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第十七話 空を飛んで

龍はそこら辺に生えているニオイ草を器用にとって私の元まで持ってきた。あー、めっちゃいい匂い...

「これは一体なにをしているのかしら?ニオイ草をこんなに...」


「ニオイ草はその芳香だけではなく、汁には傷を癒す効能があるんだよ。それを使ってほしいって、龍が言ってくれてるんだよ」


「えーー!?すっごい頭いいじゃん!ありがとな~~~!ヨシヨシ!!でも私、大した傷ないけどね。アハハ...」

私はその龍の頭をなでた。猫が喉を鳴らすかのようにグウグウ言っているのは何ともかわいらしい。


そこで私はあることを思いつき、ニオイ草を石ですり潰してペースト状にした。

「はい、龍...うーーん...なんだか名前が欲しいな...じゃあ、白龍だからハクでいっか!じゃあ、ハク!お口おっきく開けて!」


そう言うともうハクは自分の名前を理解したのか喜んで、口を大きく開けた。

グアーーー

そしてさっき刀が刺さっていた傷口に、今すり潰したペーストをギュウっと数分間押し付けた。


「もう手を放してもいいと思うよ。短期間でもちゃんと薬は染みたはずだ」

「はい!じゃあ、口閉じてもいいよ、ハク」


私が口から手を放してそう言うと、ハクは口を閉じた。ちゃんと噛まないようにしてくれていてなんて賢い生き物なんだと実感した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「それにしても、刀が森に落ちているだなんて民度も落ちたものだな...これじゃあ間違って動物たちがこれを食べてしまうかもしれない」


「そうですね。そんな痛々しいこと、もうこれで終わってほしいですね...」

人間界でも住宅や山、海にポイ捨てしたゴミがその場に住んでいる生き物に影響を与えているのが問題になっている。まさか、それが神様の世界でも起ころうとは...


「じゃ、そろそろ帰ろうか?お目当てのニオイ草も、祷のお陰で回収できたしな」

「そうねそろそろ帰りましょうか。バイバイ、ハク!また今度ね」


そう言ってここから離れようとすると、背びれをハクに甘噛みされて止められた。

パクッ

「おおお、ハク?どうかしたのか?」


するとハクは私を持ち上げて、背中に乗せてくれた。

「えっ!?乗せていってくれるの?」

そう私がハクに聞くと、ハクはまるで人間の様に頷いた。


グウ~ン グウ~ン

すると、お姉ちゃんも背中に乗せてくれた。

「私も乗せてくれるのかい、ハク?ありがとうな」


そう言ってハクは空へと飛びあがり、一瞬にして家まで連れて行ってくれたのであった。

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