第六十三話 世界で一番好きな相手
そして、私と円香は今日の仕事を終えて一緒に雑談でもしながら帰った。
「ねえ祷って、赤ちゃん欲しい?」
「えっ!?急に何言うのよ…!」
突然の質問に私は不意にも顔を真っ赤にしてしまった。
「いやいや普通に赤ちゃん、自分の子どものことよ!てか、なんで顔赤くしてんの?まさか変なこと考えてたんじゃないでしょーね?」
私は手でバッテンを作ってそれを否定する。まあ、本当はそうなんだけど…ていうか円香だからそういう意図で言ったのかと思った。
「別にそんな…私、家族いなかったから家庭を持つことにすっごい憧れてるんだよね…」
「でもその前に、旦那さん…いや、彼氏!いやもっと言うなら男友達でもいいから作りたいな」
「そうっしょ!私やっぱり結婚するんなら、めっちゃお金持ちがいいなー!貴族の婦人って憧れない?一生遊んでいけるし!でもそういや、祷ってそう言うの興味ないんだっけ?」
「うん…別にいいかなって…お金は頑張って働けば増えるけど、愛はそう簡単には増えないよ。私はやっぱり自分が本当に好きな方と結ばれたいかな…」
「はっ!やっぱりブレないね、祷は。まあ確かに、お金持っててもくそキモいジジイとかだったら私も嫌だし!うんうん!」
「いや、そう言うんじゃあないんだけど…」
私はそう小さく呟いた。
「まあ、だってあれでしょ?赤ちゃんって、自分と自分が世界で一番好きな方との間に生まれてくるからね。パートナー選びは重要だよ」
珍しく円香がいいことを言った気がした。
「まあでも、私が世界で一番好きなのはお金で二番目がイケメンだけどね」
やっぱり気のせいだった…
でも、なんだか感慨深いなその言葉…私、見つけられるのかな…世界で一番好きな方を…
それに、こんな私のことを世界で一番好きって言ってくれる方なんているのかしら?今は大丈夫だけど、昔なんて精神が安定してなくて自暴自棄になることがよくあったからさ…
なんだか、新年になって恋の季節をいよいよ感じてきたと思ったんだけど、現実はそう甘くはなかった。
恋って難しいな…突然現れたりしないのかなー?私のこと一番好きとか言ってくれる男の子…
そんなことを考えているとすぐに宿まで戻ることができた。そして、自分宛に荷物が届いたのであった。
「わーーい!もう届いてる!ありがとうお母さん!」
私はそう言って声は聞こえないだろうが、気持ちでも伝えるように仕送り品に対して例を述べた。
これ見ただけさっきの悩みというか心配事が一気に吹き飛んだ。やっぱり私って悩んだりする性格じゃないのかもね!
「ルンルンルン…!」
私は鼻歌でも歌いながら、部屋まで向かった。泉奈さんたちいるかなー?
「祷、なんかめっちゃテンション高くない?て言うかその箱なに?クンクンクン…」
この箱から溢れ出る匂いを円香は嗅いでみる。
「ん?それの中から祷の香水の匂いがするけど…」
「そうだよ!香水、私がつけてるやつをお母さんにたくさん持ってきてもらったの!」
私は元気に箱を開封してみせる。
パカッ!
すると中には順序よく配列された香水の瓶、それと何やらその上に三枚の手紙が…
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