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2 プロローグ 2

会社名、未来、本社の会議室。

僕の名前は中村 慎太郎、役職は課長。

今日は僕達のチームが開発したシンライについて月一度会議が開かれていた。


「それでは先月の決算ですが、シンライは約1億円ほどの売上でした。

わが社にとっては、最も売上の延びているゲームだと言えます」


「加藤部長、たった1億だと!開発費にいくらかかっていると思ってるんだ!」


「はぁ、葛城社長、それは…、」


「曖昧な返事をするんじゃない!

もっと多くの顧客を確保しないと開発費まで稼げないだろう。

もっと課金させるようなシステムにしないといけないんじゃないのか、なあ、中村課長」


「はい、でも課金するようなシステムにするとプレイヤーが離れる可能性が有りますので…、」


「離れたら離れたで、更に多くの新規のプレイヤーを獲得すればいい話だろう」


「その通りですね、社長

中村課長、課金するようなシステムにプログラムを書き換えなさい」


「でも、しかし」


「社長の指示ですよ、新規プレイヤーを獲得する為にネットシステムを広げてはどうかな、まだネットワーク内で繋がっていない場所とかあるだろう」


「しかし、それではウイルス感染してしまうリスクがありますが」


「中村くん、その為にウイルス対策会社と契約しているのではないのか。

ウイルスに感染したら、対策会社の所為ではないのか。

社長の指示ですから、命令に従わないならチームリーダーを変えてもいいんですよ」


『はぁ~』


約1時間程の会議が終わり、休憩室でコーヒーをのんびりと飲んでいた。

隣の喫煙室では多くの社員で一杯、満室状態で透明なガラスが煙で曇って見えないほど酷かった。

僕はタバコを吸わないので分からないが、其処までして吸わないといけないものなのか、あの光景を見ると僕はタバコを吸わなくて良かったと思う。


それにしてもネットを広げるなんて、それはそうと、つまり安全な所から未知の世界へ繋ぐということで、どんなリスクがあるか分からない。


でもこの開発したアンフィニーシステムが更にパワーアップする可能性はあるが、ウイルス感染というリスクもある。

それがプレイヤー達に拡散したら…、そう思うと段々胃が痛くなる。

会社で決まった事をやらないと、僕はクビになるかもしれない。

そうなると今の時代、次の職が直ぐに見つかるとは思えなかった。

今の生活を守る為、やるしかなかった。

ウイルス対策会社には、念の為に更によく調べて貰うように言っとくか。


段々と僕のやりたかった事から、ずれてきているような気がしていた。



一週間後・・・


今日は日曜日。

僕は湊と今日1日、ゲームをする事に決めていた。

皆とレベル上げをしながら、レアアイテムのドロップを狙っていた。

メンバーは猫の旅団のマスター、湊のキャラ、ミケ猫、サブマスのホームズ、シャム猫、ベンガル、バーミーズ、

そして僕のキャラ、刹那で狩りをすることになっていた。

というか、メンバーはまだ6人しかいなかった。

僕のレベルは、まだ5、バイトで忙しく夜しかインしてなかったので、レベルが全く上がってなかった。


そこで一気にレベルを上げてくれるということで、全員で集合して狩ることになっていた。


最初の街グレスのアイテムショップの前で待ち合わせしていた。

メンバーと狩りに行くのは初めてだった。

いつも湊とばかり頼って他のメンバーと話した事がなかったから、いい機会だからとメンバー全員に集合がかかった。

普通なら、来れない人とかもいそうだけど、今回は全員集まるそうだ。

皆、暇人ばかりなのか、それともレアアイテム狙いなのか…。


9:30 ちょっと早いけど僕はゲームにインして、アイテムショップに向かうと、既にサブマスのホームズさんとベンガルさんがいた。


「はじめまして、刹那といいます。

よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしく」


「よろしく、俺達もまだ初めてそんなに経ってないから、一緒に頑張ろうよ」


「はい」


名前をクリックするとホームズはレベル20、魔法使いと表示されている。

ベンガルのレベルは15、冒険者となっている。

表示画面では、これ以上は分からなかった。

それから10分後くらいに、シャム猫、バーミーズがやって来た。

レベルは二人ともレベル13、まだまだ低かったけど、僕のレベル5に比べれば高レベルだ。


湊がくるまで、たわいもない話をしていた。

サブマスのホームズさんは社会人で22歳、バーミーズさんは年齢不詳というか秘密だそうだ。

話し方からして年上のような感じだけど、会社員らしく、忙しくてあまりイン出来ないらしい。

会社員なんて羨ましい。

会社に勤められない僕は、ちょっと妬んでしまう、そんな嫌な自分がいた。


他のメンバーはまだ高校生だそうで、まだ何になりたいのか決まっていないそうだ。

そう、僕もそんな時があった。

将来、何になりたいのか分からずに周りに流され、結局、仕事に就けずバイトでその日暮らしをしている。

そんな僕のようになるなと僕は言いたかったけど、ゲームの世界でそんな言う資格はないよな、僕も現実逃避してゲームの世界に来ているから、ゲーム内では全てを忘れて楽しもうと思う。


