~魅惑の妖沌劇場(STAGE01)~
昌宗はレクエム村から南にあるシンフォ村をメイドのOn-LeaFsは連れずに一人でシンフォ村へと向かっている。
祐斗の情報によると、シンフォ村はここ最近不穏な動きが見られており、サンクチュアリ帝国のキメラの大群の侵攻と何か関係があるのではないかと、その調査の為に昌宗が向かう事になった。
ーーー昌宗がシンフォ村に出発する前日。
「ホントに私達は同伴しなくて大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。それに君達をまた戦いの場に戻したくないんだ。出来る限り平和に過ごしてもらいたい。」
「ですが、私達はこの救ってくれた命をマサムネ様の為に使いたいのです。」
「じゃあここを守っていてほしい。帰る場所を守るというのはどうだ?」
「畏まりました。私達でここを守りますね。」
昌宗はメイド達に言い聞かせ、単身でシンフォ村へと出発したのだった。移動に一晩かかり、翌日の昼頃にはシンフォ村の近くまで来る事ができ、昌宗は村の周辺を確認する。すると、シンフォ村を取り囲む様にオークの盗賊が陣を張っていた。
「何だ?あのオーク達。これじゃシンフォ村に入れないな。」
昌宗が村の周りを眺めていると、背後に気配を感じた。その気配の持ち主は、こちらに警戒せず声を掛けてきた。
「君、シンフォ村に行きたいの?」
そこにいたのは、灰色のマントを羽織った自分と同じ歳くらいの少女が声を掛けてきた。
「実は私もシンフォの村に用があるんだけど、オークが入れてくれないんだよ。好戦的なオーク達で、シンフォ村を訪れる人間を容赦なく襲ってその金品を巻き上げてるんだよ。お互いにシンフォ村に用があるんだから一緒に行かない?」
「まぁ俺は構わないが。あのオーク、そんな事してるのか。アンタは戦えるのか?見た所シーフみたいだけど。」
「これでも死霊系の魔法詠唱者で、近距離戦闘も出来る冒険者だよ。君も冒険者かな?」
「あぁ、俺はレクエム村から来た冒険者の昌宗だ。まぁ腕には自信あるが、あの数だ。アンタも戦えるなら手を貸して欲しいと思ってな。」
「任せといて。私はラミ。よろしくね。」
ラミという少女はそう言いながら、昌宗に手を差し伸べる。昌宗は少し照れながら握手をする。
昌宗とラミの二人は、シンフォ村の入口に向かって進んで行く。遠方からでもその姿は目指でき、オーク達は入口の警備を固めていく。二人が入口に到着する頃には村を囲んでいたオーク達全員が昌宗とラミを待ち構えている状態になっていた。
「おいアンタ、この村に何か用か?」
「まぁな。」
「じゃあ通行料一人千ダルクずつの二千ダルクだ。」
「はぁ?見た感じ税関でも無さそうだし、通行料がそんなに高いはずないだろ?」
「もしくはお前達、この村を襲う盗賊か?」
「ちがう、ちがうんだ!俺達はこの村に用事があって訪れたんだ。襲うつもりもないし、危害を加えるつもりは無いんだ!」
「その慌てっぷり、怪しいな。俺達はこの村の当主に頼まれてここで警備してるんだ。怪しい奴は通すなという指示でな。アンタに恨みはないが死んでもらう。」
「マサムネ、やっぱり戦うしかないようだよ。」
「おい!こいつ等をやっちまえ!」
その一声を合図に周りのオーク達が昌宗達に襲いかかる。
「フェザーウィンド武槍術、猛槍!」
昌宗は槍を前に向けて突進し、オークを次々と薙ぎ倒していく。後方から襲いかかるオークはラミがダガーで応戦してくれている。それにしても数が多く、一人一人を相手にしてるとこちらの体力が先に尽きてしまう一方で、二人しかいない為、昌宗達が圧倒的に不利だ。
「これじゃキリがないな。なら一掃してやる!フェザーウィンド武槍術、嵐槍!」
昌宗は槍を振り回し、竜巻を起こすと、オーク達を一気に吹き飛ばす。竜巻の風は鋭く、オーク達の着ていた鎧も簡単に切り裂いてダメージを与えていた。
「それだけ深手を負えば戦意喪失だろ?諦めて俺達を通してくれないか?」
「こいつ等、強い…。」
「この強さ、脅威だけどまっすぐだ。悪い奴ではな…」
「サモン・スケルトン!」
オークの言葉を待たず、ラミは懐から出した魔石を砕き、辺りにばら撒く。すると魔石の欠片からスケルトンが出現し、オーク達を次々に喰い殺していく。
「な、何なんだお前は!」
「私は不死王。不滅の力を持つ異形の者、十王神の一人よ。」
ラミがオークの問いに答えると、スケルトンが容赦なくオークの首を喰い千切った。
「十王神?それって啓太達と同じって事か。」
ーーー十王神。
啓太達もその十王神であり、十王神という名前から十人いるのは確かだと思うが、それ以上の事は啓太達も知らない。これは十王神が何者なのか情報が得られ、仲間を増やせる絶好のチャンスだと思った。
「なぁその十王神って何なんだ?俺の仲間も十王神で、あんたも十王神の一人なら俺達の仲間にならないか?」
「……え?マジで?」




