第五十四話 旦那さん
「ふ〜〜〜!これで洗濯物はよしっと!」
「あー、めっちゃ外寒かった!祷も手、冷たかったでしょ?」
「あー、いやー!お湯にして洗ったからむしろ指先がポカポカするよ」
「えーー!ずる…」
そして私は円香の赤くなっている耳たぶを触る。
「ちょっと祷、なんかしたの?」
「少し待って!」
ジンジン...ジンジン...
私は寒い風で冷え切った円香の耳を暖めてあげた。
「どう?暖かくなったかしら?」
「マジ、祷?ありがとー!私神術面倒くさくてまだろくに習得してないんだよね~アハハ」
「まあ、私もそこまで高度な術式は扱えないよ。それより洗濯終わったし、早く茶の間に行こうか」
「そうだね、祷」
私と円香は洗濯が終わり、再び陽々葵さんの元まで向かった。
「ただいま終わりました!」
「寒い中ありがとうね!お茶淹れておいたから体温めておくれ」
そう言って陽々葵さんはあったかいお茶を私と円香の分の二杯、淹れていてくれていた。
「ちょうど寒かったからあったまる〜〜!ふー…ふー…」
ゴクリ
そう言って円香はお茶を飲んだのであった。
「うん!これすっごい美味しい〜〜!祷も飲んでみてよ〜」
「それじゃあ、いただきます。ふー…ふー…」
猫舌なのでちゃんと息を吹きかけて、そしてゆっくりとコップに唇をつけた。きっとこのコップも高いんだろうな〜…
ゴクリ
「本当だ!このお茶とっても美味しい!香りがすごいいい。これって結構お高いものですよね?わざわざ私たちのためにありがとうございます」
「まあ、そこそこ高いかもね。旦那が買ってるやつだからあまりよくわからないけど。後はなんだろう、今大体十時くらいか…じゃあもう一つお仕事頼むわ」
「掃除してくれない?色々ゴミとか投げれないから溜まっていっちゃうのよね〜。それが終わったら一緒にお昼ご飯にしましょう」
「え!?お昼ご飯ご一緒していいんですか?じゅるり」
「いいわよ。みんなで食べたほうが美味しいものね!」
「わーい!わーい!うれしい!なんだかめっちゃやる気出て来た円香!」
「私もすっごい楽しみです!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして早速私たちは掃除をするのだが、これが結構一苦労であった。
「ひぃーーー!!」
そう、この家の廊下があまりにも長すぎて雑巾掛けするだけでもめちゃめちゃ大変なのであった。
「ふーーーー!めっちゃ長かったーー!」
「本当にそうよ!明日絶対に腰痛になってるわよこれ」
それに、廊下を雑巾掛けしただけで新品だった真っ白の雑巾の片面が真っ黒になってしまったのである。
すると再び、茶の間の方から陽々葵さんの声が聞こえて来た。
「雑巾、汚くなったと思うから新しいの使って〜。汚くなったやつは捨てていいよ〜」
なんとも貴族らしい考えであり、庶民の私と円香には結構勿体なく感じてしまった。
「えーこれ、半面まだ新品同然だよお…」
「そうね。少し勿体無いかもしれないけど、これも貴重な経験なんじゃないの?」
ということで躊躇なく汚くなった雑巾を捨てて新しいものを手に取った。そして次に、各部屋の窓掃除とゴミ捨てを行なった。
これも廊下同様に部屋の数が多すぎて、なんならまだ使われていない部屋さえ存在していたのであった。
ガラ〜〜
「失礼しまーす」
そして、私と円香は陽々葵さんとその旦那さんの部屋へと入った。掃除のために入ったがなんだか本当に入っていいのか申し訳なさすら感じる…
ゴミ箱の中身を片付けて、窓をきれいに磨いて、それからベットもちゃんと整えた。
私もこんなにふかふかなベットで寝てみたいな〜。
そんなことを考えていると、円香は急にベットに腰掛けた。
「見て見て祷!」
ボイン!ボイン!
そして円香はベットの上に腰掛けて上下に跳ねるのであった。
「ちょっと何やってんのよ!他人のベットでやっちゃダメでしょ!」
「えーー!ちょっとだけなら良いじゃん別にバレてないんだし」
「バレるバレないの話じゃなくて、倫理的な問題よ。夫婦にとってベットは神聖な場所なんだからね!」
「なんでなんでー?それって子作りするから?」
「そ、そうだよ…だからダメなのよ。円香早くベットから降りて」
私は顔を赤くして小声でそう言った。
「はいはい!分かった分かった!よっこいしょっと!」
そして円香はベットから立ち上がるのだが、何かを見つけたのであった。そしてまた勝手に手に取った。
「ん?何これ?」
「ちょっとまた何勝手に手に取ってるのよー!」
私はそう言って今度は何に興味を持ったのかと思い、円香が手に持っているものを申し訳なくも確認する。
するとそれは…
「写真?これ、陽々葵さんの写真じゃない?」
「そうだね。顔完全に一致してるし。でも少しだけ若いかもこれは」
すると次にその陽々葵さんの隣に映っている黒髪の美青年に目がいった。
「じゃあこの男性って旦那さん?」
「そ、そうだと思うよ…」
その陽々葵さんの隣に立って写真に写っている男性は私と円香にドストライクなくらいの美形をしていたのであった。夫婦揃って貴族顔なのであった...
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