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さすがはオレのおにいちゃん
「だけど問題は、小龍くんなワケなんですよね?」
「……なんか小龍のヤツ、一躍ヒーローっぽくなってるんだよね。それで本人もイキんじゃって、それこそ徹底抗戦な感じ。それだけならまだしも、【レーヴァテイン】(ウチのギルド)も正義の対人ギルドみたいになってるらしくて、入団希望者が殺到
しちゃってさ」
うへぇ。
「ウチは紹介制だからって全部断ってたら、さすが【レーヴァテイン】です! にわか対人ギルドとは違うんですね! とか持ち上げられる始末」
「この流れで小龍くんを強制脱退させたら、いきなり【レーヴァテイン=運営の狗】とまで言われかねない、と」
「運営の狗、ってトコまで言われちゃうかな……?」
「たぶん、言われると思います」
「うええ、やだよう……」
うう……、いつの時代もギルドマスターは苦しいもんだ。
同じく廃人ギルドマスターだった俺にもわかるぞひとみんよ……。
でも、やめるって選択肢はないんだろ、ギルドマスターを。
「おっ」ひとみんの顔色がすこし明るくなる。
ん? なんだ、意外な反応。
「さすがオレの見こんだおにいちゃんだなー」




