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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第二章-復讐の合成獣編-
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~魅惑の妖沌劇場(STAGE03)~








チャミとアグを倒し、昌宗は奥の部屋へと突き進んで行った。

すると、最奥部に他の部屋とは別格の扉があった。

昌宗はその扉を突き破り、槍を構えて部屋へと入っていった。そこには横たわる女性と、それに跨る男がいた。


「何事だっ?」

「あんたがイベリか?」


昌宗は、相手の回答も待たずに男の胸を一突きにする。その一撃で男は絶命し、そのまま槍を振り、男を振り払い、昌宗は女性に手を差し伸べる。


「大丈夫か?イベリって奴は俺が始末したからもう安心だ。アグもチャミも倒したし、この村は平和になるよ!」


昌宗は女性が安堵した表情をして感謝の言葉が来ると思った。





しかし、実際は違い、鳩尾を蹴り挙げられ、更に追い討ちをかける様にビンタが飛んでくる。


「おい、助けたのにそれは酷くないか?」

「酷い?それはこっちの台詞だよ!よくも妹達を…。」


「え?じゃあ君が…。」

「長女のイベリだよ!…よくも、よくも妹達を。」


先程、一突きで殺した男がこの劇場のオーナーのイベリかと思ったが、イベリは襲われていた女性の方であり、イベリはみるみる姿を変え、大豚のモンスターへと変貌した。


「まさか女性の方だったとは…。でも、それならこの豚を倒せばこの村は平和になる!」

「あら?勝てると思ってるの?」


昌宗は再び槍を構えて、自信有りげに「もちろん」と答えた。


大豚となったイベリは昌宗に襲いかかる。部屋での戦闘は狭くて逃げ場がない為、屋上へと誘い込む。イベリも昌宗を追い掛けて屋上へと突き進んでいく。

屋上に上がると、障害物もなく開けており、ここなら昌宗も全力で戦える。


「ここなら障害物もないし、思いっ切り戦える。俺は十王神じゃないけど、俺は強いぞ。」

「それは楽しみね。食べ応えあるかしら?」


イベリは昌宗に突進を仕掛ける。それをギリギリまでその場で立ち塞がり、すれ違いざまにイベリの左前脚に一太刀入れる。


「将吾だったらトンテキにトンカツ、豚汁と色々料理してくれるだろうなぁ。まぁ俺の方がっては思うけどな。」

「ショウゴ?誰の事を言ってるか知らないけど、自分の心配した方が良いんじゃない?」


イベリは昌宗に突進をかけるが、昌宗は次は回避せずに槍で脳髄から心臓へと真っ直ぐに突き刺し、イベリはそのまま崩れる様に床に身体を擦り付けて倒れ込む。しかし、刺し所がズレてしまっていたのか、一撃で絶命させるまでに至らなかった。イベリは人間の姿に戻り、肩で息をしていた。


「…どうして邪魔をするの?私達はただ自分達ができる事で生きているだけなのに。」

「あんた達は、税金徴収と言って村の人から巻き上げたお金で自分の肥やしにし、逆らう者に容赦なく首を撥ねてるんだろ?そんな奴等を俺は許さない。」

「そ、そんな事しないわ。私達は自分の身体を使って商売してるだけ。人を殺すなんてそんな事…」

「したよな?現に俺を殺そうとした。」

「あなたが先に私の妹達に手をかけたからでしょ。私達は平和に生きていきたいの。サンクチュアリ帝国で人体実験として身体を弄られ、チャンスが出来たから逃げ出してここで新たな生活を始めようとしただけなのに!」


昌宗は戸惑った。ラミから聞いた話と違っていたからだ。もしかしてこの場を逃げる為にでっち上げた嘘かもしれない。しかし、昌宗には嘘とは思えなかった。


「お、俺を惑わそうとしても無駄だぞ!」

「そんな事しないわ!私達は自由が欲しかっただけなのよ。」


昌宗は思った。もしかしたら初めに大きな間違いをしていたのではないか?とーー。

この三姉妹のイベリ、アグ、チャミはキメラの実験としてサンクチュアリ帝国に囚われ、何らかのアクシデントがあって、この村に辿り着いて生きる為に自分の身体を商売道具として暮らしている。それを好ましく思わない者が三人を殺そうとこの村まで追いかけてきたのではないのかと脳内で推理する。


「何をやってるの?惑わされちゃダメよ。」


ラミが追い付き、横たわっているイベリ目掛けてダガーを投げる。昌宗はすかさず槍で弾き飛ばし、イベリを守る。しかし、既に先程の場所にラミはおらず、イベリの方に振り向くと、イベリの背後から首筋に腕を回し、ダガーを喉元に突き付けていた。


