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フレイム・ウォーカー  作者: エスパー
グラステッド山脈編
116/122

幕間三 Dispute in white castle

 元老院――。それは王の助言機関、または政治の統治機関の事を指す名称だ。

 彼らはこの『ジラータル大陸』を統治する者として正規軍のみならず、民間組織である『ギルド』に対しても多大な影響力を持っている。

 現テルノアリス王、ファルディオ・クロスレインを最高権力者とし、元老院はかつて『倒王戦争』の際にクーデターを起こした貴族達の血筋の者であり、それぞれの親から爵位を受け継ぐ形で現在の地位が与えられている。

 レオナルド・ブレイク。

 マーシア・オブリム。

 バドアーズ・ロッド。

 アンリエッタ・プロイツェン。

 リーシャ・クロードレス。

 そして、ハルク・ウェスタイン。

 男女三名ずつ、多様な思想と倫理観を持ち合わせているが故、一筋縄ではいかない集団であると言わざるを得ない。

 そんな人間達の中に、『内通者』が混ざっている可能性があるとなれば、事態は益々厄介になってくる。

 疑うだけなら簡単な事だ。ほんの少し見方を変えれば、怪しく思えない人間など一人もいなくなってしまうのだから。

「――随分と不服そうだな、ジン・ハートラー。まるで親に叱られて拗ねている幼子のようではないか」

 呼び掛けられ、我に返った俺は、やや高圧的な声の主に視線を向けた。

 発言者であるバドアーズ卿は、品定めするかのようにじっくりとこちらを()めつけながら続ける。

「白々しい質問になってしまうとは思うが、一応尋ねておこう。自身が反逆者として拘束される理由について、思い当たる節はあるか?」

「……ありません」

「ほう。あくまでもシラを切るという訳か。裏切り者とはいえ、その忠誠心は中々見上げたものだ」

 言葉とは裏腹に不愉快そうな表情を浮かべるバドアーズ卿。彼のみならず、元老院達は皆厳しい顔付きで、審問台に立たされている俺を見据えている。

 二つの空席が出来ている『王座の間』。室内の空気が重苦しく感じられるのは、決して気のせいなどではない。

 コアロッド大佐から事前に伝え聞き、そしてたった今ここで再確認した今回の騒動の経緯はこうだ。


 本日未明、城の一室で就寝中だったテルノアリス王が、何者かの襲撃を受け、意識不明の重体に陥っている。


 昏睡状態の原因は、王が背中に負った傷。その大きさから、恐らくは大剣級の刃物によって付けられた切り傷と見られる上、その刃物には傷を悪化させる毒薬が塗られていたらしい。それによって王は高熱を発症し、傍付きの者が発見した時には、起き上がる事もままならなかったそうだ。

 王襲撃という緊急事態ゆえ、捜査は早急かつ内密に行われた。

 その結果、傷を負った位置が背中だった事。現場と見られる王の寝室に、激しく争った形跡がなかった事。厳重な警備を全て掻い潜って、外部の者が城を出入りするのはほぼ不可能な事。以上の点から、犯行は王に近しい政権内部の人間によるものだろうと結論付けられた。

 そんな矢先、その推測を証明するかのような事態が起きた。


 ハルク様が、城から忽然と姿を消したのだ。


 当然、疑いの眼はハルク様に向けられる事となる。王襲撃を画策した犯人だからこそ、行方を眩ませたのではないか、と。

 それと並行して、王が受けた傷の形状が大剣によって付けられたものだとする点と、ハルク様と厚意にしているという点から、この俺ジン・ハートラーにも、王暗殺の嫌疑が掛けられるという事態に発展したという事だった。

 尤も俺の場合、捕縛する人間がコアロッド大佐になるよう、リーシャ様が意図的に操作してくれていたからこそ、こうして落ち着いていられる訳だが。

 ディーンによれば、リーシャ様は以前から『内通者』の調査を極秘に行っていたという話だった。

 せめて彼女と話が出来れば、より詳しく情報を整理する事が出来るんだが……。

 そう考え、思わずリーシャ様に視線を向けてしまった、その時だった。

 俺の視線に気付いた彼女が、誰にも気付かれないように小さく、ごく僅かな動きで首を横に振ったのだ。

 明確な言葉を口にした訳ではない。それでも俺には、リーシャ様がこう言っているように感じられた。

 今はその時ではない、と。

「ならば問おう、ジン・ハートラー」

 気を取られていた俺は、誰に呼び掛けられたのかわからず、少々動揺してしまう。意識を元老院全員に戻すと、発言者はレオナルド卿だった。

「貴様が無実だというのなら、なぜ貴様はたった一人で『首都』の中を彷徨いていた? 確か貴様は二名の同行者を従えて、消失したという『導力石』の調査を行っていたはずだろう?」

