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4 帰る場所

恭平が暖かな日差しと共に目覚めたるずっと前に、カレンは起きていたらしい。

「んぁ…」そう恭平は力ない声を晒すと、

「あっ、恭平君、おはよぉ〜。よく寝れたかな?」

という優しいカレンの声が聞こえてきた。

「はい。おかげさまで。」

そう言いながら恭平は視点を動かすと、おそらくカレンが作ったであろう2人分の朝食が目に入ってきた。

「…その。俺の分の朝食も作ってくれたんですか?」

「え?そうだよぉ〜。冷めないうちに食べちゃってねぇ。あ、そうだ。コーヒーか牛乳、どっちがいい?」

そう問いかけてきたカレンに対し、恭平は弱々しい声でコーヒーで、と答えた。

「りょ〜。じゃあすぐ入れちゃうから座ってまってねぇ。」

そう言いながら台所へと向かう彼女の背中を見て、だんだん話しかたのくせが弱まってる気がするな、そう思った。

昨日はインスタントで済ましたからわからなかったけど、予想外にもカレンの料理はおいしそうだった。

こんがりとしたキツネ色のトーストやうさぎ耳のリンゴを見ているうちにとてもお腹が空いてきた。

「はい、おまたせぇ〜。けっこういい豆使ってんだよぉ、このこーふぃー。」

発音をよくしようとしたのか、ただ噛んだだけなのかはわからなかったが、確かに「こーふぃー」と聞こえた。

「なんですかそのコーヒーの言いかた。」

と恭平が指摘すると、

「へへぇ。発音いいでしょぉ〜。ネイティブってやつぅ?」

と、けらっとした顔でカレンは言った。

どうやら狙って言ったらしい。

「それ、恥ずかしいから他の人の前ではやらないほうがいいですよ。」

そう恭平がいうと、

「えぇ〜。恭平君って寝起きまじめになるタイプ?いいでしょこーふぃー。」 

「はいはい。」と、少し呆れたような返答を返しつつ、恭平はその「こーふぃー」とやらを口にした。

確かに味は今まで飲んだことのないくらいにおいしかった。

朝食を食べ終え、カレンが後片付けをしているところ、恭平は帰りの身じたくをしていた。

「あ、そっかぁ〜。もう帰っちゃうんだねぇ。」

カレンはコップの泡を流しながら恭平に問いかけた。

「あ、はい。お世話になりました。」

恭平は手を動かしながらそう答えた。

動かしつつ、身じたくするほど荷物はなかったな、とそう思った。

「それはそうとぉ、ここから家までの道わかるぅ?君、山で遭難してここにたどり着いたんでしょ?」

その通りであった。実を言わなくとも山で迷ってここにたどり着いたのだから帰り道などわからなくて当然だった。

「実を言うとわからなくて、その…」

「道案内しようかぁ?」

恭平が言い切る前にカレンはひょうひょうとした様子でそう問いかけてきた。

「え、いいんですか?」

「もちろんだよぉ。恭平君にはのたれ死んでほしくないからねぇ。じゃあ、家の住所教えてよぉ。」

恭平は一瞬ためらいながらもすぐに答えた。

「えっと、森田市の玉池村の196です。」

そう答えるとカレンは少し驚いたように言葉を返してきた。

「えっ?その住所ならここからすぐ近くだよぉ。そんなに恭平君の家、近かったんだねぇ。」

「えっ、まじですか?」

恭平は答えた。もう家の近くの山は制覇しているはずだったのに、まだ知らないところがあったのか、といった風に。

「うん。そうだねぇ、たぶん歩いて10分くらいかなぁ。」

わりとご近所さんだった。そんな近くにこんな家があるなんてこと噂でも聞いたことがなかったから正直驚いた。

「うへぇ。でも恭平君が近くに住んでるってことわぁ、またすぐに遊びにこれるってことだよねぇ。あ、なんなら私から会いに行くのもいいかもぉ。」

カレンは勝手に話を進めている。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。」

恭平がそう尋ねるとカレンは

「んぁぁ〜?」

と今にも寝てしまいそうな声で反応した。

「家の近くの山はここ数年かけてほとんど見て回ったんですけどこんな場所見たことないですよ!」

恭平はさっき頭に思い浮かべた疑問をぶつけた。

その問いにカレンは落ち着いた様子で答える。

