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さて。
古巣であるミルドレッドに戻ってまいりました。
取り敢えずはレアドレッドのギルドマスターの密書をミルドレッドのギルドマスターに報告
「お久しぶりです~」
「あ、お久しぶりです!今日はどのようなご用件で?」
「これをギルドマスターに渡してってはなし。大至急、可及的速やかに、この上ない超重要書類」
それを聞いて笑顔だった受付のお姉さんの顔が笑顔のまま引きつる
「あの、漆黒龍殺の異名を持ったあなたでさえそのことを言うほどのものなのですか?」
「ですなぁ。ちなみにソロ、ギルドランクともにAランクの依頼も混じってるかられっつご~ご~」
「えぇ~」
ランクAについては小声で伝えたけどまぁ、大慌ての顔面蒼白状態でした。
何しろランクAの依頼、ですからねぇ。
現状最大のランクはB。
ギルドが出せる最大ランクがそれだからランクAとなれば前にも言ったけど王様も許可を出さないとだめなレベル。
そんなわけで奥に通されて久しぶりのミルドレッドのギルドマスターにご対面
「あの手紙の中身は本当なのじゃな?」
「大真面目に」
「なんという、戦争なぞした所で何も生まれぬというのに」
ミルドレッドのギルドマスターは既に事の大きさを認識している。
このあたりはさすがギルドマスター、という感じ
「ちなみに、その手紙には書いてないし確証もないし憶測でしかないものですが」
「なんじゃ、これ以上に事を面倒にすることがあるのか?」
「イルマチーダ共和国。あそこが関与している可能性もあったりするのですが」
少しの間、今の言葉を熟考してから
「なにか、理由があるのか?」
「レアドレッドに対してミルドレッドが戦争をする理由がない。無いなら作ればよい。で、戦争してどこが儲かるのかって言ったら」
「イルマチーダ共和国か魔族たち、じゃな」
「亜人達は消極的ではありますが友好的な種族ですからね。ついでに魔族は何か画策して入るようですがまだ実用段階になってないらしいですし」
「それはどこの情報だ?」
「私です。既に届いていると思いますが私のギルド「フレイム」が上位ランクの「放浪の女達」を吸収合併したのはご存知?」
「話なら聞いておる。前代未聞のはなしじゃったからな」
「あのときの森の状況は魔界の魔素でああなっていたんですよ。何かしらの実験をしてその結果があれです。とは言え相手のほうも成功したとは思っていなかったみたいですけどもね」
深い深いため息をするギルドマスター。
つまるところ現状最悪を考えるならば
「イルマチーダ共和国に内通する者がこの国におって」
「ミルドレッドレアドレッド間での戦争を企んでいる、というお話ですね」
「戦争をとめる、などというのはギルドランクで図れんものじゃわい」
「ですよね~。でもその線は一応有り得なくは無いこととして頭に入れておいてください。最悪の最悪、戦争が始まったらギルドに緊急強制依頼が来るでしょうから」
「わかっておるよ。 おぬしはどうする?」
「そりゃ、止めますさね。その為にここに来たんですし」
勝算はあるのか?と聞かれたら無いならここにいないです、と答える。
まぁ、あれだけのことをやれる相手だ。
生半可な相手ではないだろうし、そうそう尻尾を出す相手でもないだろう。
王女様が心配だけどまぁそこはうちのギルドが面倒見ることになってるから今は考えないことにする。
そんな感じで、戦争を止めにいきますか
ちーと魔法現実改変。
この魔法を使って誰がどの様にエンジェルナイトを操って戦争吹っかけようとしているのか検索中。
戦争になれば貴金属、特にお金が動く。
武器防具がどれだけ高くても国が買い取ってくれるのだからそれを前もって勝っておけば高く売れる。
ということはお金が動いている相手を探せばよい。
で、二つ三つ、とこの国の大貴族に行き当たった。
一つは没落寸前のフルハウンド卿。
も一つはお金に目敏い、というよりお金儲けしか考えてない貴族のバルムンク卿。
この二人は確定で武具を買いあさっているから間違いない。
問題となるのが最後の一つ
レンブラント卿。
この人武具は買い漁ってないけどどうも動きがおかしい。
操られてる、という風な感じ。
操るとしたら先の二人かイルマチーダ共和国の手のものか
後者はいやだなぁ
そこまで行くと手が出せないわけじゃないけど大規模な戦争に発展する。
ただでさえイルマチーダ共和国で良い噂聞かないのに。
ま、取り敢えずは前者二人をとっ捕まえて尋問デモするか。
ふむ。
とは言え大貴族なんだよなぁ。
どうやって捕縛するか。
やっぱり会議に突入するのが一番か。
んじゃ、それで行こう。
まだ会議が始まっていないので少し町を散策。
してたら少し妙なことに気がついた。
「あれ?八百屋とか無くなってる~」
「あぁ、そこの八百屋さん?レアドレッドに行っちまったよ。なんでもブスばかりが集まる場所で働きたいって行ってね。結構いい八百屋だっただけに残念でありゃしないさ」
と私の独り言に答えてくれたおばさん。
あれま、この国からも来てくれてるんだ。
それってもしかしてもしかすると人数的に町よりも街になっているのでは?
そこまで行ってないか?
あぁぁ~。
こっちの国の警護も考えないと
なんかいろいろと面倒なことになってきたぞ~。
とっととのんびりまったりとしたい気分な私。
変なフラグはいらんからなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
そう叫びたくなる、ある日の事でしたとさ