 純粋な疑問として尋ねているのか、レオナルド卿の声色には重苦しさがあまり感じられなかった。

 問われ、俺は僅かに視線を逸らして考え込んだ。『首都』を目指す前、『カラレア』の宿でディーン達と交わした会話が脳裏を過る。

 ……すまないジェイガ。あの時の提案通り、お前の存在を利用させてもらうぞ。

 せめて心の中で詫びを入れ、意を決して口を開く。

「元老院の方々に至急お伝えしなければならない事があり、調査を中断して戻ってまいりました」

「……というと?」

「『魔術師』ジェイガ・ディグラッドが、調査案件の協力者であるルーシィ・ラックストーンを人質に取り、逃亡しました」

「何だと……ッ!?」

 告げた瞬間、バドアーズ卿は明らかに憤慨した様子で立ち上がった。もちろん嘘八百だが、残りの元老院達にも衝撃を与えるのは成功したらしく、皆一様に険しい表情を浮かべている。

 だがただ一人、レオナルド卿だけは取り乱した様子もなく、淡々と口を開く。

「なるほど。だから貴様は一人で『首都』にいたという訳か」

「はい。事態を悪化させない為、私も出来る限りあの男を止めようと足掻いたのですが、人質を盾にされた状態では抵抗する訳にもいかず……」

「……やれやれ。ジェイガ・ディグラッドにしろディーン・イアルフスにしろ、こんな時にまで好き放題動き回るとは……。単独行動が過ぎる連中だな」

 呆れた様子で肩を竦めるレオナルド卿の横では、バドアーズ卿が忌々しそうに犬歯を剥き出しにして叫ぶ。

「おのれ、あの犯罪者め……! この非常時に輪を掛けおって! だから言ったのだ! あのような者の手を借りるなど言語道断だと!」

 ダンッ、と乱暴に拳を机に叩き付け、バドアーズ卿は声を荒げながら俺を睨み付けてきた。

「ジン・ハートラー! わかっているだろうが、これは貴様の失態だ! 例え王暗殺の嫌疑が晴れようと、それ相応の罰は受けてもらうぞ!」

「……無論です。反論のしようもありません」

 怒りが治まらない様子のバドアーズ卿は、フンッと鼻を鳴らしながら腰を下ろした。

 それとほぼ同時に、マーシア卿が静かに口を開く。

「今の話が事実なら、彼は今回の一件に関わっていないという事になるわね。やはり王暗殺は、ハルク・ウェスタインの独断なのかしら?」

「決めつけるのは早いんじゃなーい? 一人で『首都』にいたからって、こいつの言ってる事が全部本当とは限らないでしょー?」

 机に肘をつき、右手で髪を弄りながら、アンリエッタ卿は猜疑心に満ちたような眼でこちらを見つめている。嘘がバレている訳ではないだろうが、かと言って騙し切れているとも言えないようだ。

 そんなアンリエッタ卿の発言を受けて、バドアーズ卿は腕組みしながら口を開く。

「ふむ、なるほどなぁ。裏切り者のハルク・ウェスタインと、犯罪者ジェイガ・ディグラッド。この両者が手を組んでいる可能性もあるという事か。ならば此奴は、我々を謀る為に遣わされた囮という訳だ」

「バドアーズ卿。まだ何も確証がない状況で軽はずみな発言は控えてください。いくら容疑者とはいえ、彼はこれまでに数々の功績を上げた私達の協力者です。それをお忘れですか?」

