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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第二章-復讐の合成獣編-
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~摩訶不思議の國の雅史(ROUND1)~






将吾は自らの手で三人を殺め、その三人は死を求めていたとはいえ、助ける方法があったんじゃないのかと、頭の中で答えの出ない問いを自分自身に問いかけ、すぐには立ち上がれずに何時間もその場で膝を付いていた。


「あの子達も、キメラみたいにサンクチュアリ帝国の生物実験の被害者って事だったのかな…。今となっては分からないか。」




将吾は三人の遺体を眺めていた。以前なら遺体を見たら発狂していたが、これまで幾度となく戦いを続けて来たからか遺体を見ても恐怖を感じなかったが、自分が殺めてしまった罪悪感から何度も嘔吐しながら三人の遺体を庭の隅に運んだ。

庭に三つの穴を掘り、三人をそれぞの穴に埋葬する。

土を被せ、墓標を立て、墓標にそれぞの名前を掘り、将吾は洋館を後にした。


将吾が洋館の敷地から出ると、先程まで綺麗に手入れされた庭や屋敷がいきなり古びた姿に変貌した。どうやらサヤが魔法で洋館の姿を変えていたみたいで、洋館は所々壁が崩れていたり、植物が壁を伝っていたりと先程までの華やかさは消え去った廃墟へと姿を変え、役目を終えたかの様に洋館は崩れていった。


「洋館が姿を…。サヤの力でこの廃墟の姿を変えてたんだな。」


将吾は凍傷の様になった左肩を擦りながら、落ちていた布を羽織り、雅史のいるヒムの街へと向かった。


将吾と別れ、雅史はヒムの街を一人で散策している。ヒムの街は、如何にも平和そうな街であり、キメラの大群が襲撃して来たり、他の街や村みたいにサンクチュアリ帝国の襲撃の恐怖で怯える人もおらず、悪い表現をすれば平和ボケしている街という印象を覚えた。

広場に行くと、一人の娘が辺りを見渡しながら何かを探している様だった。


「どうしたんだい?」

「あっ、私今日このヒムの街にに引っ越してきたんですけど、どこにどんな場所があるのかよく分からなくて。」


平和そうなヒムの街は、周りの村や街がサンクチュアリ帝国の襲撃に遭い、難民となった人達が次々とやって来ている。難民となってしまった人達もこのヒムの街では襲撃の恐怖を忘れて暮らしている。彼女もその一人なのだろうと雅史は思った。


「俺も今この街に辿り着いただけでよく知らないんだ。」

「じゃ、じゃあ一緒に色々周りませんか?お互いこの街の事を知る為にって事で。」

「構わないぜ。」

「ありがとうございます。優しいんですね、えっと…。」

「俺は雅史。」

「私はアヤっていいます。マサシさんって優しいんですね。」


アヤは優しく微笑む。雅史は少し照れながらへへっと微笑み返す。

二人は一緒に村の中を見て回る事にした。

キメラの襲撃される可能性が一番高いヒムの街。街の中にいると襲撃される恐れ

あるなんて忘れてしまいそうなくらい平穏な時が流れており、街の周りも建物三階分の高さはありそうな壁で囲まれている為簡単には突破されそうには思わない。


「この街の壁も凄いよね。俺の住んでいるレクエム村もマンティコアの襲撃から壁で囲まれて簡単には突破されない様にはなったけど、ヒムの街もかなり頑丈な壁だよね。これならマンティコアがまた攻めて来ても簡単に侵入されないし、その前に俺がまたこの拳で倒す。」

「マサシさんってお強いんですね。あのマンティコアを倒したんですか?」

「最初は俺も勝てないって思ったけど、マンティコアに襲われて人々が苦しんでるのにって思って戦ったんだ。そしたらあの伝説の十王神の一人、機龍王の力を手に入れてマンティコアを倒したんだ。」

「機龍王、あの十王神伝説の鋼の魂を秘めし気高き機龍王。伝説って本当だったんですねっ。」


アヤは興味津々に機龍王について雅史の話を聞いていた。やはり十王神伝説はこの世界では有名な伝説で誰もが知っている話であった。

そんな時だった。


ドゴォォォォォォンッ!


