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閃光のシェバ


 発動中は完全無敵の【バックステプ】。高速で背後に飛び避ける〈暗殺者〉の緊急回避スキルだ。

 しかし、シェバはあえて最初から敵に背を向ける事で、一瞬にして〈黒騎士〉の懐に跳び込む事に成功した。

『ムウッ!?』

 〈黒騎士〉が驚きの表情を浮かべる。虚を突いた。

 そして、シェバの攻撃。二刀の剣旋が、蒼い稲妻のように輝きながら、〈黒騎士〉の胸をうがつ。

 双刀によるクリティカル攻撃。

 これが〈銀色の閃光〉(フラッシュライト)と呼ばれる……、シェバの奥義である。






『フン、一本取られたというべきか』

 間合いをとったシェバに、〈黒騎士〉は語りかける。

『……』

『俺に傷をつけたことは褒めてやる、だがな、この程度のクリティカル攻撃で俺はビクともせんよ』

 〈黒騎士〉の言うことは、おそらく正しい。

 しかしシェバの顔色は、変わらない。彼の銀髪がただ揺れている。


『気に入らんな』

 〈黒騎士〉が何かをつぶやく。

『〈瞬・歩〉』

 シェバは十分に距離をとっていたはずだった。

 だが〈黒騎士〉が、消えた。 

 そしてシェバの目の前に現れる。

『〈狂・撃〉』

 ……あの暗黒城で自警団を屍った黒騎士の連携攻撃。

 しかし、シェバは避けるだろう。

 シェバは俺や女騎士と同じく、初見でこの連携を躱しているのだ。

『(オマエなら、躱すだろうな……銀色の戦士よ)』

 ……!!

「いけない、それは罠じゃん!?」

『(誉めてやろう……。だが躱した先がオマエの最後よ)』

 〈黒騎士〉は何か奥の手を用意している……!!?


 安全圏だと思われていた距離を一瞬にして縮めてきた〈黒騎士〉に対し、シェバはその動物的な……野生の狼のごとき危機察知能力で後ろに飛び退いた。後ろは冒険者の屍である。

「!!」

 しかし、「へんじがない、ただのしかばね」だと思われていた……、一次職の剣士が、シェバに斬撃を見舞う。

「傀儡か……!!」女騎士が叫ぶ。

 普段なら、なんてことはない一次職の攻撃。

 しかし、〈黒騎士〉はシェバを倒すのに一撃だけを振るえばよい。

 その為の隙としては、十分すぎるモノだった。

 そして〈黒騎士〉が、シェバを貫いた。





 しかし。


『成る程、〈驚運回避〉か』

 〈強運の短刀〉。攻撃力こそわずかれはあるものの、装備車のLukを40%アップさせる魔法の短刀。それをシェバは、双刀に携えている。

 〈強運回避〉。敏捷性を示すAGIアジリティでなくLUKによって補正される。

 回避に優れる〈暗殺者〉がこのシステムを利用すれば、どんな強大な攻撃でも100%の回避が得られる。(未来ではダウン調整の対象)

 女騎士が〈黒騎士〉に向かって叫ぶ。

「〈黒騎士〉よ……!! 魔法は、使わないのか、使えないのか、それとも使う勇気がないのかな?」 〈強運回避〉は魔法に対しては無力だ。〈黒騎士〉は見たところ前衛の職業クラスだが、未来から来た彼が、なんらかの〈魔法〉を使っても不思議ではない。

 だが、それを使えば、自分の手の内をさらけ出すことになる。

 完膚無きまでの蹂躙を目的とする〈黒騎士〉には、痛手となる可能性が高い。


「手詰まりですか、黒騎士さん……」シェバが〈黒騎士〉を見据える。

 神妙な眼差し。

「それじゃ、今度は僕の言い分を聞いてもらいます」

 なんだ……? 言い分?

 俺の隣にいる女騎士さんも、首をかしげている。

 シェバは、大きく深呼吸をして、

 叫んだ。

「こんなことしたら、迷惑でしょうが!」



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