第六十話 先輩
「美味しい円香?」
「うん!めっちゃ美味しい!けど…」
円香は身を乗り出して私の耳元で喋った。
「あいつ、絶対におかしいよ!なんか最近、祷にばっかりエコ贔屓してない?今なんてまるで私、完全に無視されてたしここ一週間…というか、あの日以来よ!」
確かにこの最近…お風呂場でのことがあって以来、私は妙に母主様から好待遇を受けるが、それを断った円香は極端に無視されているのであった。
「でも、私以外にも母主様が好待遇っていうか、なんていうかそんな感じの方結構いるけど…私だけ特別ってわけじゃないんじゃないかな?」
「いや絶対に関係ある!もしかしてその神様たちもあいつに変なことされたんだわ!この前の円香みたいにさ!絶対にそう!それに違いない!」
そう言われると自分もなんだか怖く感じてきてしまった。まさかそんな性的搾取みたいなこと…いやでも、母主様は女性だから私たちのことなんて性の対象じゃないはず…
そして、わざと少しゆっくりと食べてからお風呂場へと向かった。なぜなら、母主様に会わない為である。なんだかさっきの話をして、母主様に少し疑問が浮かんできたのであった…
ガラガラガラ〜〜〜
お風呂の扉を開けてみるが、母主様はもうすでに上がっているようであった。なぜな安心でホッと息を吹き出してしまった。ここにいるのは私と円香だけであった。
そして、ゆっくりとお風呂に浸かり部屋まで戻るが、先輩たち三柱は集まってカードゲームのようなものをしていた。
そういえば、いつもみんなで話し合っててなかなか話しかけようと思っても話しかけらられなかったなぁ…
まあ、明日も朝早いからもう寝ようと思い、私は自分の布団まで行こうとするが同じ部屋の誰かに話しかけられた。
「ねえ、新入りさん、ちょっといい?」
「あっ!はい」
円香は少しギクッとした顔をしてその場に硬直していた。挨拶しに行ってないから怒られるとかそういうパターンかな、と一瞬冷やしやした…
私は恐る恐る、先輩の元へ行った。なんか変に絡まれたりしたらどうしよう…それだけは勘弁…!
「ねえ、君名前なんて言うの?」
「えっ!あー、浅田祷って言います。どうかなさいましたかた?」
すると、彼女は手をうちわのようにして仰ぎ、匂いを嗅ぐ。
「やっぱり君か、祷。なんだかめっちゃいい匂いするなーって思ってたのよずっと。今入口通った時にその匂いが君からしたから気づいて話しかけたの」
「アハッ…そうなんですねそれはどうも。よかったら私の香水、要りますか?」
特に変に絡まれなくてよかった。これで先輩と仲良くなれたらなんでいいことだろう。
すると、先輩は嬉しさで顔を手で隠す。
「ほ、本当にもらってもいいの?別に先輩だからってそんなに気を遣わなくていいんだよ?」
「いやちょうど明日、実家からの仕送りがあるのでそれで大量に持ってきてもらう予定なのであげますよ。そんなにそんなになくなる物じゃないですし」
すると彼女は私の手を握りしめて感謝を伝えるのであった。
ギュゥ〜〜〜!
「ありがとうね、祷!私の名前は泉奈よ。ここにいるのは私の友達で、同期の子たち」
「何かあったらいつでも相談に乗ってね」
すると、泉奈さんの友達も私に優しく挨拶をしてくれた。なんと言うきっかけで、こんなに輪が広がるなんて嬉しい…!
私はなんだか嬉しい気持ちに包まれてそのまま眠りにつくのであった。
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