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ひとみんを泣かせる勇者
おっ、おいいいいい、やめろっ!
天使イングリッドがドロンといきなり人間サイズになって目の前に爆誕した!? だからやめろってそれ以上脱ぐな!
「……ぶーぶー。なんで顔を背けるんですか。けっこうなナイスバデーですよ。ほれほれ」
ば、バカ! 女の子が軽々しく人前で肌を見せるモンじゃありません!
「勇者様って、意外と古風なんですね」
……古風っていうか、未来から来たんだけどな。
「おーい、ノブナガー、どっか狩りに行こうぜぇー」
その時、歴史が動いた。
俺と同じ未来人のヒトミ、通称ひとみんが、ノックも無しに俺の部屋に入ってきたのだ。
そして彼女が見たものは、受肉して半裸になったイングリッドさんと一緒に居る、俺の姿。
「あ……、お取り込み中だったな。ごめんな!」
お、おいひとみん、誤解だって!
「勇者様ちょっとまって。ここは二階ですけど」
うるさいよ!
「うわーん」ひとみんが泣きながら去っていく。
「泣かせてしまいましたね……」
ううっ。なんだか自己嫌悪……。
……どうでもいいけど、イングリッドさん、元の姿に戻ってくれる……?
「あ、こりゃしつれい」




