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5 思い出と前夜

佐野恭平は幼い頃から友達と呼べる人が少なかった訳ではない。

彼がまだ小学校低学年だった頃、友達もそこそこいて放課後は毎日のように公園に遊びにいく、そんな元気でわんぱくな少年だった。

ただ、小学3年生になった頃から彼の悪い癖というのが目立ち始めた。

恭平は周りと比べて少しばかり頭が良かった。

それもあってかナルシスト気味で周りを見下しがち、というどう考えても友達が寄り付かない悪癖を恭平は持っていた。

当然、周囲からはその頃から距離を置かれるようになった。

公園で毎日のように遊んでいたタッちゃんからも

「お前といたらなんか気分悪くなるわ。」

と言われたりした。

そんな中、中島美空だけは恭平のそばにいてくれた。

家が隣どうしというのもあったのだろう、恭平は美空と毎日登下校を共にした。

ちょっとした悪口を言っても

「もう〜。そんなこと言わないでよぉ〜。」

と優しく返してくれる、彼女はそんな人だった。

それに彼女は恭平のすることにあわせてくれたりもした。

美空が最近ハマっているFPSゲームも、元はと言えば恭平がやっているから、という理由でやり始めたものだった。

彼女は、美空は恭平にはもったいないくらい健気で、優しくて、そしてとても魅力的で可愛かった。

そんな彼女が近くにいたせいでもあろう、恭平が自分の性格の問題点に気づいたのは中学2年の夏だった。

その後、恭平は今までと打って変わったかのように、静かになった。

美空もこの変わりようには最初こそ戸惑ったが、すぐにそんな恭平も受け入れてくれた。

美空はやっぱりいい子だな、と改めて思った。

高校生になってから恭平はよく家の近所の山へと行くようになった。

体を動かしたり景色を見たりしてリフレッシュしている、というのが理由だ。

高校生になっても相変わらず友達はできなかったが、美空がいるうちはそれで充分だ、そう恭平は思っていた。

美空の方も高校生になってもいつも通りの友達関係を保ってくれたし、わざわざ同じ高校に進学もしてくれた。

そんな美空との関係もこれからも続くといいな、と恭平は柄にもなく思っていた。


とりあえずカレンにはOKの返事をメールで返し、その日は寝床についた。

まだ出会って2日なのにこの距離の詰め方はすごいな、と関心しつつ呆れたりもした。

しかし遊びに行くと言っても一体どこに行くのだろう、と考えているうちにうとうとと寝てしまった。


スマホからメールの着信を知らせる音がした。

その音によって恭平は目覚めた。

差出人を確認すると同時に時刻を確認するともう朝の10時を回っていた。

差出人は美空だった。

恭平、今時間空いてる?開いてるならゲームしよ。

というシンプルな内容だった。

恭平は「空いてるよ」とだけ返信をすると、机の上に置いてあったパソコンに電源をつけた。


「う〜ん。これがいいかなぁ。それともぉ、こういうのがいいのかなぁ。」

鏡の前、カレンは苦悩していた。

悩みの原因はもちろん恭平にあった。

明日、恭平にもう一度会える。そう思うだけでにへにへとした笑顔を振りまいていたが重大なことに気づいてしまった。

明日着る服を考えていなかった。

というわけでカレンは今鏡の前でクローゼットにしまってあった大量の服をとっかえひっかえ自分の前にたぐりよせている。

「ふはぁ〜、思ったよりむずかしいもんだねぇ、はてさて、どうしたものか…」

そうつぶやきながらカレンはまた服を変え始めた。

そこでカレンは唐突に「あっ、そうだぁ…!」と

ぱぁっと笑顔になりながら何か思いついた様子を見せた。

その笑顔は、少し悪い顔をしていた。


「あっ、そこロー!詰めて詰めて!」

「おけおけ、今カバー行ってる、シールド割った!」

「よーし、凸る!」

「あっ、ちょっと様子を見た方が…」

恭平が見ているモニターには2位、と表示されていた。

「あー!なんでよぉ!あともうちょいだったのにぃ!」

「いや、あそこはちょっと様子見で遠距離から削っていった方がよかったじゃん…」

「でもぉ、相手がいると詰めたくなるじゃん…」

美空のこういうところは変わらないな、と呆れたように思いつつ時計を確認した。時計は午後の3時を指していた。

そろそろやめようかな、と考えていたところに一通のメールをスマホは受信した。

「ん?」

そう言いつつ恭平はメールの内容を確認した。

メールの送り主はカレンであった。

やっほー!恭平君。ちょっと相談したいことがあってメールを送ったんだぁ。明日私と出かけるでしょぉ?そのときの服を悩んでてぇ、よかったらどっちがいいか恭平君に選んでほしいんだぁ。

そんな文面とともに2つの写真も添付されてあった。

恭平はその内容を確認する。途端、恭平は思わずスマホをベットへと投げ出してしまった。

「は?え?どういうこと?」

そんな反応を恭平はとりつつもう一度確認してみようとベットへと向かった。

「ねぇ、まだ〜?そろそろ次のマッチしようよー」

そう通話ごしに美空の気だるそうな声が聞こえてきた。

「あ、わかった。マッチングする。」

そう恭平は言いマッチングを済ませてから改めてその写真を確認した。

どうやら見間違いではなかったようだ。

カレンから送られてきた写真のうち1枚は普通のかわいい、いわゆる地雷系という服装であったが問題はもう1枚であった。

その写真に映されているのは大事な部分は隠されているけどほとんど全裸なカレンの姿であった。

「えぇ…。いや、なんでぇ〜?」

と言いつつ、とりあえずその写真を保存してから恭平はカレンにメールを返した。

なんですかあの写真

そう簡潔なメッセージを恭平は返し、再びゲームのコントローラーを握った。


「なんですかあの写真…かぁ〜。まあ恭平君っぽいって言えばだよねぇ〜。しっかりしたやつを送ってみよぉかなぁ?」

恭平からのメールに目を通したカレンはまたクローゼットから服を取り出し始めた。

デートまであと19時間。


[佐野恭平の1日整理脳内日記]

しかしカレンは普通とは違う人だな、と改めて思う。

今日の写真だってそうだし何よりはじめて会った時もだ。

見ず知らずの俺をわざわざ泊めてくれたし。

ただ優しいだけってことかもしれないけどなんかおかしい気がする。

まぁ出会って間もなくてまだなにも知らないってだけか。

それはそうと明日はカレンとのお出かけだ。

とりあえずは楽しまないとな。

あ、でもお金足りるかな。

この前温泉行ったばっかりだし。

まぁ、今日は明日に備えてしっかり寝よう。

おやすみ。

こんにちは。新生茶んです。

週1投稿ぐらいにして内容を濃くしたいなって思ってます。

まぁ濃くするまでの文才があるのかって言われたらそれまでなんですが。

この作品への批評、感想、指摘コメント等大歓迎です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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