そして約束の10:00が過ぎた頃、湊のミケ猫がやって来た。


「ゴメンゴメン。会社から電話がきて遅れてしまった」


「ミケ猫、仕事は良かったの?」


「ああ、大丈夫、気にするな。

大した用でもないのにかけてくるなって~の」


仕事有るだけでも羨ましいのに、そんな事でクビになったらどうするんだろう。


「さて、今日は全員で狩りに行くけど、刹那は挨拶終わったかな」


「来るのが遅いから終わっているよ、ミケ猫」


「そうか、それじゃ早速狩りに行くか。

今日は人数多いから、レベル高めの敵を狙うか」


「無理はするなよ」


「分かってるって、死なない程度の所へ向かうぞ」


「大丈夫かよ」


「ギルマスの俺に任せな、これでもちゃんと攻略サイト、キチンと見てるから」


少し不安だけどギルマスのミケ猫に付いて行くしかなさそうだ。

僕も早くレベル上げて、まずは一次職につきたい。

このゲームの世界ではレベルを上げれば職に就くことができる。

世の中、こんなふうにレベル制度にすれば、職に就くこと出来るのにと思ってしまうのは、僕だけだろうか。

目的地の場所までは魔物が出にくい街道を通りながら、のんびりと話をしていた。


「なぁ、刹那」


「なんだ、ミケ猫マスター」


「普通、移動するときは武器は手持ち倉庫の中に直しておくものだよ」


「そうなの」


「そう、武器を直した方が移動速度上がるし、街中で他のプレイヤーといざこざになる場合があるし、その所為で街中ではプレイヤー同士の戦闘は禁止されているけど、街の外に出るとプレイヤー同士の戦闘は禁止されていないから、攻撃される場合があるから気をつけるように」


「怖いな、俺、まだ弱いのに」


「まあ、レベルの低いプレイヤーはあまり狙われないと思うけど」


「え、どうして?」


「レベルが低いということは、駆け出しのプレイヤーだから、倒しても自分に入る経験値は少ないだろうし、お金は勿論、レアアイテムなんて持たないだろうから」


「なるほど」


「でもレアアイテムや大金を手に入れたら持ち歩かず、ギルド銀行にあずけるようにな」


「ゲームの中にも銀行ってあるのか」


「ただお金と物を出し入れするだけ、利息はつかないからな」


「利息がつかない事くらいは分かるよ」


「お、そうか、知らないと思っていた」


「そのくらいは分かるよ、バカにするな」


「悪い悪い、銀行の倉庫は50品までなら無料だけど、それ以上倉庫に入れる時は課金しないといけないからな、あとは武器は直ぐに手持ち倉庫から、直ぐ出せるように練習しとけよ。

最初は見習いの剣しかないけど、敵によって使い分けると便利だから、例えば飛んでいる鳥には剣は、届かないけど弓矢なら届く。

職業によって補正がかかるから、同じ距離から弓矢を放っても職業が戦士だと当たらないけど、狩人なら当たるとかだな、刹那は何の職業になるか決めたか?」


「取り敢えず戦士かな」


「妥当なところだな、お薦めは魔法職、特に回復職とか良いんではないか?」


「それはこのギルドに回復職が居ないからか?」


「バレた?どうだ回復職」


「考えとくよ」


そう言う話をしながら、目的地に到着した。

狙いは青色ゴブリン、なかなか出てこないらしいけど、経験値も高くレアアイテムのサファイア、何でも加工アイテムらしいけど売っても高いらしい。

今日1日、昼飯も食べずにゴブリン達を倒しながら、ひたすら青色ゴブリンが出てくるのに待っていたが、夕方の6時までやっていたが、青色ゴブリンが出現したのは、5匹のみレアアイテムドロップはなかった。

だけど、お陰で僕のレベルは10に上がり、お金も多少なりに貯まった。

このお金で武器と防具を買おうとしていたら、母親が、


「飯~!、食べないならかたずけるよ!」


と叫び声が聞こえた。

その声がマイクから皆にも聞こえたらしく、笑いながら「また明日な」と別れの挨拶を済ませた。

ゲームからログアウトし、ゴーグルを外しパソコンの電源を落とす。


『はぁ~、もう煩いな、家の母親は…、』


そんな事を思いながら一階にあるダイニングキッチンに晩ご飯を食べに降りて行く。

まさか、明日、とんでもない事が起きるとは予想も出来ずに…。



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