第七十一話 彼との初めて
ブルブルブル…!!
「ハア…!ハア…!ハア…!さっむ!!」
次第に私の神術ではどうしようもないほど体が冷え切ってきた。それに、歩いても歩いても病院まで辿りつかない…この吹雪が私を病院から遠ざけている様だ...
もうダメか!まさかこんなにたくさんの雪が降っているだなんて…これじゃあ、お医者さんを呼びに行かないよ…
私は半ば絶望に近い感情に陥っていた時に、深い雪の中を誰かが歩いてくる音が聞こえた。
ガサッ ガサッ ガサッ
その男は雪道の中をかき分けて私のところまでやってきた。
「もう大丈夫だぜ」
そう言って彼は私の背中に手をかざして私をなにやら膜のようなもので覆う。何これ…?空気の膜みたいだけど、すっごい暖かい!
「こ、これは…一体!?体が膜のようなもので包まれてる…それになんだか暖かい…あなたは一体?」
背が高く金色の髪をしている彼は一体何者…若さ的に見たら私と同い年くらいだ。
私が元気になったのを見ると彼は安心したようで、髪をサッと持ち上げて何か決めポーズでもして見せたのであった。
「可愛いお嬢ちゃん、それこの俺に言っているのかい?まー、なんて言うか名乗るほどのものでもないんだけど、そこまで知りたいんだったら教えてあげてもいいかなー...なんつって」
なんだ…こういう系の神様か…助けてくれたのは本当に感謝したい。でも今はそんなことをしてられる場合じゃない。申し訳ないけど、ここを去らさせてもらうよ。
「ごめんなさい通りすがりの恩人さん!私今、そんなことに付き合ってられる場合じゃないの!命がかかってるから先に行かせてもらうよ」
私は雪の中を駆け抜けて病院まで向かった。なんだか、体が軽い…って言うかこの膜みたいなものに包まれてるお陰で雪の中でも普通に走れる。
ガサッ ガサッ ガサッ
すると、後ろの方からさっきの彼が私を追いかけて来た。そして、彼は私に尋ねる。
「ねえ、君さっき命がかかってるって言ったけどそれってどう言う意味?」
「ハア…ハア…赤ちゃんが産まれるの!それも二柱も!出産が近づいて来たらお医者さん呼んでこようと思ったら、いつの間にかこんなに積もって!ハア…!ハア…!」
すると、彼は真剣な表情になって私に協力すると言った。
「待ってくれ、俺も協力する!息切れてんじゃねーかよ!こう言う力仕事は男に任せろ!」
「雪だるま!」
彼はそう言って何やら術を発動した。すると、周りにこれでもかというほど積もっていた雪が一箇所に凝集した。
ギュギュギュギュギュッ ポンッ!!
するとそこには、なんと意志を持つ雪だるまのようなものが顕現した。
生きてるみたいだけど...これも神術か…!!
そして、その雪だるまは彼と私を頭の上に乗せた。
「こいつは俺が今即興で作り出した式神だ。周りにある雪をかき集めて作ったやつだから、大したことはできねぇけど移動くらいならできるぜ」
「絶対に振り落とされんなよ」
「えぇ!?」
すると、雪の精霊は私を頭に乗せたた状態でも猛ダッシュをかました。
病院へ向かっている途中、なぜ彼がここまでして通りすがりの私のために力を貸してくれるのかを聞いた。
「ねえ君、なんで私にここまでしてくれるの?」
「命がかかってるんだろ?そんなの助けて当然だろ。そんなことに意味はない」
かっこいい...私はこんなにカッコいい神様が居るだなんてと、顔を少し赤くした...
「ていうかお前、顔赤くない?まだ寒いのか?」
「そ...そうかも...」
するとすぐに、病院の前へ到着したのであった。病院の周辺の方も病院に入っている患者も、いきなり病院の目の前に巨大な動く雪だるまが着て驚いているが、今はそんなこと気にしてられない!
「俺はここで待ってるから、早く中に行ってお医者さんを呼んできてくれ。一緒に雪だるま(コイツ)で運んで行ってやっから」
「分かったよ!ありがとう!!」
私は急いで病院の中へと入り、手が空いているお医者さんに家まで切れくれるように相談したが...
「うーーん…それはできない話だなあ…」
なんと、やっとの思いで病院に駆けつけたって言うのに家には来てくれないと言うのであった。
私はうつむいた状態で、病院の外へと行き彼に事情を話すのであった。
「せっかくここまで送ってくれたのにごめんね...雪が降ってるからそこまでは行けないって。でも、そこは大丈夫なんですって言ったけど聞いてもらえなかったよ...ごめんね!」
すると彼は雪だるまから降りて病院の中へと入っていくのであった。何をするのかと思って私も、ついて行くと...
彼はあろうことかその医者の胸ぐらを掴み、周りは完全に修羅場になっていたのであった。
「ざっけんじゃねーぞ!テメェ!それでも医者かっつーの!こっちら赤ちゃん二柱の命がかかってんだぞ!!」
医者も周りにいた看護婦もそれに私でさえも背筋を冷やして驚いていた。
彼はなんでそこまで他人のことで怒れるんだ…
彼は私の手を掴んで、急いで病院の外へと向かった。
「すまねえ!迷惑かけちまった!でも、むしろ良かったよ!あんなくそみたいな奴に任せられねぇもんな!」
「俺が知ってる産科の先生のところまで連れていくよ。結構遠いけど、コイツには頑張って走らせるから安心してくれ」
こうして名も知らぬ彼は再び私を抱き抱えて遠く離れた病院まで駆けつけるのであった。
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