第九十四話 怒り
あれから数ヶ月ほどが経過しただろうか…最初の頃は何度もここを抜け出してでも千尋に会いたいと思っていたが、それはもう無理なことだと理解し諦めかけていた。
私は暇な時間になると嫌なことを思い出してしまいそうになるので、できるだけお仕事をキツキツに入れることにした。
そうすればそんなこと考えてる時間もなくなるし、それに同じ部屋のみんなともあまり会わなくて済むから気が楽である。
別に円香たちが嫌になったわけではないけれど、誤魔化し誤魔化し生活している私だといつか本当のことがバレて心配をかけてしまうと思っていたからである。
そして、だんだんと寒さも引いてきて四月が近づいてきた頃、私に転機は訪れたのであった。
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私は夜眠ろうとしたら思いがけずあの事を思い出したくもなかったけど、思い出してしまったのだ。そのせいで寝れなくなってしまい、気分転換がてら寝室の外を少し散歩するのであった。
すると、まだ起きていた円香にバッタリと出くわしてしまい、少し話すことになった。
「ハーーア...円香、起きてたんだねこんな夜遅くに」
「そうだよ!ていうかさ、今祷のことお越しに行こうかなって思ってたところだよ!」
「ん?それってどういうこと?」
「なんかねー、祷に会いたいっていうカッコいい神様が今ここに来てるの!」
私はそれを聞いて、すぐに誰なのか分かった。それと同時に、なんで来てしまったんだとさえ思ってしまった...
「もーー!いつか紹介してくれるって言ってたくせに、全然紹介してくれないじゃん祷!」
ペチン!!
そういって、円香は照れながら私の背を叩いた。
「円香も祷と一緒に行っちゃおっかな!」
「ごめん円香...私一柱で行かせてくれないかな?今まで合わせられなくて本当にごめんね。そして今回も...多分、すごい大事な話だからさ...円香が居ると彼も気まずいっていうか...」
「アハハ!いいよいいよ!じゃあまた今度彼氏さん紹介してね!私はもう眠いから寝るー」
私は真顔になっていつもではないような雰囲気で円香に説明しようとしたら、なぜか深く追及はされなかった。
私は急いで彼の元まで向かうと、何と尋ねてきたのは紛れもなく千尋なのであった。何も変わっていなく、私を見るやすぐに喜んでいてくれていた。
私はどのツラ下げて千尋と再開すればいいかわからなかった...大した理由なんて言わずに彼の元を離れて、数か月もの間一切会わなかったのだから...
「祷!!会いたかったよ!!」
私に出会うとすぐに千尋は私に抱きついてくれた。いっそのこと、私のことなんて忘れていて欲しかったのに…私はもう…
私は千尋を嫌々振り解いて答えた。
「ごめんね…千尋。もう私のことなんて忘れて…」
すると、千尋はさらに強く私を抱きしめて離さなかった。
「何言ってんだよ祷!言ってることそれ自分が思ってる本当のことじゃないだろ!」
「ほ、本当だよ…もう私なんか忘れてよ…」
「本当にそんなこと思ってたら、俺のこと見て泣いたりなんかしないだろ。お前一体何かされたのか?俺のこと好きって言ってたじゃん!」
私は思いがけずに声を荒げて答えてしまった。
「だからもう!無理なんだって!」
そう言うと千尋は驚いてしまったが、また私を強く握りしめて離さなかった。
「ごめん千尋…私もう汚れたの…だからもう私なんかのこと放っておいて…あなたくらいの顔があれば他にもっといい女と出会えるよ…」
「そんな…汚れたって…」
千尋が困惑していると、そこにニコニコ顔の母主様が現れた。相変わらず不気味な笑みを浮かべている。
「これはこれはどうらやお客様…ではなさそうですね。それでは用はないので早くお引き取りを。今晩は夜も遅いですからね」
そう言って母主様は私の手を握って連れて行こうとした。私は途中で何度も後ろを振り向きながらも、何もすることができなかった…ただ千尋の顔を眺めるしかできなかった...
すると、千尋は怒りのこもった低い声で母主様を呼び止めた。
「ちょっと待てよ」
「そこのババア…」
「ババア?ですって、小僧」
母主様は顔に筋が入り、見るからに怒っている様だ。そして、後ろの千尋を振り返る。
「あぁ、そう言ってんだぜ、豚野郎!おかしいな豚の耳はデケェからよく聞こえると思ったんだけどよ。それとも理解できないのは脳みその問題か?」
「ムカつく小僧ね...そうねそうそう、私は豚よ。女…特に小さくて可愛い女の体を食い漁る雌豚よ!愛する祷を私に食べられたのがそんなに嫌だからって煽っても無駄よ」
そして、千尋が何かを引き抜くのを見て母主様は一気にブルブルと震え出す…!!
キィーーーン!!
そう、千尋は腰にしまっていた神器である刀を取り出したのであった。つまり、千尋は今から母主様を殺そうとしているのであった…
「ハア!ハア!ハア!ちょっとあなた何をする気!!??まさか私を殺すのか!?」
千尋はゆっくりと私らの方まで向かって行った。一歩ずつ近づくたびに彼女は汗を吹き出す…
「あぁ。色々調べたんだ祷と別れてから。城の外から女神、特に顔立ちが良い子らを募集して性的搾取してるって噂があったんだ...頼むから外れていて欲しいって思ってたけど、まさかそれが本当で祷が被害に遭っていただなんて...」
「俺はお前のことが許せない!若くてこれから先の未来に希望がある子を利用して、自分の思うように利用するお前のその姿勢が!!」
「俺は祷の為にも、お前を地獄に送ってやらなきゃ気が済まない」
そして、千尋は刀を握りしめて上に持ち上げ、振りかざした。
「ぎゃぁーーーー!!」
母主様は絶叫して間一髪のところを避けた。
「おーーい!!おーーい!!子どもたちーー!!お母さんを助けなさい!!」
母主様がそう言うと騒ぎを聞きつけたみんながここまでやって来るのであった。
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