第七十五話 除け者扱い
初めてのお仕事、陽々葵さんの出産までお手伝いさんをすると言う仕事を完了してから数日ほど経過していた。
「なんだか陽々葵さんと会えなくなって、寂しいね」
「そう?普通に会いにいってるけど」
私は思わず目を細めてしまった。
「えっ!?うっそ!行っていいの?」
「うん!いつでもおいでって優しくしてくれるよ!」
「それって、円香…本音と建前って言葉知ってる?」
「いやでも本当だもん!男の子の名前が祷から取って庵くんで、女の子の名前が私から取って穂乃香ちゃんなんだよー!」
庵くんは確かに私の名前にそっくりだなぁ…円香は結構変わった感じの珍しい名前だから、香りの香を使って女の子に名前をつけたのかな。
「アハハ!それはなんだか嬉しいね。その子たちの分も手本になるくらいにこれから頑張らなきゃだね」
「そうだねぇ…一ヶ月だったけど、何よりも長い一ヶ月だったなあ…最後に食べた晩ごはんが恋しいよぉ〜」
そして私らが雑談をしているとそこへ、ニコニコ顔の母主様がやって来た。
別に何かされたとかいうわけでもないのに、私と円香はいつの間にか体に力を入れて身構えてしまっていた。
「ふふふ。初めてのお仕事ご苦労様」
私と円香は一応、頭をぺこりと下げた。
「新入りさんの初めてのお仕事が終わったってことで、今晩はみんなで宴でもしましょう。何か食べたいものはあるかい?祷」
また、私だけ相手にされて円香は相手にされていない。一体どうして円香は除け者扱いされるのだろうか…?でも、いつも通りいつも通り…
「じゃあ、この前私にくれた角煮が食べたいです…」
「いいわよ。豚丸々一匹使って作ってあげるわよ」
私は長い間疑問であったことをここでいっそのこと聞いてみることにした。
「じゃあね、私夜の支度あるからまた夜に会いましょう」
そう言って母主様はここから去っていきそうになるが、私は呼び止める。
「待ってください、母主様!お聞きしたいことがあるのですが…」
するとその場に立ち止まり、私の方を振り向いた。
「どうかしたのかい?祷」
隣に円香もいる状態だから、ここで聞くのはすこし円香にも気まずそうだけど、でも逆にこの状態なら言い逃れできないはず…
「なんでいつも私ばかり気になさるのですか?」
「なんでって、私は家族には優しいわよ。ここで働いているみんなは私の家族さ」
「それなら、円香にも優しくしてあげてくださいよ」
すると、母主様は急に不貞腐れたような顔をしたが、私は日和らずに続けた。
「前のお仕事も私だけじゃあうまくいきませんでした。円香がいてくれて二柱だからここまでやって来れたんです」
「だから円香のことも少しは気にかけてくださいよ」
「ちょっと、祷!恥ずかしいって…」
円香は恥ずかしそうな顔をして私の口を手で閉じようとしたが、母主様は続けた。
「ふふふ。誰?円香って…そんな子、ここにいたかしら?」
それを聞いた私…いや、一番は円香がショックを受けているだろう。下を向いて落ち込んでいるのがわかった。
母主様はすっとぼけているように見えない。本当に無視していると言うか、眼中にないと言った感じであった。
「何変なこと言ってるんですか!?円香なら今、私の隣にいるじゃないですか!」
円香はもういいって、と言いながら私を止めようとした。
「誰?そんな子私には見えないわよ。ふふふ。今日の夜、楽しみにしていなさい、祷」
そう言って母主様は私たちに背を向けてどこかへと去っていってしまった。
なんで私ばかりエコ贔屓され、円香は除け者扱いされるのだろうか…あんなに前にあったことを今にもなって引きずっているのだろうか…
円香は表情を暗くして部屋の中へと駆けて行った。
ごめん円香…別にお前のことを傷つけたくて聞いたわけじゃないんだ…私はそう心の中で円香に謝った。
そして、私は急いで円香を追って部屋まで向かうのであった。
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