第七十話 外へ駆け出して
私は一目散に家の外へと駆け出そうとした。
「私、お医者さん呼んできます!」
しかし、陽々葵さんはそれを止めた。
「ちょっと待って!」
すると、私はビタっと立ち止まり再びここまで戻った。
「どうしてですか?もう赤ちゃん産まれてきそうですよ!」
「大丈夫よ。まだ産まれてこないと思うわ。私のことは私が一番わかるから安心してちょうだい」
「今呼んだらもし今本当に赤ちゃんを産むって言う方に迷惑をかけてしまうわ。だから、ギリギリまで待つわよ」
「それでいいんですかね…」
「大丈夫大丈夫!陣痛の間隔もまだ出産の時じゃないもの」
「そうですか…じゃあ私たち、陽々葵さんに元気を込めたおにぎり作ってここまで運んできますね!」
「ありがとうね。頼むよ」
と言うことで、私と円香は台所まで行って早速調理を開始した。
私たちが料理を作っている間にも何度か陣痛が起こり、その度に慌てて陽々葵さんの元へと向かった。
出産が近づいてきてもうまともにご飯も食べれなくなっていてしまっていたのであった。おにぎりは具まで到達せず、味噌汁は具しか食べていなかった。
そして、陽々葵さんの身に再び陣痛が起こった。それは、今までの中で一番大きなものであった。
日もだんだんと沈んできておそらくもう夜あたりになってしまったのだろう。
今すぐに産まれてしまってもおかしくない。
「大丈夫ですか?陽々葵さん!もう私、お医者さん呼んできてもいいですか?」
すると、陽々葵さんは激痛に悶えながらも頭をかくっと下げて了承してくれた。
「じゃあ私、行ってきます!円香は陽々葵さんの看病を!」
「分かったわ祷!陽々葵さんは私に任せて!」
私は急いで玄関まで向かって、病院に向かうためにドアを開けるとそこに広がっていた光景とは…
ガチャ!
ヒュー! ヒュー!
なんと知らぬ間に雪が高く積もっていたのであった。それだけでなく、強い突風が雪と合わさって吹雪を発生している。
「祷!大丈夫なの外は!?」
円香が心配して私に声をかける。確かに今日は朝から冷え込んだ。雪が降るだろうとは思っていたけどまさかここまでとは…
私は後ろを振り返ると、痛みに悶える陽々葵さんの姿が目に映った。
こんなことしてられない!
陽々葵さんはお腹の中に二柱も赤ちゃんがいてそれに今、激痛と戦っている最中なんだ…!私が行かないでどうすんだよ!
「大丈夫!なにも問題ないよ!待っててね陽々葵さん!今すぐにお医者さん連れて来ますからね!!」
そういって私は屋敷を飛び出した。しかし、もう既に強烈な吹雪で視界が遮られるのと、極寒で体温が奪われる…
神術でなんとかできないかな?凍え死にそうだ…!!
しかし、できたとしても体温が下がり過ぎないように維持するくらいしかできなかった。雪もかなり積もってるし、視界も悪い!
どうしよう!早く病院まで行かないといけないのに!!こんなんじゃあいつまで経っても進まない!
そして、私は雪道の中で頓挫していると、そこに私を見かねた青年が救いの手を差し伸べるのであった…
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