「フン。わざわざ小娘に指図されずともわかっておるわ。私はあくまで可能性の話をしているに過ぎん」

 俺を庇おうとするリーシャ様を不満そうに睨むバドアーズ卿。最早彼の中では、今回の騒動を起こしたのはハルク様や俺であると結論付けられてしまったらしい。

 だがまぁ、状況的にこうなるのは当然の帰結なのだろうが……。

「すみません大佐。本格的な取り調べを行う前に、彼と話をする時間はありますか?」

 自然と俯き掛けていた俺は、凛としたリーシャ様の声で、少しだけ救われた気分になった。

 彼女に問われ、審問台の脇に無言で佇んでいたコアロッド大佐は、厳しい表情のまま口を開く。

「一応時間的な余裕はあります。無論、他の元老院の方々がよろしければ、ですが……」

 自ら予防線を張り、リーシャ様以外の元老院を見回す大佐。

 するとそれに応じるように、俺を嘲笑うかのような表情を浮かべたバドアーズ卿が鼻を鳴らした。

「何を話すつもりか知らんが、終わり次第牢獄へ放り込むと約束出来るなら、私は一向に構わん。他に異論のある者は?」

 バドアーズ卿に問われ、しかし残りの三人は特に口を挟まなかった。張り詰めたような緊張感の漂う室内に、しばし静寂が訪れる。

 それを肯定と受け取ったのだろう。リーシャ様は椅子から立ち上がると、元老院達に向けて浅く頭を下げた。

「ありがとうございます、皆さん。――では大佐。彼を私の執務室へ」

「了解しました」

 折り目正しく敬礼し、大佐は実に軍人らしいきびきびとした動きで審問台から俺を移動させ、室内にいた二人の兵士と共に『王座の間』を後にしようとする。

「ジン・ハートラー」

 扉を潜る直前、俺を呼び止めたのはバドアーズ卿だった。

 見るからに厳格たる彼の口からは、続けて断罪するかのような言葉が発せられた。

「貴様への処分は一両日中に下す。その時が来るまで、牢獄の中で自省の言葉でも考えておくんだな」

『ギルド』に所属する者として、どれだけ功績を上げようと関係ない。

 俺は平民で、彼は――いや、彼らは貴族。

 お互いに決して相容れない立場なのだと、暗に示された気がした。




 ◆  ◆  ◆




「すみませんでした、ジン。手荒な真似をしてしまって……」

 城の最上階から移動する事、五分程。現在地は、城内の一角に設けられているリーシャ様専用の執務室だ。

 そこらの宿とは比べ物にならない広さの室内には、分厚い資料が詰め込まれた本棚が規則正しく配置されていて、硝子張りの四角い窓に背を向ける形で、整理の行き届いた作業台が置かれている。床全体に敷かれている絨毯には、細かく鮮やかな刺繍が施されていて、踏み付けるのが申し訳なくなってくる程だ。

 部屋に着くなり、リーシャ様は謝罪の言葉を口にした。

 余程気にしているのか、作業台を挟む形で佇む彼女は、いつまで経っても席に着こうとしない。

「大佐、彼の拘束を――」

「いえ、どうかこのままで。拘束を解いている所を他の誰かに見られると厄介です。俺は大丈夫ですから」

 温和な口調で傍らにいる大佐に指示を出そうとするリーシャ様を、俺は頭を振って制止した。

 こうして直接話をする時間は限られている。今は少しでも多く、情報交換を行っておくべきだ。

 だがそうだ、その前に……。

「リーシャ様。先程『王座の間』で報告した件ですが――」

「わかっています。ジェイガ・ディグラッドが逃亡したというのは、あの場を切り抜ける為についた嘘、なのでしょう?」

「! ええ、そうです。『内通者』の眼を欺きたいならそう言えばいいと、ジェイガ本人が提案したんです」

「まあ、彼がそんな事を? ……なるほど。どうやらただの粗暴な犯罪者、という訳ではないのかも知れませんね」

 緩い微笑みを湛えつつ、リーシャ様はようやく席に腰を下ろしてくれた。

 正直、ずっと立っているつもりなのかと心配になる程だったが、これで一安心だ。貴族の、しかも元老院の方を立たせたままにするなんて、恐れ多くて話に集中出来なくなる。

 気付かれないように浅く息を吐いて、頭を切り替える。

「ところで、王の容態は? 悪いんですか?」

「芳しくありません。先程も言った通り、未だに昏睡状態が続いています。リネ・レディアさんがこの場にいれば、王の傷を癒してもらえるのですが……。彼女が今どこにいるか、あなたは知っていますか?」

「……いえ。実は今、彼女は『精霊指揮者ゴースト・コンダクター』に拉致され、正確な居場所がわからなくなっているんです」

「何ですって……!?」

 俺は表情を曇らせているリーシャ様に、大佐の時と同じく、ディーン達に関する情報を掻い摘まんで伝えた。

 彼らの現在地や現状、そしてそこに至るまでの経緯。重要な事柄だけを伝え終えるまでに、どれくらい掛かったかは定かじゃない。

 ふと気付くと、リーシャ様は思案するような顔付きで、机の上で組んだ手に視線を落としていた。

「……そうでしたか。ならば現状では、リネさんの力を借りるという選択肢は消滅しましたね。何か別の手を考えなければ……」

 椅子の背凭れに身体を預け、リーシャ様は眼を細めながら虚空を見つめた。

 押し黙るその姿から察するに、恐らくは色々と手詰まりなのだろう。せめてハルク様がいれば、彼女の手助けになってくれるはずなんだが……。

「今回の一件、リーシャ様はどうお考えですか?」

 僅かの間沈黙が支配していた室内に、俺の声はやけに大きく響き渡った。

 それに応じるように、リーシャ様は一度瞑目すると、瞼を開けてしっかりと俺を見据えた。

「王襲撃は、十中八九『内通者』の仕業に違いないでしょう。……ですが私の力では、その正体を掴む所まで届きそうにありません。長く調査に関わり過ぎたせいか、誰も彼もが怪しく見えてしまって、思うように進まなくなってしまいました。――ジン。あなたは何か、思い付いた事はありませんか?」

