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2 君は誰?

あの子は一体誰なんだ。なぜこんな場所にいるんだ。

そもそもあれは人間なのか。

そんなことを考えて立ち尽くしているとその得体の知れない少女は恭平に向かって話しかけてきた。

「おーい。もしかして人かぁー?聞こえてるなら答えてくれよぉー。おーい。」

その声を聞いてもまだ呆然と立ち尽くしている恭平に対して、その少女はゆっくりと近づいてきた。

「生きてんのかぁ〜?とにかく答えてくれよぉー。」

「生きてるよ!!!あんたは誰なんだ!!!」

とっさで出した声だったため、少し大きい声が静かなこの場所に響いた。

そんな恭平の様子はお構いなしといったように、その少女は恭平に対して話しかけた。

「私が誰かってぇ〜?人の名前を聞くときはまず自分から名乗るもんじゃないのぉ〜?」

一定の、そして独特のテンポで話しかけてくる。

「あ…ごめん。俺は佐野恭平。」

「ふーん。んで、なんであんたはここにいるんだぁ?」

それは俺だって知りたいよ、といわんばかりのため息を1つついた後、恭平はことのあらましを説明した。

山に入ることが趣味なこと。うっかりして迷ったこと。そしてたどり着いた先がここであったこと。

拙くてたどたどしい恭平の説明もその少女は真剣に聞いてくれた。

「そっかぁ〜。いやぁ、いつぶりかなぁ。ここに私以外の人が来るのは。まぁ、ゆっくりしていってよ。」

ゆっくりって、と恭平は呆れたようなつぶやきを見せた。

どうやらこの少女は会話のテンポが少し、いやかなり他とは違うらしい。

そして、思い出したかのように恭平が少女に向かって語りかけた。

「そういえば、あんたの名前はなんて言うんだよ。あと、お前はなんでここにいるんだよ。答えろよ」

「高圧的だねぇー。そう焦らなくても答えるってば」

そう少女は言ったあと、一呼吸つけてから語り始めた。

「私の名前はカレン。そうだねぇ〜。ここになんでいるか?だったっけ。ここのすぐ近くが私の家なんだよね。」

「こんなとこに住んでんのか?」

「そう。悪い?街からは離れてるけどいいとこだよ。それに…これはまぁいっか。」

やっぱりこの子の会話のテンポは掴めないな、と恭平はその場にへたっと座り込んだ。山の中を1日中歩き回ったせいだろう、今となって疲れがいっぺんに恭平の足へときた。

「あれ、恭平…だったよね?疲れてんの?」

「あぁ、今日はずっと歩いてたからな。もうクタクタだよ。」

そう言いながら恭平は腕時計へと視線を向けた。時刻はもう6時を回っている。そろそろ帰らないとまずい。

恭平は立ち上がりつつカレンという名の少女に喋りかけた。

「あ、悪い。俺そろそろ帰らないと…」

そう言い切ろうとした時、がくっという感覚とともにまた恭平の腰は地面へと向かった。

足が思うように動かない、というかそもそも山の出口すら分かってないのにここから帰れるのか…?そんな思いが頭の中を駆け巡ったあと、カレンは思いがけないことを口にした。

「大丈夫?うち、泊まってく?」

「…え?」

しばらくは言葉が出なかった。


突然スマホから流行りの音楽が流れた。それを聞いて中島美空はさっとそのスマホを手に取り、届いたメッセージの内容を確認した。

「どれどれ…?え?恭平、今日は私とゲームする約束だったのに!」

そうつぶやきつつ、美空はそのメールの内容を改めて見返した。

ごめん。今日は急遽お泊りすることになっちゃって

今日はゲームできなくなった。

この埋め合わせはまたするから許して!

あと、俺のお母さんに俺が泊まりに行ってるってこと伝えといてほしい。

というものだった。

「いや、泊まりに行くって誰の家よ。そこが1番気になるっての。」

そうひとりごとをつぶやきつつ、恭平に対して

「分かった。ちゃんと埋め合わせしてよね。」

と返信した。

「てかなんで私からおばさんに伝えないといけないのよ。自分でメール送れっての。」

そんな軽い愚痴をこぼしながら、美空は外へ出る準備をした。


そこは自分が思っていた女の子の部屋、という感じではなかった。いや、誰の部屋であろうとこんな部屋は予想もしていなかった。

「まぁこんな山の中の小屋でも住めば都だよぉ。ここ、虫少ないし。」

カレンはそう話しながら冷蔵庫を物色している。

まさか、彼女がこんなにもギュータンジュット!プイキュアのファンだったなんて想像もしていなかった。

壁は一面ポスターで埋め尽くされており、机も最小限のスペース以外は缶バッチやフィギュアなどで溢れかえっている。

よく見ればタオルやうちわ、プイキュアのグッズをこれでもかと使って装飾されたバッグまである。

「ん〜?私の部屋、そんなに汚かった〜?」

どうやらキョロキョロ見ていたことがバレたようだ。

「いや、そんなことはないと思います、ただ、なんと言うか…」

そこで恭平は言葉をつまらせた。

これは突っ込んでいいものなのか、そう考えているとカレンの方からプイキュアについて話してくれた。

「あっ君!もしかしてプイキュアのグッズがいっぱいあったから驚いてるの!じゃあプイキュア知ってるんだ!ねぇねぇ誰推し?私はこのギューカルビブルーが〜…」

すごい勢いでプイキュアについて語るカレンに、恭平はただ苦笑いするしかなかった。


こんにちは。新生茶んです。最後まで読んでいただきありがとうございます。

正直小説を書くのもはじめてなのでどこで話を終わらせるのかというタイミングが難しいです。

読み終わったあとはぜひこの話への批評、アドバイス、感想など書いていただけるとうれしいです。

ありがとうございました

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