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【本編完結】僕の彼女は聖女様  作者: 泉川葉月
第一章 僕の彼女
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第六話

 色々あってようやく辿り着いた魔力測定部屋の中には、数人の神官と立派な台座に乗った水晶玉が鎮座していた。王家が秘匿している秘密の製法で作られた、黄金に輝く特別な水晶玉だ。


「初めて見たよ…すごく綺麗だね」

「…すごく高そう」


 マリアンヌは、鵜による魚乱射事件が尾を引いているみたいだ。いつもの溌剌とした元気がない。


「鳥たち連れて来なくて、本当に良かったわ」

「ダチョウが好きそうな大きさだもんね…」

「温めだしそうで怖いわ」

「…これ以上の騒ぎは起こしたくないなぁ」

「もう弁償するものを増やしたくない…」


 僕たちがヒソヒソ喋っていると、不機嫌そうな神官がゴホンと咳払いをした。


「水晶に両手をかざしなさい。強い魔力がある者程、水晶が明るく光ります」


 神官に促されたマリアンヌが、恐る恐る水晶玉に手をかざす。

 すると水晶玉が光り輝き、部屋を白く染め上げ——


 ピキピキピキ…

 バリン!


 水晶玉が真っ二つに割れてしまった。


「水晶が割れる程の高魔力?!」

「せ、聖女様だー!!」

「司教様に報告せねば!!!」


 興奮した神官たちが騒ぎ出す。


「どどどどどどどうしよう…」


 水晶玉を壊してしまったショックで、マリアンヌは狼狽えていた。神官たちの慌てぶりに気づいていない様子だ。


「マリアンヌ様!すぐに教会へ参りましょう!」


 神官に腕を掴まれたマリアンヌが驚きの声を上げる。


「ひぇっ!ここここれはわざとじゃないんです!」


 マリアンヌが怯えている…これはマズい。


「神官様、マリアンヌが驚いています!どうか落ち着いてください!!」


 神官たちは気づいていないが、マリアンヌの足元からは、床を突き破りウネウネと蠢く蔦が生えて来ている。


「お前こそ邪魔をするな!!」


 神官の一人に振り払われ、僕は尻餅を付いてしまった。


「いてて…」

「ちょっと!ヴァンに何するの!!」


 マリアンヌがそう叫んだ時——


 …ドドド…ドドドドド……


 遠くから微かに地鳴りの様な音が微かにする。


「キャー」

「うわー!何だー!!」


 窓の外から、異様な町の喧騒が聞こえる。


「魔物…?!」

「いや!違う!!アレは…!!」


 バキバキバキバキ!

 ガシャーン!!


「ガォォォォォォ!!」

「グォォォォ」

「グルルルル…」


 ライオンと熊と虎が現れた。

 マリアンヌの間に立ちはだかり、神官たちを威嚇している。


「イーグルの用事って、この事だったのか…」


 全壊した測定場から、悠々と空を舞うイーグルが見えた。


「マリアンヌを守るために連れて来てくれたんだね」

「イーグル!ありがとう!!」


 マリアンヌが大きく手を振ると、イーグルはどこかへ飛び去って行った。


「神官様たち、寝ちゃったみたいだし…早く帰りましょ?」


 神官たちは全員伸びていた。

 彼らの周りには、鮮やかな色のキノコがたくさん生えている。おそらく睡眠作用のある物だろう。


「床に刺さったお魚、隠蔽できて良かったわ」



 そういう問題じゃないと思う。



数ある作品の中からお読みいただき、ありがとうございました。


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