第百話 王族
私たちは突然として言われたことに目をまん丸にして互いを見合っていた。今なんて言ったの(?)状態であった。
「僕の屋敷、無駄に広くて一柱で暮らすの寂しいんだよね。それに僕って掃除とか洗濯とかできない系の神だからさ」
こんなノリなのか?十二神って…もっと厳かで威厳がある感じだと思ってたけど…
「だって君たちって壁の外から、こっちに来たんだろ?ここで帰りたくないでしょ?ならウチにおいでよ」
「いいんですか?私たちなんてついさっきまでただの使用人だったんですよ?それなのにあなた様みたいにお偉い神様の屋敷になんて…」
「いいんだよ別に!そんな細かいこと気にすんなって!僕の屋敷って、お手伝いさんとか誰も居なかったから丁度いいかなーって」
私たちは再びみんなで目を合わせて、それならということで行かさせてもらおうかと思った。でも、千尋はどうなっちゃうんだろう…
「あのすみません、彼は千尋って言って私のなんていうか…か、彼氏なんですけど彼も一緒に行っていいですか?私、彼と一緒じゃなきゃダメなんです…」
すると、郷里さんはニッコリと笑って答えてくれた。
「ああ、別に構わないよ!可愛い子どもの頼みだからね。ここにいるみんなは僕の家で預かるよ。もう誰にも嫌な思いはさせないから」
みんな彼の心意気に感激を受けて涙を流すのであった。そして、彼は私たち一行を高貴なる屋敷までお迎えしてくれるのであった。
だがしかし、私はその屋敷へと向かう前に一つどうしてもやらなければならないことがあったのであった。
「郷里さん、申し訳ないのですが少しだけお時間をいただけないでしょうか?」
「いいよ別に。なんか用事でもあんの?」
「用事…というかなんと言うか、ケジメのようなものです…」
「じゃあ、僕この子たち相手にしてるからその間に行って来なよ」
「ありがとうございます!郷里さん!」
私は一刻も無駄にしないようにと、あの場所まで向かった。
こんなことをしているのを見られるとアレなので、とっとと終わらせることにした。それはつまり…
パンパンパンッ
私はその上に土を被せて形をそれっぽく整えた。そして、手のひらを合わせて黙祷を捧げるのであった。
「母主様…と言うか、菊乃幸枝さん…あなたにされたことは今でも完全には消え切ってはいません。なので、完全にあなたを許すことはできません…でも、ここに居させてくれて色々な体験をさせてもらえたのは間違いなくあなたのお陰です…どうかあの世で悔い改めて下さい」
そのお墓はさっき鬼が地面に開けた大穴を利用したものであった。私はちゃんと彼女の頭をこのお墓の中に埋葬してあげることにしたのである。これが私の…というかみんなを代表して勝手にケジメをつけたと言った感じであった。
そう言って私は立ち上がり、再び郷里さんの元へと行こうと振り返ると後ろには千尋がいたのであった。
「うわっ!もしかして見てた…?」
「うん…全部見てたよ…優しいねお前は本当に…さあ、終わったんだったら早く行こう!みんなが待ってるよ!」
「うん!」
そう言うと、千尋は私の手を握りしめてみんなの元へと駆けて行った。
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「うわぁーー!すっごい大きい屋敷!!本当にここで過ごしてもいいんですかー?」
円香は屋敷の大きさに目をハート型にして胸を驚かせていた。
それにしても不思議だ…普通こういう立派な屋敷の前には門番がいると思ったんだけどなぁ…
「あのー、門番っているんですか?」
「門番?なにそれ。僕よりも強い神なんて居ないんだから門番なんていらないっしょ」
「アハハ…た、確かにそうですねぇ…」
言われてみればこの方は神様の中でも最上位に君臨する神様なんだ。逆にこの神様を警護する神様なんているわけないか…
そして、私たちは屋敷の中へと案内される。中へ入るとみんなあまりもの大きさに驚いている。
「わーーーー!!すっごーーーい!!」
「こんなに広いお家初めてーーー!!!」
すると、郷里さんは冷静な顔をしてみんなに忠告する。みんながこっちを振り返って話を聞く。
「くれぐれも迷子にならないようにね」
なにを言い出すのかとビクビクしていたらまさかの…まあ確かに。昔に陽々葵さんのお家に行った時も広すぎてめっちゃ疲れたなぁ…
そしてこの家はもっと広い…もうこれ完全に迷宮よりも迷宮してるし、家の大きさのインフレが早すぎる!!
「まっ…何はともあれ、ようこそ僕の屋敷へ!これからみんなで一緒に楽しく過ごしていこう!」
「中にたくさん使ってない部屋あるから好きな部屋を使うといいよ。あーでも、僕料理するの苦手だから料理は期待しないでね。というかむしろ、誰かに作ってほしいかな。食材はあるから好きに使っていいよ」
こうして私たち全員は運良く神様の中でも至高の神様に拾ってもらい、王族のような暮らしをすることができるようになったのであった。
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