壁の方から爆発音に似た音が鳴り響き、村人達が慌てふためきながら村の真ん中へと向かって走っていく。


「何が起こったんだ!?アヤさん、君は避難して。俺は様子を見に行ってくる。」

「私も一緒に行きます!」

「危ないから」

「でも行きます!困っている人を見過ごせないもん。」

「わかった。でも無理はせず危険だと思ったら逃げるんだ。」

「はい!」


二人は爆発音に似た音の方へと向かう。近付けば近づくほど、悲鳴と血の匂いが立ち込めており、巨大な"何か"が暴れているという事だけが遠くからでも視認する事が出来た。


「あー!いったいどこにいるのでしょう!私の最高傑作のマンティコアを殺したバカは!」


そこにいたのは、巨大な合成生物"キメラ"を従え、白衣を着た男がキメラを暴走させていた。


「おい、ここで何やってんだ!」

「お構いなく。お前みたいな雑魚なバカじゃなくて、私の最高傑作のマンティコアを殺したバカを探してるだけですから。」

「は?マンティコアは野生だろ?憲明が巣を焼いたから暴れたって聞いてるが。」


たしか、憲明から雅史は野生のマンティコアの巣を焼いてしまって、暴走してしまい、マンティコアがレクエム村を襲撃したと聞いていた。


「野生ではない!あれは私が長年の歳月をかけた最高の合成生物。サンクチュアリ帝国が高値を出すから貸し与えたのに、逃がしよって、それをどこかのバカ二人が倒したと聞いたから、そのバカを殺しに来たのだ。」

「…あ、マンティコアを倒したのは俺だ。」


雅史は自分を指さし、気まずくハハハ…と失笑する。


「お前がマンティコアを殺したバカだったとはな。キメラよっ!このバカを喰い殺せっ!」


キメラは科学者の男の指示を聞き、雅史に襲い掛かる。あんな凶暴なキメラに襲われては雅史はタダでは済まないと思い、自分の手で視界を隠した。


恐る恐る指の隙間から前を見ると、雅史は噛み付こうとするキメラの獅子側の顎を両手で抑え、その動きを止めていた。


「やっぱマンティコアの方が強かったな。」


次に山羊の頭部が角で雅史を貫こうとする。雅史は素早く顎を抑えていた両手を離し、山羊の頭部に一撃をくらわせる。

キメラはその一撃の反動で数メートル先へと弾き飛ぶ。


「ガン・バレット!」



「なっ、そ、その技はっ!」

「銃撃武芸術«ガンバレット・アーツ»。銃弾の様に速く強力な技を打ち込む武術。大抵の相手じゃ俺は倒せないぜ。」


雅史は両腕を肩から回し、柔軟してしっかりと戦闘態勢をとる。マンティコアが起き上がると、軽くステップを踏みながら、ジワジワと距離を詰めていく。


「ガン・ストーム!」


遠心力を加えてアッパーはマンティコアの獅子の顔を顎から突き上げる。


「あのキメラをこうも容易く…。マンティコアを倒すだけの実力のバカという事だけはある。」

「バカバカと五月蝿いな。」

「バカをバカと呼んで何が悪い?悪いのはバカなお前だろうに。」

「で、どうする?このキメラ一匹じゃそのバカには勝てないぜ。」

「ホントならキメラの軍勢でこんなバカ一気に仕留められるというのに、キメラを操る腕輪をどこかのバカに盗まれてしまったから、それも叶わぬか…。なら私自らバカの相手をしてやろう。その後にキメラの餌にしてやる。」


雅史は男に向かって、すかさずガン・バレットを繰り出す。しかし、防御系の魔法を展開し、雅史の攻撃を防ぐ。


「この防御を貫ける程の技でないとこの私には届かんぞ。」

「じゃあ撃ち抜けば良いんだな。」


雅史は左腕をまっすぐ伸ばし、右の拳を後ろへとスライドさせ力を収束させていく。


「ガン・バスター!」


雅史の拳から放たれた光弾は科学者の男の魔法防御を難なく破砕し、そのまま男の左頬を殴り飛ばす。


「な、何だと…。」

「俺の拳は弾丸だぜ。どんな相手でも撃ち砕く!」


その光景を目の当たりにしたキメラは身の危険を感じ、その場から逃げ出し、男は一人取り残されてしまった。科学者の男は痛む左頬を庇いながら少しずつ雅史から離れようと地面を這う。


「無駄な殺生はしないつもりだ。逃げるなら追わない。でも二度とこの街に危害を加えるなよ。」

「ここで私を殺さないとは、やはりバカだな。ここで殺さなかった事を後悔させてやる。」


科学者の男は液体の入った試験瓶を地面に叩き付け、中から大量の靄が発生した。

意識が朦朧とし、雅史とアヤはその場に倒れ込み意識を失ってしまった。


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