第八十二話 恋の予感
トントンッ
誰かが私の背中を叩くので、私は腕で涙を拭いて後ろを振り向く。するとそこに立っていた彼とは…
「こんな所で泣いて、どうかしたんですか?」
そう、彼は一週間ほど前まで通っていた陽々葵さんの出産の時にたまたま出会った青年であった。確か彼の名前は…
「ヒック…ヒック…な、なんでもないです…あの、あの時はどうもありがとうございます。急いでて本格的な例を言えなくてごめんなさい」
「いいんだよ別に例なんて。ていうか、なんでもないわけなくない?何か辛いことでもあったの?」
そう言って彼は木を跨いで私の隣に腰掛けた。
「いや、本当になんでもないんです…大丈夫ですよ!?」
私は再び、作り笑いをした。でも、笑顔が不自然すぎたせいで逆に不安がられた。
「まあ、何かあったのか言いたくないんならそこまでなんだけどさ。ねぇ、そう言えば名前ってなんだったっけ?」
「浅田祷です」
「そうだそうだ!思い出したよ!俺の名前は千野千尋、まあもしかしたら知ってるかもだけど。ちなみにあの時の先生はこう見えても俺の姉貴なんだぜ。まあ、父は違うけどさ」
「そうなんですね…優秀なお姉さんですね」
千尋さんは大の字になって空を見上げた。
「確かに優秀だよ。でも、そうならなきゃいけなかったからさ…家庭の事情でね」
と、千尋さんはボソッと呟いた。深くは理解できなかったけど今の私にはそのことを考えれる力もなかった。
「祷さんのこと祷って言ってもいいかな?」
「ええ、いいですよ別に」
「そっかありがとう!じゃあ祷、俺のことも千尋って言ってくれない?」
「うん、分かったよ…千尋」
「そうそう!さん付けなんか苦手だからさ!よっこいしょ!」
そう言って千尋さんは立ち上がって、服についた汚れを払った。
「ねえ祷、今暇?」
「お仕事は何も…」
そういうと千尋はニッコリと微笑みながら私に手を差し伸べた。
「じゃあさ、俺と一緒に遊ばない?」
そのニッコリ顔には裏表がなかった。本当に純粋に私と一緒にいたいということしか感じられなかった。
私は少し照れながらも、彼のその差し出された手を握りしめた。
「はい…お願いします」
グイッー!
「ほら、立てるかい?」
そう言って千尋は私の手を支えて立ち上がらせてもらった。そして、体に付いた汚れを手で丁寧に払った。
「これくらいなら私できますよ」
「良いの良いの!俺にやらせてよ」
なんだか少しくすぐったいけど、嫌な気持ちは全くしない。むしろなんだか少し…
そして、千尋は私の手を握りしめたまま歩き出すのであった。
「あっ、あのー!手、握ったままですよ!!」
「良いんだよ。繋いだままで」
そして、しばらくすると千尋は手を握り直して、いつの間にか恋人繋ぎになっていたのであった。
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