序章 湖上都市
お待たせしました!
『フレイム・ウォーカー』紺碧の泉編、始まります!
ではあらすじを――。
『ゴルムダル大森林』を抜け、ついに師匠・ミレーナが訪れたとされる『紺碧の泉』に辿り着いたディーンとリネ。
観光地としても有名なその街で、二人は情報を集めながら一時の休息を得る。そしてディーンは、念願のミレーナとの再会を果たすのだった。
だが、しかし――!?
倒王暦〇〇一二年。
一年前のある日、突然姿を消した師匠ミレーナ・イアルフスを捜して、俺は広大なジラータル大陸を旅していた。
その途中、俺は済し崩し的に『テルノアリス襲撃事件』という戦いを経験し、同時に旅の同行者となる少女、リネ・レディアと出会う。
その事件が終結した際、俺はミレーナが『首都』の北東に位置する街、『紺碧の泉』に向かったという情報を手に入れた。出所から考えると、その情報はかなり信憑性の高いものらしかった。
手に入れた情報を頼りに先を急ぐ俺とリネは、進行ルート上にある『ゴルムダル大森林』で、『魔女伝説』が絡む事件に遭遇した。
その結果、俺は様々な人間と出会い、数々の謎の解明や戦いを経て、何とか事件を解決へと導いた。
そして広大な森を抜けた俺達は、ついに目的の地、『紺碧の泉』へと辿り着く。
到着してすぐの頃、正直な所、俺は言いようのない緊張感を胸の内に抱えていた。
『紺碧の泉』にミレーナが向かったのは間違いない。例え彼女がもう街にいなかったとしても、何かしらの手掛かりが残されているはずだ。それを手に入れる事ができれば、これからの行動が起こしやすくなる。
何の手掛かりも見つけられなかったこの一年間に比べれば、格段に捜しやすくなるはずだと、そう思っていた。
少なくとも、街に足を踏み入れるまでは。
紺碧色の泉を思わせる巨大な湖の上に浮かぶ、観光地としても有名なこの街は、旅人などから湖上都市と呼ばれている。
碧く清らかな水に映える、白い煉瓦造りの優雅な街並み。そんな都市の光景を見ていると、何だか安らかな気分になってしまう。
だからこそ『この事実』は、先に言っておいた方がいいのかも知れない。
今回、俺を待ち受けていた結末は、決して幸福なものなんかじゃなかった。俺はここで起きた出来事を、多分一生忘れないだろう。
湖上都市、『紺碧の泉』。
俺はこの街で、今度こそ本当に。
大切なものを、失った――