「……少し気になったのですが」

 こうして城に連行され、改めて騒動の内容を聞いた時、心の内にふと湧き上がった疑問がある。

 自分でもその答えを思考しながら、俺は言葉を続けた。

「『内通者』の目的は何なのでしょうか? 今までずっと息を潜めてきたというのに、自分の存在を周囲に晒す危険を冒してまで、なぜ今になって王の命を奪おうなどと……」

「それは私も気になっていました。ただ単純に、こちらの混乱を招く為の妨害工作なのか。或いは王を襲撃する事自体に、何か意味があるのか……」

「襲撃自体に……?」

 リーシャ様の言葉を反芻しつつ、俺は僅かに視線を落とした。

 確かに、王は深傷を負ったものの一命は取り留めている。もしも本当に王の殺害が目的だったのなら、襲撃した時点で確実に息の根を止めに掛かるはずだ。

 それがなかったという事は、やはりリーシャ様の言う通り、何か別の目的があるのだろうか?

 仮に『内通者』が、残る元老院の内の誰かだとして。王襲撃の目的が、玉座を奪い取る事だとしたら。

 ……いや、恐らく違う。それなら尚の事、王の命を奪ってしまえばいい話だ。その方が、自身が王に成り代わる機会が増えるのだから。

 つまり権力を得る事が目的ではない。

 ならば、考えられる可能性は……。

「リーシャ様、そろそろ時間です。あまり長居し過ぎると、元老院の方々に怪しまれます」

「! そう、ですね……」

 大佐に宣告された瞬間、リーシャ様は俺を見つめた後、申し訳なさそうに眼を伏せた。どうやら彼女は、俺をこのまま牢へ送る事に抵抗を感じているらしい。

 同じ貴族でも、リーシャ様とバドアーズ卿とでは真逆と言っていい程対応が違う。こんな時ディーン辺りなら、皮肉の一つでも零しそうだ。

 仏頂面を浮かべる友の姿を想像し、思わず小さく笑ってしまう。するとリーシャ様だけでなく、大佐も驚いたように眼を丸くした。

「大丈夫ですよ、リーシャ様。『誰かさん』の影響で、騒動に巻き込まれるのは慣れてしまいましたから」

「ジン……」

「お互い最善を尽くしましょう。……尤も俺の場合、しばらく手伝う事は出来なくなりそうですけど」

 微笑むリーシャ様に笑い返してから、今の発言は間違いなく皮肉だと遅れて自覚する。

 やれやれ……。どうやら本当に、『誰かさん』からの影響を受けてしまっているらしい。




 ◆  ◆  ◆




『テルノアリス城』の敷地内。その東側の一角に設けられている、罪人の一時的な収容場所。ここに連行されてから、恐らく一時間は経過したはずだ。

 冷たい空気に包まれた牢屋の中には、囚人達の話し声が微かに反響している。

 しばらくここにいて感じた事だが、何だかやたらと囚人の数が多いように思う。俺が『首都』を離れている間に、大捕物でもあったのだろうか?

 それにしても、まさかこんな所に入る羽目になるとは……。事ここに至って、自分が鉄格子の向こう側へ放り込まれる姿など、正直想像した事もなかったな。リーシャ様にはああ言ったが、恐らくこの経験を忘れる事は一生ないだろう。

「――さっきから浮かない顔をしてるなぁ、新入り」

 物思いに耽っていた俺は、鼓膜を刺激する低い声に反応し、意識を戻して顔を上げた。

 話し掛けてきたのは、通路を挟んで反対側の牢に入れられている、不気味な格好の男だった。

 火傷でも負っているのだろうか。髪まで覆い隠す程、男の顔には白い包帯が何重にも巻き付けられていて、人相を窺い知る事が出来ない。

 唯一、右眼の部分には視界を確保する為の隙間が開いているが、逆にそれが得体の知れない気持ち悪さを感じさせる。ついさっき聴こえた声に至っては、息を吸うのも辛いのではないかと思う程、酷くしゃがれていて……。

 ……? 何だ、この違和感は……。俺は今、何に対して疑問を感じた?

 耳障りなはずの男の声。無論、面識などあるはずがない。にも拘らず、以前どこかでこの声を耳にした事があるような気がする。

 朧ろげな記憶を辿ろうとしてみるものの、やはり判然としない。単純に思い違いをしているだけなのだろうか?

