第六十五話 みんな繋がっている
円香は少し悩んだ顔をする。
「そんなこともないんじゃないの?」
「それってどう言うこと?」
私は円香がまた何か変なことでも言い出したのかと思って、再び問い直した。
「そのまんまじゃん。血は繋がってないけどって、ところ。そんなことないと思うよ私」
「でも私は…養子って言うかなんて言うかそんな感じだし、家族に迎え入れられたのもつい三年ほど前だから…」
間違って私、人間だったからって言ってしまうところであった。危ない危ない…
「そう言うことじゃないよ。物理的に繋がってると思うよ。だって祷、知らないの?父神様と母神様のこと」
「知ってはいるよ。ほとんど名前だけだけど、それが何かしたの?」
「まあ私も知ってるのはほんの少しだけなんだけどね」
「私も祷も先輩もそこら辺にいる猫ちゃんだって全部、父神様と母神様の子孫じゃん」
「たっ、確かに…!言われてみればそうだ」
「だから…」
円香はそう言って私の手をギュッと握りしめて私の目を見つめる。
「ヒェッ!ちょっと円香なに急に!めちゃめちゃ目が輝いてて眩しいんですけど」
「円香と祷ちゃんは親戚なんだよ。遠い遠い親戚…でも確かに血は繋がってるはずなんだよ」
そうだな…神様も人間も、君と私も遠い親戚で同じ血が流れてるって考えれば、なんだかホッコリする。
「円香、これからもよろしくね」
「えー?なに急に照れくっさ、アハハ!まあでも、私もよろしくね」
そんなことを言って抱きしめ合っていると、食事を終えた泉奈さんたちが部屋へ入ってきた。
ガヤガヤガヤ…ガヤガヤガヤ…
「ふ〜〜!食った食った〜!」
「早くお風呂に入りましょう」
みんな楽しく雑談をしながら部屋の中に入ってきたが、抱きしめ合っている私と円香を見て気まずそうに沈黙してしまった。
「アハハ…!お取り込み中のところ失礼しました〜」
「じゃあ私たち、先にお風呂入ってくるからそれまでにはね〜」
そう言って彼女たちは、申し訳なさそうにその場を去ろうとした。
私は全然そんなことしようとしてないと、必死に弁明しようとするが、円香は見られて恥ずかしいみたいわ、みたいな顔をして余計どっちなのかわからなくさせてしまった…!!
「いいんだよ別にここ、女の子しかいないからね」
「女同士で付き合うのってロマンチックだものね〜」
まずいまずい!このまま誤解されっぱなしだと、今後に関わる!
そう思った私は、どうにかして彼女たちの注意を引けるものはないかと考えた。それは…
「あの、泉奈さん!香水ありますよ!」
すると、泉奈さんが立ち止まり私たちのところを振り向いた。
「お母さんから仕送りしてもらった香水があって、もし良かったらお風呂上がりにでも使ってください」
泉奈さんは私の元に近寄ってきて香水を一瓶、手で持って溢れ出す匂いを嗅いでみる。
「クンクンクン。確かにこれ祷のめっちゃいい匂いと同じだ」
「でも、こんなに高価なものもらってもいいの?これ絶対に高いでしょ」
「いや大丈夫ですよ!それに前、泉奈さんが欲しいって言ってたじゃないですか」
「そうだけど、本当にくれるだなんて…私別に物々交換とかできるような物持ってないよ?お金はあるけどさ」
「大丈夫ですよ!見返りなんてなにもいらないですよ!」
「マジ?ありがとう祷、じゃあこれ一つ使わせてもらうわ」
そう言って、泉奈さんは香水を大事そうに手で抱きしめた。
「あー後、みなさんもぜひ使ってください!こんなにたくさん、私一人じゃ使いきれないので」
するとみんな遠慮しながらでも、香水を一つずつ貰っていってくれた。
「ありがとうね、祷!私も気になってたから嬉しいよ!」
「今度美味しいご飯連れて行ってあげるよ!」
泉奈さんの友達の瑠衣さんと瑞稀さんにも喜んでもらえたみたいでよかった!!
なんだかとっても嬉しい。もしかしたらこの大量に中にある香水に私が調合したやつも混ざってるかもしれないと思うとさらに嬉しい。
「それと、さっきの話なんですけど…別にそう言うアレじゃなくてたまたま…」
「ハハハ!分かってる分かってる!冗談だよ!そんなに本気にしなくてもいいのに」
「祷って多分優しいから結構思い詰めたりするんじゃないの?私だったらな訳ねーだろって思って無視するもん」
「私はそんなに…」
「まあ、この話はこれでお終い。祷、円香だっけ?一緒にお風呂入ろ!私らが代わりに背中洗ってあげるから」
「はい!一緒に入りましょう!」
こうして私と円香は先輩らと共にお風呂に入ることになったのであった。
そして私は泉奈さんたちの背中を見て、さっきの言葉を思い出した。
私たち全員、繋がってるんだもんなぁ…
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