だっこ
……なんだ、ひとみんか。墜落ものって意味違うだろ……。それに寝起きにギロチンドロップとか、もし死んだらどうするんだよ……。
「ううむ、たしかに。寝起きにギロチンはちょっとハードだったか」
ちょっとハードどころじゃないよ……。
俺はひとみんの太ももを押し上げて、体をひねる。
どさり。
「あ」
回転体となった俺たちは、めまぐるしき体勢が入れ替わり、今度は俺が上、ひとみんが下という構図になる。
左腕の小脇にひとみんのふとももを抱え、右手はひとみんの頭の横。
馬乗りというか、いわゆる床ドン体勢というか。
「あ、ううう」
ひとみんが、真っ赤になって俺の目を見つめている。
右手に彼女の髪の毛がかかって、ちょっとこそばゆい。
な、なんだこの展開。
夢で「ござる妹があらわれた」と思ったら、なんでひとみんを押し倒してるんだよ俺……。
なんだか、いい匂いがする……。
「い、いいぜ」
な、なにがだよ。
「だっこ」
だ、だっこ?
「こ、このまま、だっこ、してくれても……」
だ、だっこって、そういう……。
「うん……」
彼女のぬくもりも全身に伝わってきたりして、身動きがとれない。
このまま、彼女のこと抱きしめて。しまいたい。




