第七十三話 家族揃って
「ここです!ここがそのお家です!」
家の前に着くと私たちは雪だるまの式神から降りて、彼女を家の中まで案内するのであった。
「千尋さんは中には入らないんですか?」
「あぁ。俺なんかただの部外者だしな。まあでも、外で応援はしてるぜ」
そうなのかぁ…せっかくここまで頑張ってくれたんだけど、本人の希望ならいいか…
「それじゃあ、気を取り戻して飛鳥さん後はお願いします!」
「えぇ、分かったよ。後は私に任せてちょうだい」
私は飛鳥さんに向かって頭を下げた。すると、彼女は優しくも私の頭を撫でてくれた。
家の中に入ると直ぐに陽々葵さんが痛みに悶える声が聞こえてきたのであった。そして、飛鳥さんが来るまで看病をしてくれた円香と飛鳥さんは交代してこれから一気に産ませるのであった。
そして、私と円香は陽々葵さんの出産する様子を部屋の奥の方で見守らせてもらうのであった。妊娠もしたことないし、なんの医学の知識もない私と円香はなにもできずにただ突っ立っていた。
「あーーー!すっごい痛い!!」
「もっと踏ん張って!」
だけど一つ分かるのはすっごい痛いっていうこと!命がかかっているだけ、産む側も命を懸けているということがよく分かる...
ただ突っ立って神様にどうか無事に生まれてくることだけを祈った。父神様、母神様!お願いします!元気な産声をこの部屋に響かせてほしい...
だかしかし、お医者さんを連れてくるのに時間をかけてしまったせいか、もう産まれてもいい頃だというのにまだ産まれてこない…お産は難航している様だ...素人の私たちですらそう感じれるぴりついた雰囲気であった...
私のせいだ…私がモタモタしてたからだ…そう思って私は落ち込んでいると、円香が私の肩にポンと手を置いてくれた。
「祷は悪くないよ。私もうまく看病っていうかできなかったからさ」
「違うんだ円香...私が悪いの...もう少し早くお医者さんを連れて来れれば今頃...」
すると、飛鳥さんが私たちの方を向いて言うのであった。
「ちょっと、アンタたちなに後悔してんのよ。終わったことみたいに言わないで何かできることがあるでしょうが!」
「まだ、お産は終わってないし彼女が今一番求めているものはアンタたち二柱だよ。ほら、彼女の手でも握ってあげなさい!」
その言葉を聞いて私と円香は正気戻った。そうだよ!後悔なんて終わってからするもんだ。今はなにも終わってないからそんなことしたって意味ない!
私と円香は陽々葵さんの手をしっかりと握りしめて励ました。
ググググ…!
「陽々葵さん!頑張って!!あともう少しで赤ちゃん産まれてきますよ!」
「そうですよ頑張ってください!みなさんで一緒に食事しましょうよ!!」
よっぽど力んでいるのか、手の骨が砕けそうなくらいの力で握られてる…だがしかし、その握り返す手には励ましてくれてありがとうと言った気持が籠っているように私と円香は感じていたのであった...
もちろん、私たちはともかく陽々葵さんの他に飛鳥さんも汗をダクダクと流しながらお産を手伝っている。命がかかるというのは患者も医師も大変であるということなのだ...
「お腹に力入れて!これで二柱とも産むからね!」
「はいっ!!」
そして、次の瞬間、ちょうど今にも我が子が産まれると言った瞬間に旦那さんが帰宅したのであった。
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