おまえはもう、死んでいる
「違います。垢バンされたら輪廻の輪から外れるかも、って話です」
わかってるよ……。いまのはかわいらしいボケじゃないか……。しゅん。
「それでですね」
はい。
「ヒトミさんは死後、この世界に転生したってことです。つまり、この電脳世界にも、輪廻の輪とつながりがある、ってことです」
ふうーむ……。でも、転生したら、誰かの子どもになるんじゃないのか? 赤ちゃんとして。
「いや、この世界ってそもそも、赤ちゃんって概念がないじゃないですか。この世界の住人は、いきなり成人として生まれるわけで。そう考えれば、つじつまが合います」
「そうなの……か?」ひとみんが、少し神妙な顔つきになっている。
なるほど。それはめでたい……、の?
「転生は、めでたいものですよ。ひとみさんは、事実上生き返ったとも言えるわけですし」
そうなのか。あ、それじゃ、俺は?
「えっ」
えっ、じゃなくて。ひとみんは死んだらこの世界に墜ちてきたんだろ。だったら、俺は?
元の世界の俺は一体どうなってるんだ……?
「ええと……」
まさか、死……。
「あはは、いやだなぁ、勇者様は。それじゃ、この話はこれくらいにして、あとはお若い二人でよろしくやって下さいな!」
あっ、天使が逃げた!?




