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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第二章-復讐の合成獣編-
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~快楽の業火~





「やっぱあんただったんだな。セクラ。」


憲明は、人狼の後ろから現れ、地上へと上がる階段の扉を閉じる。


「いつから私だと分かっていました?」


セクラは人の姿に戻り、憲明の方に顔を向ける。


「正直、今の今まで確信はなかったが、あんたは情報を持ち過ぎてたんだ。最初に宿の部屋で聞いた時に、疑問に思ってたんだ。何でこんなにも被害者の情報を知ってるんだろって。あとはたまに隠せていなかった殺意。最初に俺を仕留められなかった事への怒り。俺は少しばかり野生の勘が鋭くてね。そういうの敏感なんだわ。」

「やはりこの殺意…隠そうとしても隠し切れないんですね。」


セクラは妖艶な笑みを浮かべ、憲明の方へ歩き寄る。


「何故、こんな事をするんだ?」

「昔、一人の少女が森に住むお婆さんの所へ御遣いに行きました。森に住むお婆さんは既に狼に喰い殺され、お婆さんの家には狼が住み着いていました。」

「いきなり何の話だ?」


セクラは憲明の言葉を無視しつつ、話を続ける。


「既にお婆さんが死んでいる事なんて知らない少女は、狼の住む家に向かいます。そこで少女は狼に強姦され、お腹に新たな生命が宿りました。それが私です。狼はその後、街の男達によって退治されました。母は狼の子を産んだ事で迫害を受けながらも、私を育ててくれました。母は街の男達の慰み者として弄ばれても、私の前では笑顔で接してくれました。そんな生活に限界を超えてしまった母は自ら命を断ち、身寄りがなくなった私はウフルの元で彼の玩具として過ごしていました。私はウフルや街の男達に必ず復讐しようと決心し日々耐えて来ました。」


セクラは蝋に火を灯し、独房の周りが照らし出される。セクラの姿は一糸纏わずの姿で立っており、修道服を来ている時には分からなかったが体型はとても女性らしく魅力的な身体付きをしていた。


「私は私の様な女性を増やしたくないと思う一心で、女性をただの快楽の道具にしか扱わない者に天誅を下してきました。時には、強姦され生命を絶ちたいと懇願する者も殺しました。そうしている内に私は殺す事に快楽を覚えました。」

「壊れてるな、あんた。」

「壊れてるのは私ではなく、母を孕ませた狼です!私は本能のまま、血が求めるままに人を喰い、私の欲求を満たしているだけに過ぎません!あなただってお腹が空けば食事をするでしょ?同じ事です!」

「それじゃあウフルがあんたにやった事と変わらないんじゃないのか?」


憲明は左の指を鳴らし、セクラの身体を発火させる。

痛みや熱を感じていないのか、セクラは不気味に笑みを零す。


「私は死にませんよ!こんなのは痛みでも苦しみでもありません!狼に強姦された少女だった母や、同じ様に男に弄ばれた女性達の味わった痛みと苦しみ、そして私がこれまで味わった苦痛に比べれば、愛撫されている様なものですよ!気持ち良くてたまりません!」

「そうか、苦しかったんだよな。少しずつ自分の中の狼の本能が自分の意識を喰っていく事に。そして喰われちまったんだな。」

「気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい!」

「ヘル…フレイム…!」


セクラを包んだ炎が黒味を帯びて火力を増し、セクラの皮膚を焦がしていく。


「地獄の業火だ。これで逝かせてやるよ。行き先が天国じゃなくて悪いがな。」


セクラの身体が再び人狼へと姿を変え、憲明に襲い掛かろうとする。

憲明は更に左指を鳴らし、火力を上げてセクラの身体を火柱で包み込む。


「まだこんな快楽があったなんてぇ!もっと、もっと激しくしてぇっ!」


セクラは炎に包まれながらも憲明に襲い掛かり、憲明の首を絞め上げる。二人共炎に包まれ、その炎は教会へと燃え移り、辺り一面火の海へと変貌した。いくら憲明でも炎の熱

効かないが、炎によって辺りの酸素を奪われては窒息死から逃れられない。それにセクラに首を絞められていてはまともに呼吸なんて出来なかった。


「(これはさすがにヤバいな。)」


憲明が諦めかけたその時だった。急に扉が開き、二つの小さな影がこちらに向かって飛んで来るのが目に見えた。


「お姉ちゃん、ここ!」

「ガン・バレット!」


小さな影の一つがセクラの腹部へと飛んで行き、一撃でセクラを突き飛ばした。それと同時に後ろからもう一つの影が憲明を引っ張り、教会から脱出した。


やっとまともに酸素が吸え、朦朧とした意識が正常に戻ると、そこにはシンゲンとマリアが涙目で憲明を見詰めていた。


「お父さん、無事で良かったよ。」

「…私達だってお父さんの役に立てるから、もっと信頼して頼って。」

「助かったよ。でも、何であそこに俺がいるって解ったんだ?」

「僕の目は透視も出来るんだ。お父さんを探して力を使ったら教会の下にいて、マリアと一緒に助けに来たんだよ。」


シンゲンの説明にマリアも頷く。憲明は「心配かけてごめんな」と言いながら二人の頭をガシガシと撫でてやった。教会の火は夜が明けるまで燃え続け、焼け跡からは頭部と手は狼の大柄な骨が横たわっていた。そしてその隣には下半身が粉々に砕けた男の骨が無残にも落ちている。


「これで人狼事件は幕が落ちたけど、サンクチュアリ帝国のキメラとは関係なかったな。って事は、やっぱ将吾と雅史が行ったヒムとコラムの街が当たりだったって事だな。」

「でも、結局最初の被害者だった科学者っていったい何者で、何の為にこの街に来たんだろうね?」

「今となってはそれも闇の中って事だな。」


憲明達は、アンプロの街を出て一度レクエム村へと戻って行くのであった。


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