「え、いやぁ、だってぇ、この場所わりと山道から離れてるんだよねぇ。というか、出入り口に立ち入り禁止の看板たててるからぁ、入らなかっただけじゃない〜?」

そう彼女は答えた。確かにそんな場所もあったかな、なんて思い浮かべた。

「それにぃ〜。ここに来たの、つい最近なんだよぉ。前まではぁ、そのぉ、住む場所なかったからぁ」

なるほど、と感心しつつ何かとんでもないことを聞いた気がした。

さすがにその話題にふれるのは恭平にとっても難しく、ただそうなんだ、という当たりさわりのない返事を返した。


とりあえずカレンにはさよならをして、恭平は1日ぶりに自分の家についた。

誰の家に泊まったことにしておこう、そう考えながら家までの短い距離をとぼとば歩いていたとき、ちょうど隣の家のドアが開いた。

それに気づくと同時に、見慣れた顔がすっと出てきた。

それは他の誰でもなく、恭平の唯一の友達とも言える幼馴染、中島美空であった。

「あ、恭平じゃん。ねぇ、昨日の何だったの?ていうか、誰の家に泊まってたの?」

美空が問いかけてきた。

「いやぁ。それがさぁ…」

恭平は昨日のことを説明した。

山で迷ったこと、行き着いた先にガシャがあったこと、そこで謎の女性と出会い、その人の家に上げてもらい、そのまま泊まったこと。

そのすべてを聞き終えた後、美空は冷たい目で恭平を一瞥し、そのままけなすように

「あーはい。それで?その女の人とひとつ屋根の下で愛を育んだわけねー。あーはいはい。よかったねー。」

とぶっきらぼうに言い放った。

「ちがうって!何を勘違いしてるか知らないけどそんなことは断じてしてないって!」

恭平はそう必死で弁明したが、美空の方はまだゴミを見るような目で恭平を見つめている。

「で、そこで相談なんだけど、」

恭平はそう話を切り出した。

やっと普通の目で見てくれた美空に対して、恭平はゆっくり話しはじめた。

「とりあえず知らない人の家に泊まってしまったというのは事実だ。だからそれを親に隠したいんだ。」

恭平は美空の目をまっすぐ見て、続けた。

「そこで、昨日は美空の家に泊まってたってことにしてほしいんだけど。できる?」

そう問いかけた。

どんな答えが返ってくるかな、と考えていると予想外の答えが帰ってきた。

「なんだ、そういうこと。なら心配ないわよ。一応のことを考えておいて恭平は昨日は私の家で泊まったことになってるわ。」

すごく予知能力が高いな、と思っていると、続けて美空はこう言った。

「ただし、こうしましょう。恭平は昨日の埋め合わせも含めて、この夏休み中、最低2回は家にお泊りに来ること、いい?」

なんだそんなことか、と安心しつつ、恭平はその問いかけに対して2つ返事でOKした。


お母さんに対しては打ち合わせ通り美空の家に泊まってた、と説明した。

そこからは自分の部屋でスマホをいじり、お風呂に入り、ご飯を食べる。そしてゲームをする。

そんないつも通りの堕落した生活を恭平は過ごした。

ただ、いつも通りとは違うことが1つあった。

それは、カレンからの遊びの誘いを伝えるメールであった。


[佐野恭平の1日整理脳内日記]

まずは無事に帰れてよかった。

カレンは悪い人ではなかったけど、やっぱり家が落ち着く。

そういえば、カレンはあのガシャは少し変なことがあるって言ってたっけ。

確かあのでっかい木の影響でたまに入れてないカプセルが出てくるとか。

まぁまたあそこに寄る機会があれば1回くらい回してみてもいいかもな。

というか、美空の家に止まる約束もしたっけ。

隣の家なのにわざわざ泊まりに行くというのもあれだけど、助けられたからしょうがないか。

でもやっぱり最近は肩こりかひどいな。

今度温泉でも行こうかな。


山の中にある小さな家の中、カレンはぼそぼそモニターに向かって話していた。

「はい…。多分、間違いないかなぁって。」

その相手は誰なのかはわからなかった。

こんにちは。新生茶んです。

1話ごとの文字数をもう少し多くしたいですね。

あとはいい感じに人物の感情を描写してみたいですね。

この作品に対しての批評、感想、指摘コメント等大歓迎です。

ありがとうございました

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