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おしつけ女房
ありがとさん。
「おお、立派に「なぜか俺の事がすき」フラグも回収してますぞ。幼なじみの」
……それ、フラグ回収って言葉の使い方間違ってないか?
「細かいことは気にしないの。あと残るは「俺のこと何でも訊いてくれる」、か。それじゃ、何かオレに頼んでくれ」
はぁ? それじゃ、肩もんでくれ。
「おっけー、おっけー。お、なかなか凝ってますな、お客さん」
そうか? ていうか、背中に胸があたってるぞ。
「あれ、イヤか?」
イヤじゃないけど。
「それじゃ、押しつけちゃう」
おいおいw
「ん」
……。
「何か、肩もんだらキスするのって、バリューセットみたいになってるなw」
バリューセットいうな。
「じゃあ、何て言えばいいんだよ」
そうだなぁ。もっとこう、質の高いセットのほうがよくないか。
「質の高いセット……。んと、コース料理みたいな?」
なるほど、コース料理ねぇ。
「それじゃ、次の料理は何になさいますか? お客様」
ひとみんは、優しく俺に語りかける。
そして俺は、ひとみんの目を見返した。




