小龍、ギルドやめたってよ
「腕、組んでもいいか?」
別に、組みたかったら組めばいいだろ。
「そうなのか? それじゃ、これからは黙って背後から襲っちゃうぞ?」
はは、穏やかじゃないな。
フレデリカ城下町を西に出て、小川のせせらぎを横目に平原を行くと、修行僧の聖地、シーアン寺に出る。
聖地と言っても、廃墟。
城下町から離れている割には低級モンスターしかおらず、人影も少ない。
この寺が復興して、修行僧にクラスチェンジできるのは……、あと2年くらいだろうか。
しかしひとみんよ。どうせデートとかならワイハハとかで良かったんじゃないか? 南国リゾートマップの。
「いや、そこまだ実装されてないし」
あれ、そうだっけ。しかし、何でまたこんなヘンピなところ……。
「んー、単純にすきなんだよね。廃墟とか。軍艦島とか、なんか萌えない?」
んま、分かる気もするけど。
朽ちた石階段に座る。
で、相談したいことって……、やっぱあの僧侶くんのこと?
「小龍、ギルドやめたってよ」
ああ、そうなのか。まぁそれは、良かった……、のか?
「良くはないなぁ。どんなギルメンであれ、脱退されるのって結構こたえるからさ。ギルマスとしては」
そっか。そうだな。分かるよ。




