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EARTH OF END/ALTERNATIVE -DIEND-  作者: 吾郷夜月/原作:天元遊戯
第二章-復讐の合成獣編-
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~人狼ゲノム~





夜が明けると、宿の亭主に連れられて憲明とシンゲン、マリアは教会に来ていた。

昨夜も人狼による被害が出たらしく、人狼を見つける裁判が行われる為に教会の前には街の人達が集まっており、昨晩、街に着いた時とは違って人が多いが、活気とは違った空気が立ち込めている。


「昨夜もまた人狼による被害が出てしまった。我々は、また人狼ではない者を処刑してしまったのです。ですが、今日こそは人狼を処刑しましょう。」


壇上に立って街の人に語り掛けていた男は、服装を見るにどうやらこの街の神父らしい。壇上の隣には絞首刑用の処刑台があり、昨晩に宿の亭主から聞いた裁判がこれから始まるみたいだ。


「あの方が、この街の神父様でこの裁判の裁判長のウフル様です。毎朝こうやって街の者が集められ、ウフル様が人狼の犯行を皆に報告して、被疑者を見つけ、街の人達が被疑者を人狼だという意見が過半数になると、その者はあの絞首刑場で処刑されます。既にあの縄で何人もの人間が街の人達から人狼と言われて命を奪われています。」


宿の亭主は少し悲しげに憲明に説明してくれた。


「昨夜の被害者は、農家の青年。無惨にも首を一呑みにされておりました。そして、昨晩遅くにこの街に辿り着いた旅人の青年。しかし、この青年は運良く一命を取り留め、この裁判にも参加してもらっております。農家の青年の家は宿屋の隣、そして旅人は宿に泊まっておりました。さらに旅人の存在は昨晩街が閉ざされる前に来たので、宿の亭主しか知り得ない。この事から宿の亭主、あなたが人狼ではないかと推測します。」


街の人達は宿の亭主を見てザワつく。憲明も驚いた。たしかに昨晩から今まで宿の亭主しか会っていない。自分達がこの街に来たのを知っていたのは、宿の亭主だけなのは明確だった。


「私が人狼な訳あるはずがないでしょう!私はその前の夜に娘を人狼に喰われています。最愛の娘を私が手に掛けるとお思いですか!?」


宿の亭主の少し悲しげな表情の原因は人狼に娘を喰われたからだったのかと憲明は思った。


「人狼は狼になると自我を失い、狩猟本能で動くモンスターだ。夜になって本能の赴くままに娘を喰ったのだろう。だが私達はこれ以上被害者を増やす訳にはいかない。宿の亭主よ。絞首刑と処す。異論がある者は申し出を!」


ウフルの言葉に宿の亭主本人以外に異論を唱える者はおらず、大柄な男が宿の亭主を掴み、絞首刑台へと連れていく。宿の亭主に首に縄を掛け、逃げられぬ様に手足を縛り付ける。宿の亭主は必死に「私じゃない!信じてくれ!」と何度も叫ぶ。しかし、それでも街の誰もが異論を唱えず、「殺せ!殺せ!」と各々が囁いていた。


ーーーその次の瞬間だった。


宿の亭主が立っていた床が抜け、重力によって縄が締まり首が締め付けられる。憲明はその光景をシンゲンとマリアに見せまいと、2人の目を塞ぐ。


「これで、今夜こそ私達には平穏な夜が戻る事でしょう。」


裁判と処刑が終わり、シンゲンとマリアを部屋に帰すと、憲明は街で情報を集めた。しかし街の人達は何も話したがらず頑なに口を閉ざすばかりだった。


「やっぱ人狼もフュージョニアの技術が生んだモンスターなのか?」

「よぉ!兄ちゃん見ない顔だが、旅人か?」


声をかけて来たのは、大柄な男だった。憲明はその男を見た事がある。朝行われた処刑台へ宿の亭主を運んだ男だ。


「まぁ似た様なもんだな。俺は冒険者だ。」

「冒険者?依頼があったら何でもやる野良犬集団か。そんな冒険者の兄ちゃんがこんな辺鄙な所に何用かい?」

「ちょっと怪奇事件を解決にな。まさか到着初日に喰われそうになるなんて思わなかったがな。」

「夜這いにあった旅人って、兄ちゃんの事だったのか。まぁ今夜はぐっすり眠れるんじゃないのか?良い睡眠をするにはその直前に適度な運動をする事だ。俺は毎晩運動してるからな。兄ちゃん、名前は?」

「憲明だ。」

「俺はジャリパー。俺も数日前に来た流れ者だがな、ここの暮らしが気に入って居座ってるって所さ。良い女に美味い酒、そして美味い料理。これが揃えば最高の場所だろ。」

「悪いが俺はまだ未成年なんで酒の味は分からないな。人狼のお陰で活気は無くなってる静かな街になっちまってるみたいだけどな。活気のある街って聞いてたんだけど、そんな感じは全くしないもんな。」


憲明は辺りを見渡しながらジャリパーにそう告げる。

ジャリパーは「落ち着いた静かな街ってのも良い場所だぜ。」と言い、憲明の背中を軽く叩いて「良い思いをしたいのなら俺の所を尋ねると良いぜ。」と言葉を残し、街の中へと去って行った。

かなり友好的に接しては来たが、何か言葉に出来ない威圧感を感じていた。それは憲明の野生の勘が本能的にジャリパーは危ない存在だと感じていた。


「独裁裁判な神父のウフルに処刑人のジャリパー。どちらも怪しそうに見えてしまう。情報が無さすぎるな。街の奴等は頑なに何も話してくれねぇし、どうしたもんかね。」


「人狼の事、知りたいんですか?」


そう声をかけて来たのは、一人の修道女だった。

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