「何だぁ? そんなに俺の顔が気になるか?」

 自身の顔面を包む白い包帯を差しつつ、男はしゃがれた声で皮肉げに笑う。

「あ……いや、そうじゃないんだ。俺の勘違いかも知れないんだが、どこかであなたに会った事があるような気がして……」

 他人から好奇の眼で見られれば、誰だって良い気はしないだろう。慌てて弁明を図ると、男は少々驚いた様子で俺を見つめている。

「いや、すまない。きっと色々あったせいで記憶が混乱しているだけだ。今のは忘れてくれ」

「……ふん、まぁいいさ。そういう事もあるだろう」

 男は興味なさげに肩を竦めると、鉄格子の隙間から腕をだらしなく垂れ下げ、話題を変える。

「それより、お前みたいなガキが牢屋(こんなところ)にブチ込まれるなんて珍しいな。一体何をやらかしたんだ?」

 見ず知らずの、しかも囚人と会話する事に少々抵抗があったが、閉口している訳にもいかないだろうと思い、俺は短く返答する。

「何もしていない。した覚えもない」

「まーた随分と説得力のない言い訳だなぁオイ。ブチ込まれちまったんだから観念しろよ。悪戯したガキだってもう少しマシな言い訳を考えるってもんだぜ?」

「……」

 無言で視線を送ってやると、男はそれだけでこちらの心情を察したらしい。どこか戯けたような口調で告げる。

「そう怖い顔すんなよ。別に喧嘩を売ってる訳じゃねぇって。長い事ここにいるもんだから、ちょっとばかり外の様子を知りたくなってね。声を掛けたのはその為だ」

「……牢から出られない人間がそんな事を知ってどうする?」

「何、ちょっとした世間話さ。どうせ暇なんだから付き合えよ」

「暇なのは認めるが、今はそんな気分じゃないんだ。悪いが他を当たって――」


「王が暗殺されかけたってのは本当かい?」


「……!?」

 あしらおうとした俺を引き止めるかのように、男は核心めいた言葉を口にした。

 思わず黙り込んで視線を送ると、まるで面白がるように男の眼が細まる。

「どうして知っているのか、ってか? 何、ちょっとばかり聞き耳を立てるのが得意でね。牢の看守どもが小声で話してるのが聞こえたんだよ」

「……」

「黙ってるって事は、肯定と受け取って構わねぇって事か? そんな仏頂面してねぇで教えてくれよ」

 よほど興味があるのだろう。男は食い入るように俺を見つめ、鉄格子にもたれ掛かってくる。

 その口調は、存在感は、表現し難い不気味さを孕んでいて、自然と俺の身体は硬直していた。

 お互い鉄格子に阻まれているというのに、まるですぐ眼の前に立っているかのような威圧感がある。今手元に剣があれば、迷わず刃を向けてしまいそうだ。

 この男は一体――。

「――――――です? ここは――――禁じられて――――」

 奇妙な緊張感に苛まれていた俺は、牢屋の外から聞こえてきた兵士のものと思しき声によって、ようやく解放された。

 誰かと何かを言い争っているのか、兵士の口調は次第に荒々しくなっていく。

「どうやら来客のようだな」

「えっ?」

 ややくぐもった声が響いてくる方向を見つめ、向かいの男が呟いた瞬間だった。


 牢屋の入口を守っていた鉄の扉が、盛大な爆音を上げて弾け飛んだのだ。


 眼を剥いて驚く俺を嘲笑うかのように、通路に転がり込んでくる鉄の瓦礫。何らかの破壊工作によって吹き飛んだのは明らかだが、まさかこれは………。

「やっほー。囚人の気分は味わえてるぅ? 銀髪くん」

 嫌な予感が脳裏を過った瞬間、それは現実のものとなった。

 石畳の通路に響く軽快な足音。緊迫した状況にそぐわない能天気な声の主は、鉄格子の向こうで立ち止まりながら、どこか楽しそうに告げる。

「感謝しなさいよね。お望み通り助けに来てあげたんだから」

「バルベラさん……」

 肩に掛かった群青色の髪を軽く払い、バルベラさんは薄く笑みを浮かべる。

 助けに来たという事は、城門前でのやり取りから状況を正しく理解してくれたという事なのだろうが……。こんな騒ぎを起こせば、城内を巡回している正規軍兵士達が飛んでくるに違いない。

