が終わると、祐斗は鏡から離れ、椅子に座って雑務をこなす。数々の書類に目を通し、村人からくる冒険者への依頼書を難易度別に分ける。

仕事をしていると、へリスが祐斗の様子を伺いに、部屋を訪れてきた。


「何て言ってました?」

「トラマ街で邪悪なアイテムの回収をしろってさ。」

「トラマ街というとノリアキさんが行ったアンプロの先ですよね?ノリアキさんに連絡した方が良いんじゃないですか?」

「いや、あの人の頼みだし俺が行くよ。それよりも憲明には昌宗の方を帰りに寄って来て欲しい方だよ。アイツは十王神じゃないから、並の敵なら問題ないけど、もしサンクチュアリ帝国の十王神と対峙してしまったら勝ち目がないからね。憲明に連絡をしておいてくれ。俺はトラマの街へ行ってくる。」


祐斗はハンドガンに魔導を込めた弾丸を装填し、予備のマガジンを腰に携え、転移の魔法を唱える。


「ワープ!」


祐斗の姿が瞬時に消え、部屋にはへリスだけが残っていた。へリスは祐斗の座っていた椅子に座り、机にもたれ掛かる様に前屈みに姿勢を崩し深く深呼吸する。


「ユートさん、一人で抱え込みすぎなんですよ…。もっと周りを頼って欲しいな。ケイタさんやショーゴさん達だけでも私達が今おかれている状況を話せれば良いのに。」


へリスはため息をつき、祐斗の残していった書類に目を通していく。そこには啓太や将吾、雅史、祐斗、憲明の事が書かれた資料があり、十王神の力を宿した果実の事が書かれていた。






トラマの街の手前の草原に転移した祐斗は、辺りを見渡し、自分の現在地を確認する。情報によると先程話していた鏡の所在は街の中心部にある教会の地下にあるらしく、祐斗はトラマの街へと向かって行った。街に入っても人っ子一人いない。ゴーストタウン化してしまった様な街の風貌にとてつもなく嫌な予感が祐斗の脳裏に過ぎる。ハンドガンのセーフティを解除し、いつでも発砲できる様、ハンドガンを胸より上に構え、警戒しながら街へと入って行く。

その姿を物陰から一人の青年が眺めていた。


「あれがレジスタンスを取り纏めてる十王神か。君達、手筈通りに頼むよ。」

「御意。」


祐斗は街の中を散策する。所々野鳥がいるだけで、人の気配が一切なく、不穏な空気だけが立ち込めており、そして気のせいか気温が少し高いのか、汗が祐斗の頬を伝う。長居はしない方が良さそうだと思い、身を潜めつつ教会へと急ぐ。

教会に向かう道中も、教会の中でも誰一人とも会わず、地下にある鏡の所まで辿り着いてしまう。しかも簡単に鏡も回収出来てしまい、これでレクエム村に帰れば今回の依頼は完了になる。呆気ないなと思いつつ、それでいてこの街の異様さが気になって仕方ない。



そんな事を思った矢先だった。

急に誰かに押し倒されたと思ったら、目の前には自分よりも若い少年が祐斗を物陰に押し倒し、息を殺すように口を抑える。


「(静かにしてハンターがやってくる!)」


ハンター?一体何の話だ。この少年の気配もそうだが近くに人や魔物の気配何て一切感じず、数分そのまま時間が過ぎる。

祐斗は少年を押し放し、まともに呼吸をする。


「何も来ないじゃないか。お前はこの街の子供か?いったいこの街で何があったんだ。」

「おかしいな~。気のせいだったみたいだ。ごめんよ。」

「俺の質問に答えろ。この街でいったい何があった。」


祐斗はハンドガンの銃口を少年に突き付け、再び質問する。


「この街はサンクチュアリ帝国のハンターに襲われて皆殺されたんだ。毎回僕がハンターが来たって教えても皆話を聞いてくれなくて、街は全滅さ。」

「ハンター?サンクチュアリ帝国の手がこの街にも…。アンプロの街もキメラの話がある訳だし当然か。それにこの鏡の事もあるしな。」

「鏡?お兄さん、邪王の鏡を持ってるの?」


邪王の鏡。依頼のあったこの鏡の名前にそんな名前があったとは思わず、少年に鏡を見せた。


「お前、この鏡の事知ってるのか?」

「この鏡は映した人の闇を表に出す呪われた鏡なんだ。どこでこれを?」

「教会の地下にあるって話を聞いて回収しに来たんだ。そんな代物、サンクチュアリ帝国に渡す訳にはいかないからな。」


祐斗はハンドガンのセーフティを再びロックし、腰のホルダーに収納する。


少年の話を聞く限り、この街にはもう誰も残っておらず、そのハンターによって皆殺しにあってしまったらしい。唯一この少年だけが残って、ハンターから隠れて生活しているという。何故この街から出なかったのは疑問に思うが、どんな理由があるにしろ、まずはこの少年の身の安全の確保だ。転移の魔法ですぐにでもレクエム村に戻って、体制を立て直してハンター殲滅を行おうと、祐斗は転移魔法を詠唱する。


「ワープ!」


しかし、何も起こらず、祐斗の声だけが辺りに響き渡る。何故魔法が使えないのか原因が分からず、何度も詠唱するが結果は何も変わらなかった。


「そんな大声出したらハンターが来るよ。」


少年が動揺して、祐斗の口を抑えようとするが、時既に遅く、巨漢の男がどこからともなく姿を現し、少年を片手で鷲掴みにし、祐斗をギロりと睨みつけながらゆっくりと歩き去っていく。


「何だ今のは…。」

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