第三十三話 彼女の記憶
男は跪き、彼女へ婚約指輪の入った小さな箱を開けて中身を見せるのであった。それを見た彼女は嬉しさのあまりに顔を真っ赤にして泣いてしまった。
「雪菜さん、俺と結婚してください!」
そして、突然のプロポーズに彼女は赤面して少しの間、声を出せずにいた。そして彼女は応答する。
「はい!これからもずっと一緒にいてください!」
こうして二柱は互いに抱きしめあった。そして、今という今を神生でこの上ないくらいの幸せに包まれていた。
「本当は仕事が完全に終わってから、告白しようと思ったんだけど、もう我慢できなくて…」
男はそう言って照れながら頭を掻いた。
そんな彼に彼女はニコニコと笑っていた。
「アハハ!なんだかあなたらしいわ!あとどれくらい残ってるの?」
彼は現在、人間界に守り神として六年間派遣されていたのであった。今はちょうど一年に一度訪れる休養期間であり、神界の方へと帰って来たのであった。
「うーん、後ちょうど一年だよ。でも、あっちの世界に居るのすっごい楽しいよ!雪菜もこっちに来なよ!」
「そっかあ…後一年かぁ…いや、遠慮しておくわ。住み慣れた場所が一番だもの。でもあなたがそんなに言うのなら一回は行ってみたいかも!」
「大丈夫だって!後一年なんてすぐでしょ!それに何も起きやしないって」
「う〜〜〜ん……じゃあ分かったわ!後一年、頑張って来てちょうだい!」
そして二柱は再び抱きしめあった。後もう一年経てば、これ以上のことをずっとすることができるのだ。そういう思いでお互いは後一年、互いを待つことになる。
「じゃあ私、最高の結婚式場を用意して待ってるわね!」
「おう!めっちゃ楽しみだよ!思い出話とか色々あるから、今度帰って来たらゆっくり雪菜とその話がしたいんだ!」
「じゃあ、また後一年後だね。雪菜、体には気をつけて待ってくれよーー!!」
「うん!あなた!美味しい料理いっぱい作って置きますからね!食べきれないくらいに!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
だか、こんな小さな幸せも突然として脆く儚く散っていってしまうのであった。
「嘘でしょーー!!嘘って言ってよーー!!なんで!なんで!彼がこんな目に!!」
連絡を受けて駆けつけた雪菜は将来の自分の夫の変わり果てた姿を見て声を荒げてしまうのであった。
「どうか怒らないでください!人間界で連絡があって駆けつけた時にはもうすでに巌勝さんは息を…」
四肢はボロボロに引きちぎられ、身体中に引き裂かれた跡と複数の穴が空いており腐敗も進んでいた。
雪菜はそれでも現実を受け留めきれずに、ボロボロになった旦那の亡骸を引き取った。彼女は亡骸である彼を街の名医と言われるところへと連れて行き、何度も何度も彼を生き返らせてくれとお願いした。
しかし、いくら神術が優れているからと言って、いくら神術を極めようとも死した命を蘇らせることは不可能であり、できても外傷を完璧に治すことだけであった。
彼女はいくつもの病院を回っては追い出されの連続で、それを見かねた善良な医師に外傷の治療をやってもらったのであった。
それから彼女は魂のこもらない旦那の遺骸をまるで生きているかのように演じ、新婚生活を送るのであった。しかし、それすらも親族に不気味がられて一族から破門される結末へとなってしまった。
彼女は旦那を担いである場所へと向かった。そこはかつて、彼が守り神として派遣される前、よく遊んだ湖であった。
「あなた…なんで私を置いていったの…?ずっとそばにいてくれるって言ったじゃん…!!」
彼女は涙を湖にこぼし、誰もいない静まり返った湖でまた大泣きしてしまった。
「もう私…生きていけないよ…もう辛くて辛くて…生きていけないんだよ…」
「………さようなら」
バッシャーーーン!
そして、彼女は遺骸を握りしめたま思い出の湖で生涯を終えることにしたのであった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある★★★★★から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
色々なアニメや漫画の影響を受けているので既視感があるかもしれませんが、そこも含めて楽しんでみてください!