「何よその顔。文句があるなら最初から捕まったりしなきゃいいでしょ。そういう男は嫌われるわよ」

 そうは言ってもやり方が派手過ぎるでしょう。まさか真っ正面から牢を破りに来るなんて……。

 今更ながら、頼る相手を間違えたと思い知る。傍若無人を絵に描いたようなこの人の性格を、もっと考慮に入れておくべきだった。

 頭を抱えそうになる俺を尻目に、他人事のような様子のバルベラさんは、『魔術』を使って易々と牢の鉄格子を切り裂いてしまった。

 最早牢破りの共犯は確定事項だな……。こうなってしまった以上、是が非でも『内通者』を暴かなければならない。

 諦めと共に改めて決意しつつ、切り裂かれた鉄格子の隙間を抜けて通路へと出る。

「あとこれ。城の保管庫から拝借してきてあげたわよ。キミの剣でしょ?」

 そう言ってバルベラさんが差し出したのは、数時間ぶりの再会となる俺の相棒、『灰塵剣(かいじんけん)』だった。

 素直に礼を言って受け取ったものの、ふと思う。

 まさかこの人、保管庫でもこんな風に暴れてきたんじゃ……。

 ……いや、これ以上はもう何も思うまい。いちいち気にしていたら切りがなさそうだ。

 相棒を背負い、俄かに騒がしくなった牢屋内を駆け抜け、扉が破壊された入口に差し掛かった時だった。

「? バルベラさん?」

 急がなければならない状況だというのに、なぜかバルベラさんは立ち止まり、怪訝そうな顔で牢屋の奥を見つめている。

「どうかしたんですか?」

「……いえ、何でもないわ。急ぎましょう」

 頭を振り、踵を返して歩き出すバルベラさん。だが言葉とは裏腹に、俺の隣を通り過ぎていく彼女はなぜか、その顔に妖艶な笑みを貼り付けていた。

 何となくその理由が気になった俺は、先程まで彼女が視線を送っていた方向を見てみた。

 視線の先では、脱獄を図る俺達に助けを求める囚人達が、鉄格子の隙間から腕を伸ばして口々に叫び声を上げている。中には大人しく事態を静観している者もいるようだが、牢屋内は騒がしい事この上ない。

 バルベラさんは、牢から逃れられない哀れな囚人達を見て嘲笑っていた、のか……?

 まぁ確かに、彼女の性格なら考えられなくもない理由だが……。

「ホラ、いつまでボサっとしてんの! 早く逃げないと追っ手が来るわよ!」

「あっ、すみません!」

 いつの間にか急かされる側に回っていた俺は、入口付近で気絶している看守達に詫びを入れつつ、牢屋の外へ飛び出した。やや雲行きの怪しい空の下、先行するバルベラさんの後を追う。

 異常事態が発生している事は、既に察知されているらしい。その証拠に、敷地のあちこちから慌ただしい足音や叫び声が聞こえてくる。

 進む方向から考えて、どうやらバルベラさんは城門を目指していない。牢屋のある敷地東側の端、城の外壁の角の辺りに向かっている。

「どうするつもりなんですか?」

「決まってるでしょ! こうすんのよッ!!」

 叫び返され、まさかと思った直後だった。

 バルベラさんは右手の扇子を勢い良く広げると、胸の前でバツ印を描くように二度振るった。

 すると、その動作に合わせて高圧力の水流が生み出され、目前に迫る城の外壁に切れ込みを入れてしまったのだ。

 相当分厚いはずの外壁に、随分容易い動作で脆い部分を作り上げたバルベラさんは、走る速度を弱める事なく突き進んでいく。

「はあぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあああああぁぁあぁあぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 最後の数メートルを跳躍して前進するバルベラさんは、自らの周囲に生み出した水流を纏い、蒼い弾丸となって切れ込みの入った外壁に激突した。

