序章 What’s your name?
と言う訳で魔女の森編スタートです。ではここであらすじ紹介。
ミレーナが向かったとされる湖上都市『紺碧の泉』を目指していたディーンとリネは、『魔女伝説』なる言い伝えが残る広大な森林地帯、『ゴルムダル大森林』に辿り着いた。そこで二人は、風を操る『魔術師』と遭遇し、同時に不可解な事件に巻き込まれていく。
森林地帯という不慣れな場所で戦う事を余儀なくされるディーン。果たして二人は、無事に森林地帯を抜ける事が出来るのか?
草木が鬱葱と生い茂る森林地帯。遠くからは、野鳥のものらしき鳴き声が響いてくる。
道なき道を走り抜ける度、足許から聞こえるのは、草を踏み付ける音。立ち止まる暇もなく走り続ける俺のすぐ横を、その時、一陣の風が通り過ぎた。
ただの風じゃない。心地良い風でもない。
突風と呼ぶべき鋭いその風は、自らの行く手を阻む木々を、次々に切断していく。
これは自然現象として生まれた鎌鼬じゃない。そこにあるのは、人を殺すための力、『魔術』だ。
俺に向けられた殺意の一撃は、辺り一面の草や木を根こそぎ削り取っていく。
隠れる事は、恐らく無意味だろう。なぜなら俺の髪は、炎のような紅い色をしている。普段でもかなり目立つこの髪は、周囲に緑が多い森の中では、余計に目立ってしまう。
と、その景色の中に、俺は一人の少女の姿を見つけた。
殺傷するための風を生み出し、敵愾心を向けてくるその少女の正体を、俺はよく知っている。
彼女は俺と同じで、『魔術』を操る者。
人は俺達のような存在を、総じてこう呼ぶ。
『魔術師』、と。
「お前、一体何者だ?」
少女の正体を理解した上で、それでも俺は問い掛けた。俺が知りたいと思った部分はそこじゃない。
「あんたこそ、どこの誰よ?」
少女は怪訝な顔付きで、静かに問い返してくる。
俺達の出会いは、そんな会話から始まった。
始まりましたが例の如く、まだ全然どういう展開にするかとか決めてません(汗)
なので更新が遅れるかも知れませんが、最後まで読んで頂けるとこれ幸いです。