~プロローグ~
「じゃあ行ってくるよ。」
「気を付けてね。おじいちゃんとおばあちゃんによろしくね」
啓太は荷物を担ぎ、実家を後にする。四国から離れ、今月から本州にある御門大学への進学が決まり、祖父母の所に居候して通う事にし、これから4年間を過ごす事になっているのだ。
高速バスに乗り、5時間ほどバスに揺られて祖父母宅近くに辿り着く。
啓太は移動中は睡眠を取り、バスを降りてからは鞄を背負い、祖父母宅へと歩いていく。
「明日から僕も大学生かぁ。どんな事が待っているのか楽しみだ。」
本州といっても、都会から少し外れた所な為、建物も住宅が多く、田畑が住宅よりも多い。
車もたまに走っており、歩道と車道が分かれていない箇所が所々あり、通行も気をつけなければならなかった。
祖父母宅へ向かっていると、一人の女性が啓太の前に立っていた。
「こんにちは。」
「こ、こんにちは。」
擦れ違い様に女性が啓太に挨拶をしてきたので、緊張しながらも挨拶をし返す。
「頑張って。待ってるから…。」
振り返ると、既に女性の姿はなく、啓太は不思議に思いながらも再び足を進める。
緑の長い髪の女性。初対面のはずなのに、どこか惹かれるものがあり、彼女の言った言葉を怪しげに思いながらも、その言葉の通りにまた会える気がしながら、再び祖父母宅へと向かって行く。
ーーーー同時刻、御門大学。
学内の教室に二人の男性が会話をしている。
「ようやくだ。ようやく我々の祈願が叶う。」
「でも、本当に良いんですか?実行すれば後戻りなんて出来ませんよ。」
「後戻りする必要なんてないさ。私はあの世界に希望を。再びあの子をあの世界に送り込むんだ。その為に扉を開ける贄も揃えている。数人は生きて送られるとは思うがね。それであの世界が救われる。」
ーーーー同時刻、サンクチュアリ帝国-首都ロンド
少女は城を抜け出し、白いフードを被り、城下町を抜け街道へと向かって走って行く。
「何?忌むべき者を取り逃しただと?すぐに捕まえろ!指名手配もして、忌むべき者を捕らえるんだ!急いで外門を閉めろ。この都市から逃がすな!」
サンクチュアリ帝国王子カイは兵士達に命令を下し、街中に兵士達を向かわせた。
「レックス、アヤ、カナリス、ジーク。貴様達はこの帝国軍で優秀な兵士だ。我と共に国の為に更なる力を手にして帝国の力を隣国に示そうじゃないか!」
カイはレックス、アヤ、カナリス、ジークと共に目の前にある果実を食べる。ゴクリと飲み込んだ瞬間、彼等に今までにはない禍々しいオーラを放ち、怪しげな笑みを浮かべる。
ーーーー場所は戻り、御門大学。
男性は立ち上がり、窓から校内を眺める。
「あの世界、アースを終わらせる《アース・オブ・エンド》物語の開闢だよ。」