 瞬間、耳を劈くような爆音と共に外壁の一部が弾け飛び、敷地の外まで繋がる巨大な大穴を開けてしまった。

 内心唖然としてしまった俺は、止まりそうになる脚を何とか動かし、粉塵の舞う穴の中を無我夢中で駆け抜けた。

 どうにか大通りへと抜け出すと、土煙の先でバルベラさんが涼しい顔で佇んでいた。

 周囲では突然巻き起こった騒動に驚き、多くの人々が足を止めて何事かと騒いでいる。

「はーっ、気分爽快! 一度やってみたかったのよねぇ、こういう派手な脱出劇!」

「呑気な事言ってる場合ですか! 何でもかんでも派手にやればいいってもんじゃないでしょう!?」

「うるさいわねぇー。細かい事気にしてる暇があったら、キミはここから離れなさい。追い掛けてくる連中は私が相手しといてあげるからさ」

「えっ? いや、でも――」

「運が良ければ『迎え』が来てくれるはずよ。ハイ、わかったらさっさと行く!」

 バルベラさんに無理矢理背中を押され、前のめりになりながらも、とにかく俺は走り始めた。

 野次馬に紛れながら肩越しに振り向くと、彼女はかなりの人数の追っ手を引き連れ、俺とは別の方向へと走っていく。

 だが、やはり全員を完全に撒く事は出来ず、俺の存在に気付いた何人かの兵士が追い掛けてくるのが見えた。

「追え! 逃がすな!」

 背後から飛んでくる威圧的な声が、俺の走る速度を自然と底上げさせる。

 人の多い大通りから、閑散とした裏通りへ転がり込むように突入し、曲がり角を見つける度に、右へ左へ進路を変える。

 廃材置き場を通り過ぎ、商店の間を潜り抜け、明確な目的地も定めずに走り続ける。

 そうして息を切らしながら、もう一度肩越しに背後の様子を窺ってみた。

 かなり乱雑に逃げ回ったからだろう。追っ手である兵士達の声は聞こえるものの、姿まで視界に捉える事は出来ない。僅かではあるが、引き離す事には成功したようだ。

 だがこれからどうする? バルベラさんが撹乱してくれているとはいえ、逃げ続けるのにも限界がある。一旦『首都』の外へ出ようにも、東西南北の門は全て警備が固まっているだろうし、列車についても同じ事が言えるはずだ。

 かと言って、今エリーゼの店に駆け込むのは自殺行為だ。現状ではまず間違いなく正規軍が待ち構えている。俺自身が追われる身となってしまった以上、彼女まで巻き込んでしまう訳にはいかない。

 ……そういえば、さっきバルベラさんが気になる事を言っていたな。確か、『運が良ければ「迎え」が来てくれる』、だったか?

 待てよ? 彼女が『迎え』と表現するものと言ったら――。

 と、走りながら思考していたその時。

 突然横合いから伸びてきた何者かの腕が、俺の服を掴んで強引に歩みを止めさせた。

 相手の顔を確認する暇もなく口を塞がれて、廃材が積まれた裏通りの一角へと引き摺り込まれる。

 あまりにも急な事だった為、抵抗しようともがいた瞬間、誰かが耳許で囁く。

「シッ! 静かにしてろ!」

 乱暴な口調だったが、その声に聞き覚えがあった俺は、どうにか従う事が出来た。

 直後、俺達のすぐ傍を駆け抜けていく複数の足音。周囲に所狭しと積まれた廃材が隠れ蓑となっているせいで、追っ手の人間は誰一人俺がいる事に気付いていないらしい。

 やがて足音も声も聞こえなくなり、静寂が辺りを包み込んだ。

「――とりあえず大丈夫そうだな」

「ぷはっ!」

 ようやく口を解放され、若干咳き込みながら新鮮な空気を吸う。鼻は塞がれていなかったとはいえ、走っている途中にいきなり呼吸を止められては、整えるのも一苦労だ。

「手荒な真似して悪かったな、逃亡者さんよ」

 からかうような口調でそう言ったのは、ここへ引き摺り込まれる直前に予想していた人物だった。

 アルフレッド・ダグラス。俺と同じく『ギルド』に所属している人間で、つい最近までディーンと行動を共にしていた男だ。

 言葉の割に悪びれている様子が感じられないが、こいつの場合それは毎度の事である。

「驚かせてごめんなさい。バルベラさんに言われて城の近くで待機してたんですけど、まさかあんな派手な脱出をするなんて思ってなくて……」

 と、眼の前の悪友に気を取られていた俺は、そこで初めて別の人間がいた事に気が付いた。

 艶のある牡丹色の長髪に、鮮やかな色彩画を思わせる薄紅色の瞳。俺と同年代らしきその少女の容姿は、ディーンから聞いていたとある人物と符合する。

「もしかして、キミがシャルミナ・ファルメか?」

 尋ねると、少女は嬉しそうに顔を綻ばせる。

「はい、そうです。ちゃんと話すのは初めてですよね。ジンさんの事はディーンから色々聞いてて……」

「俺もキミの事は聞いてるよ。それと、出来れば普通に接してくれると有難い。敬語を使われるのは慣れてないんだ」

「……わかった。じゃあお言葉に甘えさせてもらうね。よろしく、ジン」

「こちらこそ」

 軽く挨拶を済ませ、俺は周囲を警戒している様子のアルフレッドに声を掛ける。

「一応礼を言っておく、助かった。……それにしても、お前達は今までどこにいたんだ? 『首都』にはバルベラさんと一緒に戻ってきたんだろう?」

 アルフレッドはもう一度路地裏の方向に気を配ってから、やや面倒臭そうな表情で告げる。

「まぁな。ただ俺とこいつは宿を探してる最中だったんだ。で、いざバルベラと合流したら、城門前での顛末を聞かされてよ。こりゃいよいよ何かあると踏んで、詳しい事情を聞きに行ったんだよ。てめぇの知り合いだっつーあの占い師の所へな」