「…ポイズンファング。」


ラミはゆっくりとダガーをイベリの喉元に突き刺し、イベリはそのまま絶命した。


「この子達の言葉をマトモに聞いちゃダメって言ったのに。彼女達はあなたを惑わして、そして殺そうとてくるのよ。気を緩めちゃダメじゃない。」


「ラミ、俺を騙したのか?」

「あの豚達は村の人達から多大な税金を巻き上げてた。私は所謂、義賊でこの村で悪事を働く三匹の豚達から奪われたお宝を取り返しに来ただけなんだよ。」

「だからって殺す事は無かっただろ?」

「この豚達は税金を払えない奴は容赦なく殺す。それにこの施設だって男から金を吸い上げて、払えなくなったら殺す。そんな酷い所なんだ。だから私は制裁として豚達をころしたんだ。それに私は十王神。この世界を救う王の一人なんだよ。」

「ならもっと他の方法があったはずだろ!それにこの子達も生きる為にやった事。それを俺達がとやかく言う事は出来ないはずだ。」


昌宗がラミに槍を向けて三人を殺めた事を悔いる様に促したその時だった。



「お前か?ウチになりすまして好き勝手やってくれたのは?」

「なりすまして…って、まさか!?本物の不死王?」

「不死王を語って、尚且つ命を粗末にした罪は重いよ。」


ラミの足元が黒く染まり、そこから何体ものスケルトンがラミの脚を掴んで地面へと引きずり込んでいく。


「マ、マサムネ…。嫌だ、死にたくない。」


昌宗は恐怖のあまり動けなかった。目の前にいるラミが不死王出会ったかと思えば、今現れた少女が本物の不死王だと言い、ラミをスケルトンを使って地面へと引きずり込んでいる。


「そこの!まぁこの偽物の姿をじっくり見ておくんだね。こいつはまず人間じゃないから。」

「どういう事だ!」


昌宗がそう本物だという不死王に問い詰めたのと同時に、ラミの姿が一変していく。その姿は少女ではなく凶暴な狼の姿であった。


「ラミ…?」

「こいつは我が軍の生物兵器"キメラ"。その試作品で、何者かによって強奪された内の一体さ。」


ラミはグルルと唸りながら、不死王を睨み付ける。

蛇に睨まれた蛙の様に、普通なら狼に睨まれようなら恐怖で身体が凍てついてしまった様に動けなくなる。しかし、不死王は恐怖を感じる所か逆にこちらが恐怖に包まれて動きが取れなくなってしまう感覚に襲われた。


「私はただ、シンジ様の命令で逃げた三匹の雌豚を捕らえるか始末しろと言われたから追いかけて殺しただけ!それに伝説の十王神を名乗れば恐れて降伏してくれると思っただけなの!悪気は無かったの!お願い命だけは…。」

「捕らえるか始末しろの二択なら生かして捕らえる事も出来たのに、容赦なく殺したよね?うちはそれが許せないんだよ。だからね…」


ラミは「助けて、助けて。」と何度も叫びながら、不死王の喉元にその牙で喰らい付こうと飛び上がった。不死王は右手を前に突き出し、何かを掴んだ様な仕草をし、「…クラッシュ・ハート」と唱えた。

すると、不死王の右手に心臓が現れ、不死王は容赦なくその心臓を握り潰した。それと同時にラミは両手を胸に当てて苦しみだし、牙が不死王に届く事なく地面へとその身体を打ち付ける。


「おい、十王神は世界を救う救世主じゃねぇのか!?」

「何か勘違いしてる様だから教えとくけど、十王神は正義の味方ではなくて、人智を超える力を持った破壊の化身よ。そこから何も生まない。私は生命の生死を操るけど、根幹は破壊よ。といっても生命を粗末にする人には容赦なくその生命を刈り取るけどね。あ、そいつは人間じゃなくて化け物かぁ!」


不死王は満面の笑みを浮かべながらラミの遺体を足蹴に部屋の隅へと退かす。昌宗は不死王の放つ恐怖のオーラで一歩も動けなかったが、その光景を目の当たりにし、怒りで身体が勝手に不死王に一撃を与えようと槍を持って突進していく。


しかし、一歩手前まで距離を詰めると恐怖から力の差を本能的に感じ取った昌宗は再びその場で足が固まってしまう。


「君じゃ、うちには勝てないんじゃない?何ていうのかな?…格が違う?命が惜しいならこの村から出た方が良いよ。まぁ、逃がすつもりは無いんだけどね。クリエイト・アンデッド、レベル5。」


不死王は、ラミの遺体に魔道札を投げて突き刺し、魔法を詠唱する。するとラミの遺体はゆっくりと立ち上がり、昌宗に襲い掛かる。昌宗は恐怖を感じながらも必死にその場から逃げようと足を動かす。


「あ、言っておくけど、この建物にいた人間やキメラはアンデッドにしといたから捕まらずに逃げるんだね。」


不死王は笑みを浮かべながら昌宗が必死に逃げるのを楽しみながら眺めた。

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