うそでもいいから
な……、何だよ。
ちょうどいい、って理由で付き合ったりするのかよお前は。
「ノブナガは、付き合わないのか? ちょうどいいって理由で」
ぬ。
ううー、そう言われれば、なんかそれでいい気もするが……。
「俺、こう言っちゃ悪いけど、けっこうかわいいと思うんだけどなー」
それはゲームキャラの姿だからだろ……。
「まぁそうなんだけどな……。でもリアル俺も、けっこうたいしたもんだったよ?」
ぬ、そうなのか。
「うむ。でも、死んじゃったんだけどな。リアルオレ」
あ。
ああ、うん……。そういや、そうだったっけか。
俺は、天使に導かれてこの世界にやって来た。
だけどひとみんは、死んだら、この世界に墜落した……。
“輪廻の輪は……”
昔、天使イングリッドがそんな話をしていた気がする。
……。
気まづい雰囲気になってしまった……。
「あ、何かごめんな、変なコト言っちゃって」
え、あ、いや。ひとみんが謝ることじゃないだろ。
ん。
それじゃ、今日は帰るな。また、遊びに来てくれよな。
「お、ああ、うん」
振り返って、扉に手をかける。
帰ったら、少し眠ろうかな……。
「あ、ちょっ、ちょっと待ってくれ! ノブナガ……さん」
んん? なんで今さら敬語なんだよ……。
「あっ、あのさ、もののついでに、お願いがあるんだけど」
?
「う、う、うそでもいいから、俺たち、つきあってるってコトにしといてくれないかな。ネカマだって言ってても、面倒ごとは勘弁だし、な? ノブナガも昔、対人ギルドやってたんだろ。お前の【宝物庫】、対人装備並んでたじゃん」