「! エリーゼに会ったのか?」

「ああ。そこでお互いの経緯を説明し合った結果、今こうしてるって訳だ。どうもあのエリーゼって女、お前がわざと捕まった事に勘付いてたみてぇだぜ?」

「何? ……じゃあまさか……」

 嫌な予感がして恐る恐る尋ねると、アルフレッドは殊更意地の悪い笑みを浮かべて言う。

「そのまさかだ。『余計な心配をさせた報いは後で受けてもらうから、覚悟しておきなさい』っつー有り難ーい伝言を預かってきた」

「うっ……」

「気を付けろよ。あの女、何も説明をしなかったマース・コアロッドにも相当腹を立ててるみてぇだからな。最悪二人して土下座する羽目になるかも知れねぇぜ?」

「……」

 土下座程度で済めばまだいいがな……。来るべき処刑日(そのひ)を想像すると、素直に恐ろしくなってくる……。

 明らかに面白がっているアルフレッドから視線を逸らし、俺は深々と溜め息を吐いた。

 何だか今になってようやく、巻き込まれ体質のディーンの苦労がわかってきた気がする。こういう時、あいつはいつもこんな気分だったんだろうか……。

「それでどうだったんだ? わざわざ城に連行された成果は。とんでもねぇ容疑を掛けられちまったんだから、当然元老院とも謁見出来たんだろ?」

 ある意味現状よりも緊迫するであろう未来の一場面を想像していた俺は、真面目な雰囲気を取り戻したアルフレッドの声で顔を上げた。

 ディーンから聞いた話、そしてエリーゼと会ったという発言から、バルベラさんを含めたこの三人は、『内通者』の存在について情報を共有出来ている事になる。

 しかし、だ。

「ああ。一応、現状をより詳しく把握する事は出来たし、リーシャ様と直接話す事も出来た。だが……」

「……おいおい、何だよその顔。まさか大した手掛かりは掴めなかった、とか情けねぇ事言うんじゃねぇだろうな」

「……」

 呆れたような表情で告げるアルフレッドに対し、俺は口を噤む事しか出来なかった。

 そう。現状を把握する事は確かに出来た。だが肝心の『内通者』に繋がる手掛かりになりそうなものは、全く得られなかったと言っていいだろう。

 元老院と謁見した時も、リーシャ様と会話した時も、特に不審な点はなかったはずだ。

 連行された牢屋で、一人怪しげな人物と接触した事はあったものの、既に囚われの身となっている人間に出来る事があるとは思えない。

 本当に、情けないとしか言えない状況だった。

 恐らくは、『内通者』を暴く為に『首都』へ戻ってきてくれたはずのアルフレッド達に、俺は何も力を貸してやれ――――――――――。

「………………なぁ、アルフレッド」

「あん?」

「お前達、『首都』へ戻ってきてから城へは行ったか?」

「いや、近付いてすらねぇよ。お前も知っての通り、城へ行ったのはバルベラ一人だからな。だがあの女も、門前払いを受けたって愚痴を零してたしよ。……それがどうかしたのか?」

「……いや、大した事じゃないのかも知れないが……」

「?」

 首を傾げ、訝しそうにシャルミナと顔を見合わせるアルフレッド。

 城での出来事を思い返していて、何となく引っ掛かったもの。

 単なる思い違いかも知れないし、『これ』が『内通者』に繋がるものとは限らないかも知れない。だが少しでも違和感があるなら、確かめておいた方がいいだろう。

 だが、そうなると問題は……。

「ハートラー。まさかてめぇ、『テルノアリス城』に戻るつもりか?」

「ひょっとして、『内通者』が誰だかわかったの?」

「……いや、まだほとんど推測の域を出ない。だがだからこそ、城に戻って確かめたい事が出来た」

 俺の発言に、二人が眼を(みは)った時だった。

 追っ手の兵士と思われる複数の足音が、徐々にこちらへと近付いてくる。完全に居場所がバレたという訳ではなさそうだが、ここに留まっているのが危険なのは確かだ。

 音の響いてくる方向を見やりつつ、アルフレッドが囁くように言う。

「だったら急ごうぜ。阿婆擦れ(バルベラ)が正規軍の注意を引いてる間に、侵入する方法を考えるしかねぇだろ」

「待ってくれ、アルフレッド。お前には別の仕事を頼みたい」

「あ? 別の仕事?」

 訝しげな顔をする悪友に、俺は真剣な口調で願い出る。

「コアロッド大佐と合流して、調べてもらいたい事があるんだ」

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