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レーヴァテインとGM

「ゆ、勇者様、大変です!」

 この世界はずっと昼間なので、毎日が昼寝記念日。

 そんなうとうとしている俺の眠りを覚ます天使イングリッドの叫び声。

 な、なんだよ血相変えて。

「いえ、ヒトミ様が大変なんです! とにかく溜まり場に来て下さい!」


 フレデリカ大聖堂の一角を占める有力対人ギルド、【レーヴァテイン】の集会所。

 いわゆる溜まり場に急ぐ。

 ひとみんが大変って……。あいつ、何かノーマナー行為でもやらかしたのか?

「いえ、ヒトミ様は大丈夫なんですけど……」

 一室に入る。異様な雰囲気。

 本来部外者である俺の来訪にも気付かず、ギルドメンバー達は、固唾を呑んで壇上のキャラクターに食い入っている。

 やばっ!?

 その壇上のキャラを見て、思わず身を隠す。

 四枚の羽根、聖なる衣、金冠。

 おいアレ、GMゲームマスターじゃないか!

 運営の化身としてさまざまな特権を行使する、この世界の「神」。

 ヤツに睨まれたら最悪垢BANだぞ……。

 バグと言われかねない俺たち未来人の天敵だ。

 聞き耳を立てる。

【ノーマナー行為について、警告します】

 えっ、やっぱひとみんのヤツ、何かやらかしたのか?

 ……。

【僧侶、小龍シャオロン、貴男は】

【ワープドアを無関係のキャラクターに頻発し、ゲーム内の秩序を乱しました】

【これ以上は規約違反とみなし、特別措置を執らせていただく可能性があります】

【それでは、失礼します】

 ……そう告げてGMが、消えた。

 荘厳なる大聖堂。

 その【レーヴァテイン】溜まり場は、重苦しい雰囲気に包まれる。

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