BOT大杉
「小龍くんのこと、どうするんですか?」天使が言う。
わが常宿、「ローゼンゴード」にてイングリッド、オレ、ひとみんの三者会談が始まった。
「どうするもこうするも……、微妙なトコロだよなぁ」
ひとみんは悩んでいる。
「そうなんですか? なんか、強制脱退させればいいだけのような気がしますけど」
イングリッドさんは不思議そうに答える。
「なんか、今回の一件、ネット界隈で話題になってるらしくってさ。プレイヤー有志によるBOT駆除が、運営に阻害されたとか何とかで」
うわー……。正直めんどくさそうな話だな……。
「うむー。まぁ、未来から来たオレたちにとっちゃ、ありがちな話だけどな。正直、どっちの言い分もわかるし。でも……」
このMMO黎明期じゃ大問題、ってことか。
運営=悪、みたいな図式って簡単につくからなー。そもそも、運営がすばらしい!ってMMOなんて存在しない気がするし。構造的に。
「文句が言えるのはプレイヤーからだけだからなぁ。運営様も大変なこった。しかもネットリテラシーもクソもないんだろうし。この時代じゃ」
ネットの情報はうのみにするな、っていう。
「ま、この時代の運営が善だなんて、未来人的に見ても言えないんだけどなw BOT大杉なのは事実なんだし」




