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【本編完結】僕の彼女は聖女様  作者: 泉川葉月
第三章 僕の彼女は聖女様
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第二十三話

「ああああああああああ!マズイ!まずい!マズイのじゃぁぁぁぁ!!」

「どうするんですか、女神様。世界が滅亡しちゃいましたよ?」


 慌てふためいている女神の横で、僕は水晶玉を覗き込んでいる。


 僕がいるのは神界。王子によって斬り伏せられた後、どういう訳か僕の魂は神界へと辿り着いた。

 そして今まで水晶玉で見ていたのは、マリアンヌが生まれてから——そして僕の死を知ったマリアンヌが世界を滅ぼすまでの映像だ。


「聖女が世界を滅ぼすなんて前代未聞じゃ!怒られるぅ…怒られるぅ…創造神様(前任者)に怒られるぅ…」


 女神がガタガタと震えている。


「マリアンヌの力は絶大です。そんな仕様(・・)にしたのは、女神様でしょう?」


 僕が呆れてそう言う。


「仕方ないじゃろう?色んな装備(スキル)搭載しまくって、完璧の究極で無敵の聖女にしたかったのじゃ!!」

「どこで仕入れたキャッチフレーズなんですか、それ?」


 万物から愛され、無尽蔵に湧き出る膨大な魔力を保持。敵対するものを全て浄化する最強魔法『女神の加護』を駆使して、自分のためにひたむきに努力する明るくて元気な美少女。それが女神の造った『女神の愛し子・聖女マリアンヌ』だった。

 この世界の主人公と言っても過言ではないその能力は、全て女神が望んで与えたものだったらしい。マリアンヌの性格がやや猪突猛進気味になってしまったのは、育った環境が影響した部分もあるかも知れないが…


「何でそんなに張り切り仕様(ハイスペック)にしてしまったんですか?」

「……初めてだったんじゃもん…」

「え?」

「見習い神の頃から、前任者と一緒に育てて来た世界で!やっと女神に昇格して!初めてひとりで任されて!!初めて造った聖女だったんじゃもんんんんん!!!」

「つまり、見習いの頃からずっと妄想してた『(アタチ)ノ考エタ最強(サイキョー)ノ聖女☆』を造ってみた、と」

「あああああ!皆まで言うなぁぁぁぁぁ!!」


 その結果、世界は滅んだ。


「造ったのは良いとして…どうして神託なんてしたんですか?神託がなければ、辺境ののんびりとした村で、僕もマリアンヌも穏やかに過ごせていたと思いますよ」


 いずれは不思議な力を持つ少女の存在が、明るみになっただろう。だけど最初にわざわざ神託などしなければ…王も司教も長い間、心血を注いで聖女を探し出すことなどしなかったはずだ。

 二人の執念がマリアンヌに与えた影響は小さくはない。実際、王宮で王や王子たちに迫られてからのマリアンヌは、ずっと力が不安定だった。


「…せっかく造ったんじゃもん。『ありがたや〜(・・・・・・)』くらい欲しいじゃろがぁ!」


 そういえば、村人や王たちもマリアンヌに向かって『ありがたや〜』と拝んでいた気がする。


「あの『ありがたや〜』って、一体何なんです?」


 僕が疑問を口にすると、女神が答えた。


「聖女の力の源は、妾の神力じゃ!聖女が崇拝されれば、妾の元に皆の祈りである『ありがたや〜』が還元されるんじゃ!『ありがたや〜』とは信仰心!信仰が高まれば、神力が高まる!!『ありがたや〜』を集めて何が悪いぃぃぃぃ!!」

「なるほど。つまり女神様の『ありがたや〜』という名の承認欲求を満たす為に神託をしたところ、結果的に世界が滅んだ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ…」



 創造神様、全ての元凶は女神(コイツ)です。



数ある作品の中からお読みいただき、ありがとうございました。


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