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【本編完結】僕の彼女は聖女様  作者: 泉川葉月
第三章 僕の彼女は聖女様
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第二十五話

 ——そういう訳で、僕は生き返りました。永遠の命と若さを得るいうオプション付き、でね。


 元の世界に戻った時は、それはそれは大騒ぎでした。

 僕が生き返った事?いえいえ。女神が再生した世界の事で大騒ぎだったんです。


 女神の神力は、確かに少しだけ足りなかったようでした。王都のあらかたは元に戻ったものの…王宮を半分だけ直すのが精一杯だったみたいです。

 つまり、王宮は半壊状態。怪我人は誰もいませんでしたが、王子は自分の命が潰える瞬間の記憶が残っていた様子でして。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいィィィ!」


 マリアンヌを見ると、涙と鼻水を垂れ流す謝罪マシーンとなってしまったので、挨拶もそこそこに僕らはドラさんに乗って村へ帰りました。


 迎えに来てくれたドラさんは、なぜか少し不機嫌で——ドラさんの咆哮で半壊だった王宮が全壊した挙げ句、砂塵になってしまって。それを目撃した王が泡を吹いてひっくり返ったのが、僕らが王都で見た最後の景色でした。



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥



 そんな騒動から数百年。

 『聖女マリアンヌ』の力を欲し、時の為政者や権力者が僕らの元を訪れることが度々ありました。時には平和的に。ある時は武力を保って。

 

 王子の件で権力者のような地位ある人間がすっかり苦手になってしまったマリアンヌが、話もそこそこに彼らを追い返してしまうので…権力者に傅かないマリアンヌは『魔女』、その伴侶である僕は『魔王』と呼ばれるようになってしまいました。人間なんて勝手なものですねぇ。



 僕たちの住む辺境の村。

 代替わりはしていますが、村の人たちの子孫やマリアンヌを慕う動物たち、それからドラさん。マリアンヌの起こす奇跡の力で生まれたミノタウルスにペガサス、フェンリルにケット・シー…他にも沢山の種族が集まって、みんなで楽しく暮らしています。


 そうそう、イーグルはいつの間にか進化して、神鳥になっていました。マリアンヌを神界まで運んだのが彼だったみたいです。村に常駐はしていませんが、時折現れては僕の上に色々な物を落として行きます。相変わらず僕に対して当たりが強めですが、『マリアンヌをしっかり守れ』という彼なりのエールと受け取っています。


 実は…村、と散々言ってはいますが…度重なる権力者の攻撃を防ごうと僕が改築を重ねていたら、村はひとつの要塞みたいになってしまったんですよね。都会の人からは『魔王城』なんて呼ばれているみたいですけれど。ピラニアとワニたちが泳ぐ堀に囲まれ、ミノタウルスとガーコイルが門番をしているせいですかね?見た目は厳ついかも知れませんが、敵意さえ無ければどなたでもお入りいただけます。辺鄙なところですが、ぜひ遊びにいらしてくださいね。


 それでは、僕の長話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 え?この国をどうするのか、ですか?

 うーん、先に『魔王城』に攻撃して来たのはそちらですからね…ですので、話し合い(・・・・)に来た訳なんですが。


 イーグルからの情報だと…この国の王様って、あまり国民からの評判は良くなかったみたいですね。マリアンヌが伸してしまった後でこんなことを言って、本当に申し訳ないんですけれども。


 もしそちらさえ良ければ、僕たちがこの国を貰い受けても良いですか?ここ(王宮)のキッチンの使い勝手がとても気に入ったんですよね。

 国の立て直しをするなら、人材も資金も提供できますよ。ダイヤモンドなら即納で出資できますけど、どうします?

 まぁ細かい話は、マリアンヌも交えてにしましょうか。


「マリアンヌー!アップルパイが焼けたよ。この国の宰相の方と一緒に、お茶にしよう」



 僕の彼女は()『聖女』様。

 今は『魔王』である僕の大切な伴侶です。



 おしまい。



これにて本編は終了です。

次回は番外編です。


数ある作品の中からお読みいただき、ありがとうございました。


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