第二話 死にたくない
本作を見つけてくれてありがとうございます!
後書きの1番下に話の要約を書いておくので、もしエピソードが分かりずらかったらそこをご参照ください!
ヒューーーーーン.........バタッ!
「イタタタタ......どこここ?」
てっきり死んでしまうものだと思っていたが、なぜか生きていた。
足元にはさっき穴に落とした小石があった。どうやらさっきの穴は底なし穴ではなくて、ちゃんとここに繋がっているみたい?でも、結局ここってどこなの?まさかだけど、絵本に登場する地下帝国なんてことないわよね?
私は周りをグルリと見渡してみるが、見たこともない場所でそれに木ばっかり...おそらくここは森なのだろうか?私は取り合えずここから出なくてはと思い歩き出すのであった。だが、幸いなことに少し歩いたらこの森を抜けることができ、さらに街並みを発見できた。
「よかったーー.........」
私はさっきまで自分の命なんてどうでもいいと思っていたが、思わず小声で呟いてしまっていた。
ここは一体どこなのか誰かに尋ねよう。そう思って、誰か喋りかけ易そうな方を探していると...
ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ
賑わう人々や街並みを見ていて私はあることに気が付いた。そしてそれが、ここが普段私たちが住んでいる世界とは隔離された別の世界であるということを確信させるものであった。
ここ、何かおかしいと思ったら...服も建物もなんだか古くない?みんな浴衣と着物着てるし、家なんて軒並みレトロな木造建築ばっかり!それに今、道路を走っているのなんて人力車しかいないじゃん!車が一つも走っていないなんてありえないわ今の時代で!
大正時代とか明治時代の日本っていう感じだわ...もしかしてこれってタイムリープ?
もしかしてあの穴に落ちたことが原因で、昔の日本に来ちゃったのかしら?いやでも、そんなこと地下帝国に来ることよりも現実味がない...そうだ私!きっと疲れすぎて夢でも見てるのよね...
私はこの現状が理解できずに夢でも見ているのかと、自分のほっぺを引っ張ったりしてみたが全然痛みを感じる。
ググググィィィーーーー!!
「イタタタタ......!!夢じゃないじゃんこれ!現実じゃん!!」
そう分かると私はさらに絶望してしまった。これから本当にどうしよう...元の世界に戻る方法はあるのかな...もしかして一生私、こっちの世界から帰れなかったらどうしよう...?
そうやって私はレトロな日本の景色なんか一つとして気にも留めずに街の中を俯いて歩いていたのであった。すると、そんな私を気遣ってかある二人組の男が私の元まで近寄ってきたのであった。
「こりゃあ別嬪さん、こんなところでどうしたんだい?何か調子でも悪いのかい?ヒック」
「そうそう!何か困ったことがあったらオイラたちに聞いてくれ。ヒック」
男二人の人相はというと例えとして出すのも申し訳ないけれど、酔っぱらって顔を真っ赤にした大黒天様みたいであった。でも、そんなことは今はどうでもよかった。私は藁にも縋る思いで彼らに助けを求めたのであった。
「あの!私今ちょうど困ってて助けてほしいんです!何ていうんだろう...変な穴の中に落ちて、気が付いたらこっちの世界に居たんですよ。私、どうやったら元の世界に戻れますか?もう不安で不安で...」
私はそこで泣き出してしまった。すると、男の一人が私の肩に手を置いて慰めてくれるのであった。
「えーー?何て言ったんだお嬢ちゃん?まあでもオイラタたち任せなさい。何とかすっからよ。ヒック」
「ありがとうございます...なんだか本当に大黒天様みたいに優しいですね...」
しかしその瞬間、二人のうちの一人がなぜか自分の鼻を摘まむのであった。なにか異臭でも感じたのであろうか?
「どうしたんだえ?兄貴」
「弟よ、お前は感じないのか?なんだこの臭い匂いは!ヒック」
もしかして私が自分でも気づかないくらいに臭っているのかと思い、私は自分の服の匂いを嗅いでみるが、大丈夫であった。しかし、その男は様子が一変するのであった。
さっきまで顔を赤くした大黒天様みたいに目をほぼ開けているのか瞑っているのか分からなかったのに、いきなり驚いたかのように目を見開くのであった。
クン...クンッ!
「臭え!これは人間の匂いだ!」
「なんだって兄貴!?」
え?どういうこと...?人間の臭いってあなたたちも人間じゃん...そう思っていたが、次第に男は二人ともは真顔でニヤニヤ笑いながら私の元へ詰め寄ってくるのであった。
「ふふふ。お嬢ちゃん、おじちゃんたちと遊んでくれないかい?」
「そうそう。可愛がってあげるよ」
さっきまでニコニコとしていた笑顔が一切なくなり、なんだか不気味なニヤニヤとした笑顔に変わってしまっていた。これは何かヤバイと思った私は、次第に後ずさりをして彼らから離れようとするのであった...
人間じゃないの...?じゃあ一体この二人は何者なの?その不気味な笑みは厭らしいことを企んでいる顔であると、本能的に分かった。というかそれ以外に思いつかなかった...
私は一体彼らにどんなことをされてしまうのか...そんなことを想像しただけで、私は顔面蒼白になり、心臓の鼓動が高鳴りだし、次の瞬間には彼らから目を背けて、急いでその場から逃げ去っていた。
タッタッタッタ!!!
なに!なに!なに!やばい!!逃げないと!!
殺されてしまう...もし仮に生き残っていても私の心は完全に死んでしまうだろう...
命なんていらないって言ってたのに、結局死ぬのが怖いんじゃねぇかよ馬鹿野郎!!私は恐怖で目から大量の涙が溢れ出し、とにかく走って、走って、走りまくって物陰に身を隠すのであった。
私は今際の際になってやっと、死にたくないという本心が出てきてしまった。こうなるんだったら最初っから死にたいとか馬鹿な事なんて思わなきゃよかったよ!!!もーーー!!
果たして別世界に迷い込んでしまった私の運命はいかに!?
最後まで読んでくれてありがとうございます!
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もうストーリーは組んであるので、頑張って今年中に完結できるように頑張ります!
色々なアニメや漫画の影響を受けているので既視感があるかもしれませんが、そこも含めて楽しんでみてください!
※この話の要約
異世界へと迷い込んでしまった祷は、何とかして元の世界へ戻ろうとする。そして、謎の男2人から絡まれるのであるが、彼らはどうやら人間ではない何者からしい…そして、彼らに襲われて身の危険を感じた祷は全速力でそこから逃げるのであった。